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幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SSS 今年は野菜が高騰です

2018-09-02 08:19:51 | 神成屋繁盛記
「でよ」
鼻を膨らませ胸を反らす。
「今年は台風とか水不足とか凄かったろ?
毎年冬場は野菜がたけーから苦労すんだろ、おめーんとこも」
腕組みをしてうんうんと頷き。
「白菜がたけーんだよな全く。葱も。
冬は鍋やったりするし店やってなくても食費あがるし」
ちらりと薄目を開けて。
「大変だよなぁ。
おめーんとこ、うちより儲かってたから野菜の消費量ハンパねぇだろ。
いやあ〜大変だあ〜」
にやにやしながらこちらを見る。

朝の仕込みがひと段落し店員揃って冷たい茶で休憩、
今日も一日宜しくな、と朝のミーティングっぽい事を行なっていた
神成屋に近くの高架下でラーメン屋台を営む商売敵が来襲したのは
五分ほど前だ。
許可もしていないのにポットから冷茶を注ぎ飲み干し一番冷房の当たる
テーブルに腰を下ろし何故か突然『野菜が高い』と宣いだした。

「ほんっと大変だよなあ〜。
まいんち餃子用のキャベツだけでも三玉だろ?白菜もニラも葱もだろ?
ラーメンのスープにも使う分もあるし。
あー大変だ〜」

向かいに座る黒髪の小柄な男はぽつりと返した。
「何が言いたい?」
にやにやにやと笑いながら商売敵ー浦飯幽助はドヤ顔で言った。
「まあ、オレは?
店が軌道に乗ってからは蔵馬に頼んで野菜作って貰ってるし?
あ、タダじゃないぜ?ちゃんと金は払ってるよ。
まあお友達価格で手間賃程度で良いっつってくれてるから
たまにアイツの畑に手伝い行くんだけどよ〜」
黒髪の小柄な男ー飛影は冷めた目で幽助を見る。
飛影の隣に座るもう一人の店員、彼の妹雪菜もだ。
「……そうなんですか」
「おう!
いやあ、ほんっとおまえらの店は今年の冬は大変だぜ?
人気店は人気店で苦労すんだなあ!」
わははと笑う幽助を。
この店の店主、泣く子も黙る闘神雷禅は生暖かい目で見た。
「……バカ息子」
「なんだクソ親父」
「そりゃあ良かったな、羨ましいぜ」
「だろ!良いだろ!?」
「ああ」

傍から見れば商売敵ではあるがお互いに認め合い切磋琢磨する
理想の親子に見えなくもない。
立ち上がり冷蔵庫に新しい冷えた茶を取りに向かった雪菜の後ろから
飛影が小さく声をかける。
「おい」
「はい?」
「あのバカは知らんのか?」
ふ、と憂いを含んだ笑みを雪菜は浮かべる。
「こちらに初めていらした時にコエンマ様がおっしゃってましたけど」
はあ、とため息を吐いて飛影は雷禅に向って
『お友達価格で蔵馬に野菜を作って貰ってるオレ』
を自慢する幽助を見た。なんだかとっても嬉しそうな幽助を。
「トリ頭か」
まあまあ、と雪菜は笑う。
「ニンゲン夢を見るって必要な事ですよ?」
例え泡沫でもと、囁くその顔は飛影には妙に大人びて見えた。



〜久々ラーメン屋。
昨日餃子捏ねてたら思いついた話です。
来週の九日は九蔵の日なんですって。
ので来週は九蔵SSです、サイトで。







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