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突発SS  夏休み特番!こどもスペシャル!後編

2017-08-13 12:51:11 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
北神が先導し開いた扉の先には。
『これどう考えても食べ物じゃないよね?』な
物体が並べられていた。
木製の碗に盛られたドブ色の汁(だと思う。)
皿の上で蠢く何かアレっぽい粒状の物。
テーブルの中央に置かれたミイラ。(っぽい)
蛍光グリーンのソースがかかった肉らしき物。
コールタールにしか見えないグラスに注がれた飲料。
カメラが動き顔色が悪い撮影スタッフ、涙目の出演者
半眼の料理提供者を順に写す。

「・・・うわぁ・・・」
画面を見ながら蔵馬は呟く。
有り得ない。あの肉っぽい物は毒性の強い多肉植物だ。
適切な処置を施せば食べられない事もないが余程切羽詰まった
事態でもない限り口にはしない代物だ。
「なにー?見えないー?!」
修羅の目を自分の掌で塞いだ黄泉は思い出した。
まだ建国したばかりの頃。
雷禅国から祝にと贈られた魔界チュパカブラの燻製。
何をどうしても口に入れる事の出来なかったそれがメイン料理の扱いで
テーブルに鎮座している。
何の積りだあの爺ぶっ殺してやる!と憤ったがアレは
本当に祝いの料理だったのだな、と五百年越しで理解した。

『どうぞ!お食べ下さい!』
笑顔で進める北神と無言を貫く幽助を交互に見ながら桑原は
覚悟を決めて箸を取った。
出された物はちゃんと食べる。桑原家の家訓だ。
箸で摘んだ付け添えの野菜らしき物体を口に入れようとした所。
『止めて!食べないで!食べるなら私にして!』
と声が上がった。
キョロキョロと周囲を見回せば皿に置かれた野菜がコトコトと動いている。
『娘をたべないでえ〜!』
甲高い声で泣き出した野菜に桑原達はドン引きだった。
北神のみ藻塩で食べるとイケますよ!と笑顔だ。
「お喋り芋ってまだ魔界に自生してたのか・・・」
「研究機関にしか無いはずなのになあ。」
子供時代に嫌になる程食べた野菜に懐古の念を抱きながら二人は
修羅を挟んで番組を見続けた。

コールタールを口にして倒れた桑原。
泣きながらミイラを取り分けたAD。
自分が作ったにも関わらず料理の説明を一切しない料理人。
一人ウッキウキな北神。
無言を貫く幽助。
「・・・酷いな。」
ぼそりと黄泉は呟いた。
修羅も真面目な顔で頷く。
「うらめしかわいそう・・・」
魔界に滞在する時幽助は雷禅国にあまり留まらないのは何故かと
訝しんでいたがやっと解った。
この食事内容ならば滞在なんてしたくないだろう。
黄泉も修羅も絶対にしたくない。
魔界チュパカブラなんてあれは食うものじゃない。
あれは鑑賞用であって食用ではない。
まかり間違って滞在依頼が来たらインスタント食品を大量に
買い込んで行こうと二人は決意する。

『幽助さん!
ほらメイン料理ですよ!幽助さんの好物の魔界ユムシと
魔界モンゴリアンデスワームのパスタグラタンです!』
ほら見ろー!美味そうだろー!と北神が差し出したソレ。
グツグツと煮立つホワイトソースとチーズ。
其処だけなら美味そうなのは認めても良いが。
蠢く魔界ユムシと魔界モンゴリアンデスワーム。
魔界ユムシからはでろりと粘液らしきものが垂れ。
魔界モンゴリアンデスワームは熱さに悲鳴を上げている。
はっきり言って。
地獄絵図にしか見えない。
『ふざけんなこの糞ハゲー!』
『えなんですか幽助さ』
突然怒鳴り出した幽助に北神は狼狽えた。
『食えるもんを食えなくする天才かテメエは!』
『何言ってるんですか?食べれますよ?』
『うるせえこの野郎!
マズメシばっか食わせやがって出るとこ出んぞ!』
堪忍袋の緒が切れたとばかりに幽助は怒鳴り散らす。
『待って下さい幽助さ』
『いいからもうカメラ止めろ!
今日と言う今日はもう許せねえ!
おい北神テメエこっち来いや!』
『幽助さん?!まだカメラが』
『じゃかあしいわ!』

一瞬画面が暗くなって。
『ん?中継終わり?』
物凄い寛いでいるすずきおにいさんとわかちゃんが写った。
「生中継だったのか・・・」
『おにいさん繋いで!頼む!』
『繋げと言われてもなあ・・・。
ああそう言えばさっき出ていたお喋り芋だがなあれはオレの地元では
饅頭にして食っていたらしいぞ。』
『下らない』
バッサリ切り捨てるわかちゃん。
『わかちゃんは今日も相変わらず厳しいな!』
ちゃちゃちゃ〜んと音楽が流れる。
「あ!じん兄ちゃんの体操の時間!」
すとんとソファの前に降り立つ修羅。
『みんな〜元気だべか〜。
今日は空中ムーンサルトに挑戦だべ〜!』
わーと集まった子供達の真ん中で爽やかに陣は笑う。
「あいつら・・・色々やってるんだな。」
「平和な分傭兵仕事少ないからな。」
ふたりともちゃんと見てて!と頬を膨らました息子に
ちゃんと見てるよ〜と返す。
「浦飯が。」
「ん?」
「今度魔界に来る時はうちに泊めるか。」
「・・・それ料理作るのオレだろ。」
「良いだろう少しくらい。可哀想じゃないのか?」
「・・・もう大人なんだから好きにするだろ。」
「邪眼師には甘い癖に。」
「幽助と飛影は違う。」
も〜!ちゃんと見ててー!と怒鳴った修羅をごめんねーちゃんと
見てるよと宥め二人して視線をTVに移した。
そこには。
棗への愛を語るグデグデに酔った酎。
カオスにも程がある、と黄泉と蔵馬は顔を見合わせると同時に
溜息を吐いた。

余談だが、
夏休みこどもスペシャルの視聴率はケーブルTVとしては異例の
40%越を記録したと。
ついでに『あんなブラクラ子供にみせんな』やら『食べ物を
無駄にするな』やらのクレームが数十件。
あと『可哀想な浦飯幽助さんに』と食材が大量に届けられたと言う。



〜今月心霊系のスペシャル番組色々あって嬉しい悲鳴ですよ!
やっぱり夏は心霊番組稲川淳二!
魔界料理(と言うより北神プロデュース飯)詳しく書くと
ダンジョン飯っぽくなるので割愛いたしました。
体操のじん兄ちゃんはドリフの体操の仲本工事イメージです。





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1 コメント

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Unknown (きら☆)
2017-08-15 06:14:25
後編、超面白かったです\(^o^)/ゲームをやりながらも、ちゃんと小説を恵んでくれるりくらくさんが大好きです(*´▽`*) 北神が北神がっww 怖いよう!雷禅国の食料事情が怖いよう(≧▽≦)と思いながら、修羅みたいにワクワクと読んでしまいました~♪陣兄ちゃんは体操のお兄さんなんですね~ピッタリ(*^-^*) 剛蔵も色々、考案中なんですね~?期待↑↑とっても楽しみにしています(^_-)-☆


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