西武鉄道が黄色い通勤電車を使い、「ミステリービアトレイン2015」を運行。車内に流し台が設置されるなど、“日常”の象徴ともいえる通勤電車に“非日常”の風景が広がりました。

通勤電車にあるまじき車内放送

 車両の前後方向に設置された長い椅子。ぶら下げられた無数のつり革。そんな典型的な通勤電車の車内が一変しました。

 車両の前後方向に設置された長い椅子、その前に長机とお弁当、ジョッキ。ぶら下げられた無数のつり革、それと一緒にぶら下がる提灯。“日常”の代表的存在としても過言ではない通勤電車が、すっかり“非日常”の世界になっていました。

 2015年10月1日(木)、西武鉄道は2000系という黄色い通勤電車を使って「ミステリービアトレイン2015」を運行。その車内の様子です。

 始発駅は、拝島線の玉川上水駅(東京都立川市)。

「みなさま、お待たせいたしました。ただいまより乾杯いたします!」

 そんな通勤電車にあるまじき車内放送のあと、およそ2時間にわたって、列車のなかで宴が繰り広げられました。

“流し台”がある通勤電車

 4両編成で運行された、この非日常的な通勤電車。うち1両は、さらに不思議な状況になっていました。車内にビールサーバー、そして流し台が設置されていたのです。

 このように車内で生ビールを提供する場合、衛生面から保健所の指導で、その設備が必要なのだそうです。電車が駅に停車するたび、ホームから目を丸くして車内をのぞき込んでいる人、スマートフォンなどで写真を撮っている人が多く見られたのも印象的でした。

 西武鉄道によると、通勤電車を使ってこうした「ミステリービアトレイン」を運行するのは、昨年に続き2回目とのこと。実施する背景には、堅く見られがちの鉄道会社に対し、より親しみを感じて欲しい、利用者との距離を縮めたい、という意図もあるそうです。

通勤電車で宴会、トイレはどうする?

 この列車は「ミステリービアトレイン2015」という名前の通り、玉川上水発玉川上水行きという以外、ルートはそのときまで分からない“ミステリー”になっています。

 10月1日(木)に運転されたその列車の経路は、玉川上水〜小平〜東村山〜西武園〜東村山〜狭山市〜小平〜玉川上水というものでした。途中、西武鉄道の本社があり、全ての旅客列車が停車する所沢駅を豪快に通過したり、普段は人を乗せた電車が入らない「引き上げ線」という場所に向かうなど、列車の運行面でも非日常的な光景が見られています。

 しかし“通勤電車で宴会”というと、トイレのことが気掛かりです。そのため途中、西武園駅と新所沢駅で約15分ずつ“トイレ休憩”が設けられていました。

 西武鉄道の「ミステリービアトレイン2015」は、10月4日(日)までの運行。土日の運行分はすでに満席といいますが、このうち、埼玉県の本川越駅発着となる10月2日(金)の便については、まだ若干の空席があるそうです(10月2日10時の状況)。


うらやましいぞ、非日常!