女優、吉高由里子(27)が、9日に開幕した初出演舞台「大逆走」(東京・渋谷のシアターコクーン、25日まで)で、昨年のNHK連続テレビ小説「花子とアン」以来1年ぶりに女優業を再開した。

 今回は先日、サンケイスポーツ紙面で紹介したインタビューのこぼれ話を。

 デビューして約10年。転機になった出来事を聞いたときだ。

 てっきり「花子とアン」や、休業中の海外経験を挙げてくると思っていたら、2008年公開の映画「蛇にピアス」の撮影直前に起きた交通事故だと即答した。

 オーディションで同作の主演が決まった数日後に、事故であごの骨を折る重傷を負い、ICU(集中治療室)に5日間入院。降板はやむをえないと覚悟したが、製作側の答えは、まさかの「治るまで待ちます」だった。くしくも、死をも覚悟したその事故を通して、仕事がなくふてくされていた自分が、「いかに周りに助けられていたのかを知るきっかけになった」と振り返る。

 「それまでは、自分しか見えていなかったんです。事故の時は、寝返りもうてないし、ほふく前進とか、歩く練習もしたりして。めっちゃ痛い思いをして、かわいそうでしょ?みたいに思っていたけど、自分がけがして撮影が遅れることによって、知らない人が私のために、いっぱい頭を下げている。それを知って、私はなんてことをしているんだ、と。その時、以前の自分勝手だった行動を次々と走馬燈みたいに思い出してきて…」

 実は以前、「蛇にピアス」で彼女にインタビューしたときに、同じような答えを聞いたことがある。当時は事故から月日がたっていないこともあってか、事故のことはあまり話したがらなかったが、今回の取材を通し、彼女がいかにこの時の自身の変化を大きく思っていたのかを実感した。

 確かに事故の後、正確には「蛇にピアス」のあと、彼女の仕事は激増した。それは彼女の変化が周囲にも伝わったからだと思う。

 初ヌードも披露した同作は、彼女の代表作になった。それを見たスタッフが次の作品を依頼し、またそれを見たスタッフが新たな作品を依頼して今に至る。「1つのうれしい作品が、また次のうれしい作品につながったりすると、すごくやってよかったなと思います」。初舞台「大逆走」も、きっと次の“うれしい作品”につながっていくに違いない。(まろ)


窮地に立った時、本当に見えてくるものがありますもんね。

まさしく今の自分もそう。

記事とは違うかもしれませんが、あれっ?っていう人が励ましてくれたりして、本当のことを知ったり…。