「おまえが悪い。」
いつもより更に悪い目付き。
荒んだ妖気。
身体中には大小の傷。痣。
ボロ布と化した服で辛うじて下半身のみ包んだ
小学6年生男子ほどの身長の声帯から出るとは
考え難い低い声で。
「飛影。ほら顔見せて。」
額に斜めに綺麗に邪眼を避けて走る傷から流れる血を
拭こうと脱脂綿を持つ蔵馬に顔を向けつつ。
もう一度。
飛影は黄泉に向かって
「おまえが悪い。」
と繰り返した。
そろそろお昼だね何食べたい？と聞いた蔵馬に修羅が
サンドイッチ！と叫んでハムと卵あるからあとトマトとレタスを
温室からパパと採っておいで？と優しく言われた二人が
温室から戻ってみれば。
いつも綺麗に塵一つなく掃除されたリビングは(たまに修羅がおもちゃで汚すが)
割れた硝子、毛足の長いラグに滴る夥しい血液によって
殺人現場かと見紛う大惨事になっていた。(黄泉は見たわけでなく匂いと音と
触覚で解ったわけだが。)
うわーうえーとか言いながらも修羅は飛影の傷を覗きこんでいる。
黄泉との手合わせで修羅も怪我はするが殆どが打撲か擦過傷だ。
たまーに捻挫酷くて骨折なのでこんなにぱっくり開いた切り傷は
なかなかお目にかかれず怖いもの見たさと子供の残酷さで。
「血のわりにはあまり酷くないね。」
額の傷を消毒したあと血止めの薬を塗り込み器用に包帯を
巻きながらさっと飛影の身体の傷を見る。
擦過傷はまあほっといても3日もあれば治る。
あとは右腕の抉れた傷と紫に変色した左胸。
それに引きずっていた左足くらいか。
「わー痛そう〜何悪いことしたんだよおまえー。」
いーと顔を顰める修羅に足らない包帯を取りに行って貰う。
黄泉が片付ける硝子片の音が気になるが。
「飛影。」
ぴくりと飛影の肩が動いた。
「これ躯と喧嘩したんでしょう。」
「なんでわかる！？」
何でも何もと黄泉と顔を見合わせる。
傷口から香るのは躯の妖気だ。
「黄泉が悪いってあなた言ってましたけど何が悪いんです？」
黄泉が最近躯と会ったのは一月前の正月だ。
とくに何もなく「よお。」「ああ。」ぐらいで別れた。
それが原因で人間だったら死んでるかもよー？な重傷を負わせるほど
理不尽な暴君ではない躯は。
紫に変色した左胸を押して見る。
小さく飛影が呻いた。多分折れている。
今持っている薬草には骨折に効くものはない。
部屋に取りに行かなきゃならない。
面倒だと思いながらも腕の傷に薬を塗り込んだ。
「・・・だ。」
「は？」
「ん？」
「昼飯が。」
ぽつりと飛影が語るには。
7日前大統領府でパトロール任務者のみ緊急招集があった。
対した用事でもなくさっさっと終わったのが
逆に悪いと思ったのか昼飯にと煙鬼が白米と常備菜だが
と肉味噌と豚汁を出して来た。
その肉味噌にいたく感動した躯が何処で買ったのか聞いた所
煙鬼は蔵馬の手製だと教えた。
「それでなんで黄泉が悪いの？」
うんうんと黄泉も頷く。
欲しけりゃ頼まれさえすれば余程忙しくない限り
蔵馬は躯に肉味噌くらい作ってやるし。
馬鹿野郎！オレ以外のヤツに飯なんて作んじゃねえ！
なんて了見の狭いことは黄泉は言わない。
「だから。」
だから？と二人揃って返す。
ぐっと詰まって飛影が怯む。
「・・・貴様らがそうやって二人でイチャついてるのが悪い！」
顔を真っ赤にして怒鳴る。
ゼェゼェと肩で息をする飛影。
「八つ当たりか。」
へーほーふーんと面白そうに黄泉は言う。
「八つ当たりで家壊されちゃ敵わないだろ。」
わざと力を入れて包帯をキツく縛ると蔵馬は薬を取りに
居間を出た。
「で。本当の理由は。」
ちっと舌打ちして飛影は返した。
「アイツが作った肉味噌が不味かった。」
「で素直に不味いといったわけか。」
「・・・不味いモンは不味い。」
飛影にとって人間界の食事は南野家の食事が基本だ。
たまにファストフードや幽助のラーメンなどを食べるが
南野家の味付けが飛影にとっての(ちょっと違うが)お袋の味だ。
なので。
「味噌が焦げているのは許せん。」
要するに。
彼女が初めて彼氏に手料理を作りました。
喜んでくれるかなあ。ドキドキしちゃう。
一口食べた彼氏は一言。
『不味い。』
「まさかとは思うが邪眼師。」
「なんだ。」
「躯の肉味噌を蔵馬の物と比べた発言を」
「したが？」
何が悪い？と聞き返す飛影。
不味いだけでなくオレの母さんの飯のが旨いとか
言わないのが普通なんだぞ？と教えていないオレが悪いのか？
なぜだ？と黄泉は1分ほど悩んだ。
〜初手料理肉味噌って渋いな。
わたくしはハンバーグでした。やっぱり作りなれてるものが
一番ですのよ。多分躯は料理本とがネットを使わず
耳学問で制作したと思われますがどうでしょう。
でも焼餅の次肉味噌はチャレンジャーですね。
マッシュポテトか野菜炒めじゃないと←小5の家庭科か。
いつもより更に悪い目付き。
荒んだ妖気。
身体中には大小の傷。痣。
ボロ布と化した服で辛うじて下半身のみ包んだ
小学6年生男子ほどの身長の声帯から出るとは
考え難い低い声で。
「飛影。ほら顔見せて。」
額に斜めに綺麗に邪眼を避けて走る傷から流れる血を
拭こうと脱脂綿を持つ蔵馬に顔を向けつつ。
もう一度。
飛影は黄泉に向かって
「おまえが悪い。」
と繰り返した。
そろそろお昼だね何食べたい？と聞いた蔵馬に修羅が
サンドイッチ！と叫んでハムと卵あるからあとトマトとレタスを
温室からパパと採っておいで？と優しく言われた二人が
温室から戻ってみれば。
いつも綺麗に塵一つなく掃除されたリビングは(たまに修羅がおもちゃで汚すが)
割れた硝子、毛足の長いラグに滴る夥しい血液によって
殺人現場かと見紛う大惨事になっていた。(黄泉は見たわけでなく匂いと音と
触覚で解ったわけだが。)
うわーうえーとか言いながらも修羅は飛影の傷を覗きこんでいる。
黄泉との手合わせで修羅も怪我はするが殆どが打撲か擦過傷だ。
たまーに捻挫酷くて骨折なのでこんなにぱっくり開いた切り傷は
なかなかお目にかかれず怖いもの見たさと子供の残酷さで。
「血のわりにはあまり酷くないね。」
額の傷を消毒したあと血止めの薬を塗り込み器用に包帯を
巻きながらさっと飛影の身体の傷を見る。
擦過傷はまあほっといても3日もあれば治る。
あとは右腕の抉れた傷と紫に変色した左胸。
それに引きずっていた左足くらいか。
「わー痛そう〜何悪いことしたんだよおまえー。」
いーと顔を顰める修羅に足らない包帯を取りに行って貰う。
黄泉が片付ける硝子片の音が気になるが。
「飛影。」
ぴくりと飛影の肩が動いた。
「これ躯と喧嘩したんでしょう。」
「なんでわかる！？」
何でも何もと黄泉と顔を見合わせる。
傷口から香るのは躯の妖気だ。
「黄泉が悪いってあなた言ってましたけど何が悪いんです？」
黄泉が最近躯と会ったのは一月前の正月だ。
とくに何もなく「よお。」「ああ。」ぐらいで別れた。
それが原因で人間だったら死んでるかもよー？な重傷を負わせるほど
理不尽な暴君ではない躯は。
紫に変色した左胸を押して見る。
小さく飛影が呻いた。多分折れている。
今持っている薬草には骨折に効くものはない。
部屋に取りに行かなきゃならない。
面倒だと思いながらも腕の傷に薬を塗り込んだ。
「・・・だ。」
「は？」
「ん？」
「昼飯が。」
ぽつりと飛影が語るには。
7日前大統領府でパトロール任務者のみ緊急招集があった。
対した用事でもなくさっさっと終わったのが
逆に悪いと思ったのか昼飯にと煙鬼が白米と常備菜だが
と肉味噌と豚汁を出して来た。
その肉味噌にいたく感動した躯が何処で買ったのか聞いた所
煙鬼は蔵馬の手製だと教えた。
「それでなんで黄泉が悪いの？」
うんうんと黄泉も頷く。
欲しけりゃ頼まれさえすれば余程忙しくない限り
蔵馬は躯に肉味噌くらい作ってやるし。
馬鹿野郎！オレ以外のヤツに飯なんて作んじゃねえ！
なんて了見の狭いことは黄泉は言わない。
「だから。」
だから？と二人揃って返す。
ぐっと詰まって飛影が怯む。
「・・・貴様らがそうやって二人でイチャついてるのが悪い！」
顔を真っ赤にして怒鳴る。
ゼェゼェと肩で息をする飛影。
「八つ当たりか。」
へーほーふーんと面白そうに黄泉は言う。
「八つ当たりで家壊されちゃ敵わないだろ。」
わざと力を入れて包帯をキツく縛ると蔵馬は薬を取りに
居間を出た。
「で。本当の理由は。」
ちっと舌打ちして飛影は返した。
「アイツが作った肉味噌が不味かった。」
「で素直に不味いといったわけか。」
「・・・不味いモンは不味い。」
飛影にとって人間界の食事は南野家の食事が基本だ。
たまにファストフードや幽助のラーメンなどを食べるが
南野家の味付けが飛影にとっての(ちょっと違うが)お袋の味だ。
なので。
「味噌が焦げているのは許せん。」
要するに。
彼女が初めて彼氏に手料理を作りました。
喜んでくれるかなあ。ドキドキしちゃう。
一口食べた彼氏は一言。
『不味い。』
「まさかとは思うが邪眼師。」
「なんだ。」
「躯の肉味噌を蔵馬の物と比べた発言を」
「したが？」
何が悪い？と聞き返す飛影。
不味いだけでなくオレの母さんの飯のが旨いとか
言わないのが普通なんだぞ？と教えていないオレが悪いのか？
なぜだ？と黄泉は1分ほど悩んだ。
〜初手料理肉味噌って渋いな。
わたくしはハンバーグでした。やっぱり作りなれてるものが
一番ですのよ。多分躯は料理本とがネットを使わず
耳学問で制作したと思われますがどうでしょう。
でも焼餅の次肉味噌はチャレンジャーですね。
マッシュポテトか野菜炒めじゃないと←小5の家庭科か。