うなぎのねどこ

鰻の寝床で日々オーディオと格闘の記録です。

バッハとメンデルスゾーン

2016-07-29 23:33:19 | オーディオ
このところ七味氏から拝借しているヘレヴェッへのマタイを集中して聴いている。実のところ、マタイはその長さが災いして今までバッハの音楽の中でも苦手科目であったのだが、さすがヘレヴェッへである。まるでラジオの歌番組でも聴くような感覚で聴き通してしまった。それでも3枚組なので3夜に分けて聴いたのだが、また始めから聴こうかと考えている。
ところで、マタイを聴いていてふと連想したのがメンデルスゾーンの2番目の交響曲。交響曲というタイトルがついてるが、全体は2部構成で、合唱あり独唱あり、あれ、これはよく考えたらマーラーの8番と同じような構成ですねえ?まあ、マーラーのことはとりあえずさておいて、メンデルスゾーンに話を戻すと、周知のとおり大バッハの発掘者であり研究家でもあったのは有名な話。メンデルスゾーンというと、とかく人は「お上品な音楽」の代表格のような物言いをしたがるし、名盤?の本とかにもそういう傾向の演奏ばかりが選ばれ、選者もまた上品な演奏だから選んだなどと言っていることが多々ある。しかし、この第2交響曲に限っていえばどう演奏したところでエネルギッシュな肉食人種の音楽にしか聴こえない。わが国でいまいちポピュラリティを獲得できない原因も多分そこらへんにあるような気がする。
で、大バッハとの関連性に話を戻すと、メンデルスゾーンがこの曲を作曲するにあたって念頭にあったのはおそらくベートーヴェンの第9ではなく、マタイやロ短調ミサなどの管弦楽伴奏を伴った声楽曲であることが想像できるし、あるいはヘンデルのオラトリオなども参考にしている可能性があると思う。使用しているテキストにしても、音楽にいきなりな感じがないのも、そう思う理由である。
今日もマタイかと思っていたのだが変更し、この曲のことを思い出し聴いてみることにした。なかなかに取っ付き難い音楽であるのはこういう構成の曲である故か?まず、手元にある音源で最近入手したアバド/ロンドン響を通して聴いてみた。印象は、高い世評とは裏腹に??であり、全体的に何か散漫な印象が拭えない。なら他のはどうかと次にサヴァリッシュ/BPOを少し聴く。これはゴツゴツした座りのいい演奏、言い換えれば教科書的。対してマズア/LGOは軽やかな足取りの演奏、録音が古びているのが残念なところだが見通しが大変よく、これはいい意味でヘレヴェッへにも共通している。おそらく合唱の指導も時間を掛けて練ったのであろう。最後にカラヤン/BPOは悪くはないのだが派手なところが耳につきやすい感じ。
しばらくはこの2曲と時間を掛けて取り組むことになりそうである。しかし本格的な夏なのになんだってこのヘビーチョイスなんですかねえ。まあヘレヴェッへの方は演奏が涼しいからまだいいか。