DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SS  パワフル乙女

2017-02-12 12:54:45 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
まあ。なんだ。と躯は一人頷いた。
この家の前に立ち尽くして15分。
何でオレがこんな事とか寄りにもよって何でコイツにとか
でも棗に宣言しちまったしな。とかあまり人通りは無いとは言え
頭を抱えて逡巡する彼女を訝しげに横目で見ながら通り過ぎる
犬の散歩中のおっさんやらそのスカート寒くね?と聞き返したい
太腿丸見せjkやらを意にも解さずに。
「・・・よし。」
一つ深呼吸し躯は扉をノックした。
(何でインターホンがついてねぇんだ?)
ぱっと見この家は築年数も古く安普請に見える。
魔界では類する者のない程贅を尽くした住居に居る癖に何で
こっちではこんなどっちかと言うと『貧しい』に分類される家なんかに
等と考えていると。
「はい?」
と答えながら扉が開く。
まさか自分がいるとは(それも一人で)思わなかったのだろう。
大きな瞳を更に大きくして家主、蔵馬は躯。と呟いた。
「・・・キツネ?」
そう問い返した躯の瞳も限界まで開いている。
いつも背中に下ろしている髪はルーズに団子状に纏められ
頭の天辺近くにあり、前髪は左右にピンで無造作に止められ
オデコ全開。いつも隙なく見せない肌は鎖骨が見えるくらい
開いた襟ぐりのダボっとしたセーターにピタリと脚に沿う
細身のパンツ。
なんつーかこう。
『昨日は1日中彼氏とベッドの中♥
彼より先に起きた私はスッピンで朝食の準備中。
インターホンに慌てて玄関にでちゃった☆ヤダー私スッピンじゃないΣ(゚Д゚)』
「みたいな。」
「何言ってんですか馬鹿ですか。」
冷たく返す蔵馬にイラッとしたが今日はからかいに来たわけでも
喧嘩を売りに(一回本気にやっては見たいが)来たわけでもない。
「で、何ですか?オレ忙しいんですけど。」
そりゃ見りゃ解る。
目の下に隈。
キッチンのゴミ箱には空の機能性飲料が大量に捨ててある。
居間のテーブルの上には魔界語の書類と霊界語の分厚い本。
あとよく解らない多分人間界の地方言語の紙束。
少なくとも3つの仕事を並行してこなしているのだろう。
「ご苦労さん。」
一応かけた労いの言葉に蔵馬はにこやかに笑いながら言い返す。
「ええ、貴女が『人間界の読み物を魔界語で読んでみてーな』とか
簡単に言ってくれたおかげですよ。本当に日本のものだけなら
ともかくロシア語とか色々あるし。」
そういやそんな事も言ったなあ。と躯は出されたコーヒーを啜る。
「で、何の用なんです?」
さっさと本題言えよと促す蔵馬の視線から顔を逸らし躯は
囁いた。
「・・・れ。」
「れ?」
「菓子の作り方教えてくれ!」
頭を下げてはいないが気持ちの上では土下座くらいの心積もりで
躯は叫んだ。
こくりとコーヒーを一口飲み込んで。
「・・・何か誤解されてるみたいですけどオレ菓子なんて作れませんけど。」



「はあ?!
何言ってんだお前!お前の飯ヤバイくらい美味いだろ?!」
「まあ料理に関してはそう言われるのもやぶさかじゃありませんが
菓子に関しては別に。」
「この前飛影が持って帰って来たラスクは?!」
「ラスク??・・・・ああサンドイッチ作った時に余ったパンの耳を
油で上げて砂糖かけたアレ?」
「ラスクだろ?」
「違う?と思いますけど。」
「ハロウィンのクッキーとか」
「クッキーミックス使用ですが。」
「パウンドケーキ!」
「あれは全部1パウンドで作れるレシピなんで。」


がくりと肩を落とした躯に早く帰ってくれないかなあと
思いながら壁に掛かったカレンダーを見る。
「・・・バレンタイン?」
「・・・そうだよ畜生!」
ガバッと顔を上げると躯は捲し立てた。
最近飛影の野郎は女から人気がありやがる。
まあそれは悪いことじゃない。モテないヤツよりは
モテるヤツのが良いし。
去年は躯に遠慮していた百足内の女達も義理ですチョコとか
感謝の気持ちチョコとかお世話になりましたチョコとか
様々な理由をつけて飛影にチョコを渡そうと画策してるわよ
とニヤニヤしながら棗に教えられた。
だからなんだ?と返すと呆れた顔であんたね。
あの子が何時までもアンタみたいな女子力ゼロで満足すると
思ってんの?只でさえ飛影の心のママは魔界一お嫁さんor恋人にしたい
ナンバーワン妖怪の蔵馬よ?料理も気遣いも頭の良さも恥じらいもある
その上可愛い。去年あの子が配った友チョコ闇値で300超えたのよ?
意味解る?可愛い料理上手でそれなりに強い女子(男子でもいいけど)
が告白したらコロっと行かないとも限らないわよ!

いやコロっと行かないだろうよと蔵馬は苦く笑う。
「んで、売り言葉に買い言葉で飛影にチョコ・・・」
「作るって宣言しちゃった。と。」
「だから頼む!キツネ!」
頼むと言われても。
本当に菓子なんて数えるくらいしか作ったことない。
しかもチョコなんてノータッチだ。
チョコ作るって言っても・・・・と一瞬考えて
パソコンを立ち上げる。
「キツネ?」
カチカチとマウスを動かしパタパタとキイボードを叩く。
「あった。」
何が?と躯が覗き込む。
画面には手作りらしきチョコレートの画像。
「初心者用のチョコレート製作レシピ。」
丁寧に写真と手順が添えられた物だ。
因みにレシピ名は『小3の娘が作ってみた』そこは
カーソルを、動かして隠してある。
「どうぞ。
材料も百均とコンビニで揃うみたいですし。」
だから早く帰れ?と笑顔。
「・・・すげぇなキツネお前天才?」
「材料買うくらいなら付き合い」
ガッと肩を掴まれる。
躯の目は本気だ。
「じゃあ一緒に作ろうぜ。」
「なんで?!」
「ウチの厨房で作ってたら怪しいだろ。
幽助んとこ行ったら酒飲みになるしよ。」
「棗の所は?」
「アイツんち竈だ。」
だから一緒に、作ろうぜ!
と歯を見せて笑う躯は偉く格好良かったが。
多分絶対確実に自分の疲労は今以上に増えると
蔵馬はthe部屋着仕様で躯に家の外に引っ張り出され
ながら自分の不運を呪った。




〜バレンタインネター。
蔵馬さんはあれです菓子系は作れるけど作らない派かな。
多分手を出したら完璧な物を求めそう。メレンゲ泡立て方は何回で
この固さとかハンドミキサーと手で泡立てるのはどちらが滑らかかとか。
だから簡単な物だけ作るのかな。あれだ
ホットケーキミックス万歳派ですね。
躯が作ったチョコ・・・どんな物だったのかはバレンタイン当日に!
あ、私は勿論買いチョコですよ(笑)