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聖教新聞 (2018/ 5/30) 〈幸齢社会〉 オジサンの「孤独」が危ない

2018年06月25日 21時23分56秒 | コラム・ルポ

〈幸齢社会〉 オジサンの「孤独」が危ない

2018年5月30日 聖教新聞

処方箋は“オバサン化”
オジサン研究家 岡本純子さん
 
 

 孤独は、たばこや肥満よりも病気になりやすく、日本の中高年男性が危ないと語るコミュニケーションの専門家・岡本純子さん。著書『世界一孤独な日本のオジサン』(角川新書)が話題です。男性には少し耳が痛い話ですが、岡本さんに孤独の解消法を聞きました。(写真は本人提供)

万病のもと

 健康への悪影響が「たばこを1日15本吸うことに匹敵」「アルコール依存症に匹敵」「運動しないことより高い」「肥満の2倍高い」――それが、孤独。8年前、米国の心理学の教授が発表した、衝撃的な調査結果です。

 近頃は医学的な研究でも、心疾患や精神疾患のリスクを高め、認知機能が衰えることも明らかに。孤独は“万病のもと”と憂慮され、英国では今年1月に「孤独担当相」の新設が公表されました。
 欧米に比べ、日本では「おひとりさま」の言葉に代表されるように、孤独を肯定的に捉えるケースが目立ちます。否定的な捉え方は「孤独死」くらいでしょうか。
 孤独には、独居など物理的な孤立と、ロンリネスと表現される主観的な思いの、二つの意味があります。問題は、後者の“頼れる人がいない”などの精神的なもので「1人=孤独」ではありません。
 誰かと一緒だが孤独な人もいれば、独居だが人と交流し孤独を感じない人もいます。ただ、日本は友人との交流が少なく“世界一孤独な国民”とも。福祉などが恵まれていても、幸福度は高齢な人ほど下がる傾向で、中年期が最も不幸で高齢になると幸福度が増す欧米とは違います。
 要因には、ボランティア活動や地域での人とのつながりを示す「ソーシャルキャピタル(社会関係資本)」の数値が、日本は低いことが挙げられます。幸福と健康に影響する注目すべき点です。

定年が怖い男

 孤独大国・日本で深刻なのは中高年の男性です。街で、お茶などを楽しむ女性たちはよく見掛けても、オジサンの集団はほぼ見掛けません。

 働き盛りの男性会社員に尋ねると、「仕事以外で人との付き合い方が分からない」という人も。経済的な理由より“定年後の孤独”が怖くて、いつまでも働きたいと考える人もいます。たとえ「仕事が生きがいではない」と働いてきた人でも、いざ退職すると「何を目的に生きればいいか分からない」と途方に暮れる人が少なくないのです。
 一方、妻は地域に密着して暮らし、夫が定年を迎える頃は習い事や趣味なども充実。親しい“頼れる人”の数は、夫の何倍もいるもの。そんな中、退職後の夫が頼りにするのが妻だけでは、夫婦関係も危うくなるでしょう。
 退職して職場を失い、家庭にも「居場所がない」と嘆く男性たち。現役時代、会社は“社会の一部”だという認識が甘く、社会にいたつもりで“会社にいただけ”だったのかもしれません。
 今からでも、地域やコミュニティーで、勤務先や肩書を言わずに自分が何者かを表す練習を始めましょう。便利な「名刺」は使わないように。

鍵はコミュ力

 孤独解消の鍵は、何らかのコミュニティーに参加することで、コミュニケーション力(コミュ力)が不可欠です。いわば、人とつながるための基礎体力。ところが、日本の中高年男性はコミュ力の低さが際立っているのです。

 例えば、サラリーマン経験者は名刺がないと自己紹介ができず、「私は〇〇している(してきた)者です」と説明しても、相手が「だから?」と思う言い方が多いです。
 コミュニケーションの基本は、相手に対して自分は何ができるのか――一方的な自己紹介ではなく“思いやり”が大切です。模範にすべきは、喫茶店や道端で展開される、中高年女性たちの何げない会話。どんな話題でもお互いに共感し、褒め合い、おしゃべりを延々と楽しんでいます。
 とかく男性は、何か目的があって会話しますが、女性は話すこと自体が目的のようなもので、高いコミュ力の表れです。人とつながるのが不得手な男性は“オバサン化”することこそ、孤独を解消する処方箋といえるでしょう。

人とつながる

 自分が孤独かどうかは主観的なものなので、男性は認めたがらない傾向があります。客観的には、「この5年間で新しい友人が一人もできていない」場合は要注意。「孤独を愛する」などと言っている場合ではありません。

 おしゃべりが苦手な男性は物作りや運動、趣味等のコミュニティー参加から始めてもいいですね。自ら「夢中になれるもの」「得意なもの」や「社会が求めているもの」を基にすれば、人とつながるのは難しくないでしょう。
 コミュニケーションとは、サイエンス(科学)であり、アート(芸術)であり、スポーツのようなもの。学校で、「読む・書く」は教わっても「話す」教育を受ける機会は少なく、上手にできなくて当然です。少しコツを覚えたら自分らしくでいいのです。
 最近、高齢者の孤立を防ぐ「サロン活動」が各地で活発です。でも、参加者の大半がオバサン。勝手なお節介ですが、オジサンたちも人とつながって生き生きしませんか。

 おかもと・じゅんこ 早稲田大学政治経済学部卒業。英ケンブリッジ大学大学院国際関係学修士。米マサチューセッツ工科大学(MIT)比較メディア学客員研究員、読売新聞記者、㈱電通パブリックリレーションズコンサルタントを経て、㈱グローコム代表取締役社長。コミュニケーション能力などを養う企業研修等を支援する。


自分は大丈夫だと思うけどね…って、この考え方が危ない!

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