全国的に有名な岸和田だんじり祭りの一カ月後の10月中旬、大阪南部の泉州地方では各地で一斉にだんじり祭りが行われる。一台のだんじりを中心に、子供も大人もそれぞれの役割を担い、ひとつになって2日間に渡って地域を疾走し、練り歩く。その距離は一日30キロにも及ぶ。

 毎年参加している貝塚・南近義地区の祭りで必ず気を遣うのが、踏切の渡りである。JRから何人もの職員が来て、時刻表を見ながら各町のだんじりを慎重に渡してくれる。こちらはどれだけ時間がかかってもじっと待ち、許可が出れば速やかに渡っていく。

 踏切待ちをしていると、電車の乗客がこちらを見ているのに気づくことがある。法被を着て祭りに参加していると、その一瞬でさえ誇らしく感じる。まして通過した電車が遠くから人々を運んでくる特急ならなおさらだ。今年、我が王子町会が踏切で待っていると、白浜発新大阪行きの287系特急「くろしお」が猛スピードで走り抜けていった。手持ちのスマホで撮影してみると、なんとぴったりくろしおの鼻先がだんじりと並び、その白いボディが、歴史と伝統ある茶色いだんじりと見事なコントラストを演出した。

 祭りの準備は7月ごろから本格化する。何度となく会議を重ね、道路使用許可などたくさんの書類を準備し、バーベキューや盆踊りで親睦を図る。ひたすらに暑いこの時期、汗をかきながら沿線で撮影をしていると、葛城山系に沸き立つ入道雲が「いよいよ始まるぞ」というのろしに見えたのは、祭りに入れ込みすぎということなのか?

(文化部長 藤浦淳)


だんじり…本物の祭りを見てみたいなぁ。