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未来組

宝塚の舞台、DVD、SKYSTAGEを観た感想と、最近はカメラに凝ってます。

彩吹 真央

2007年10月22日 | ジェンヌ・ファイル
「ファントム」のキャリエール、「エリザベート」のフランツ・ヨーゼフと、お髭の渋い役が続きました。芝居全体を引き締める演技力、イコール聴かせる歌唱力の求められる役どころです。

ファントム」の第2幕。キャリエールがクリスティーヌにエリックの出生の秘密を語って聞かせるシーンが、エリックの悲劇と孤独を浮き彫りにしました。「オペラ座の怪人」とは違う次元の物語性と緊張感があそこで一気に高まります。そして銀橋での親子の名乗りのシーンは、忍び泣きの声が客席のあちらこちらから聞こえました。(客観的に考えれば設定に無理があり、そういうお話であるという了解のもとに観る必要はありますが。)
ライブCDを聴くと、春野寿美礼と互す確かな歌唱力がよくわかります。

エリザベート」のフランツ・ヨーゼフ。皇帝の義務とエリザベートへのゆるぎない愛を芯にした役作り。歴代フランツ・ヨーゼフの中でも1、2を争う歌唱力。
エリザベートに出演するのは3回目。最初は雪組下級生のころに黒天使役。次が花組で子ルドルフ役。今度が雪組に戻ってきてフランツ・ヨーゼフ。3回目ということと、お稽古に入る前に水夏希、白羽ゆりとウィーンに行ってきたこともあり、3人(と未来優希)は人物像の理解、役の掘り下げが深いなと感じました。
フランツは名君で当時ヨーロッパ一ハンサムともてはやされた。誇り高く、真面目で、きっとこんな人だったんだろうなと思わせ、説得力がありました。(もっと芝居っぽく演じてほしいという考えもあるとは思いますが)
本人は、行く先々で「エリザベート」をやるから出演機会に恵まれると言っていますが、雪組「エリザベート」を成功させるために、劇団が花組から移動させたのではないかと個人的には思っています。

下級生のころから「若手実力派スター」と言われてきました。ありふれた形容詞ですが、本当にそうなのですから仕方ない。

97年雪組「嵐が丘」。カラスのような黒い衣装で冒頭からストーリーテラー。ヒースクリフの生い立ちをセリフではなく歌で説明するのが、すべての歌詞が明瞭に聞き取れ、そこに込められた感情も確実に伝わってきます。巧みな表現力と美貌が印象に残ります。これで入団4年目なんですよね。

ロミオとジュリエット99」のマーキューシオは、ぼさぼさに逆立てた髪、ストリートキッズのように元気に跳ねまわっていました。実は以前、ざっと筋を追っただけだったので、今回もう一度観ようと思ったら、あら~、びっくり。なに、この上手さは?! マーキューシオは性格俳優の腕の見せ所といわれるらしいですが、彩吹真央のマーキューシオはコミカルで皮肉屋で情熱的で破滅的。台詞から歌から表情、動きまで、下級生ながらすでに老練さを感じさせます。

不滅の棘」では家庭環境や寂しさに耐えられず、享楽的な生活を続ける気弱な若者ハンス。あの見事な酔っ払いぶりは、どこで身につけたのでしょうか? (マーキューシオも酔っ払っていましたが。)

落陽のパレルモ」では身分の違いを越えて、ひたすらに愛を貫こうとする純真な若者ヴィットリオ

蘭寿とむとダブル主演の「月の燈影」(02年花組バウ)。法を逃れ、過去を捨て、裏社会で生きる幸蔵。いきさつを知らず、再開を素直に喜び、相変わらず慕ってくる幼なじみ次郎吉(蘭寿とむ)を、汚れた自分の世界に巻き込むまいとする男の純情。
復讐心を仮面の下に隠してクールに生きているけれど、親友を守るために命懸けになるってところは吉田秋生の漫画の主人公みたい。影のある魅力がたまりません。
町奉行所の手が及ばぬ歓楽街「川向う」(隅田川東岸)という設定は、大げさなんでしょうが、大野拓史ワールドと江戸情緒がうまくブレンドされていました。

NAKED CITY」(04年花組バウ)ではニューヨークで犯罪や事件、事故をスクープするゴシップカメラマンのビリー。本人の趣味がカメラだということもあり、フラッシュのついた旧式の大きなカメラを体の一部のように扱っていて、本当に写真を撮っているように見えたのが、「NEVER SAY GOODBY」の和央ようかとは違いましたね。登場シーンで無線をいじっている姿も子供のようでかわいらしかった。

彩吹真央を見ていると、つくづく宝塚ってすごいところだなと思います。歌一つとっても、しっとりと聴かせるだけじゃなくて、ジャズもロックもシャウトもこなす。
ディナーショー「DAY DREAM」は乗りのいいスタンダード、ラテンメドレーを難なくこなして切れ味鮮やか。演出家(中村暁)のセンスもいいのでしょうが、普段からさまざまなジャンルの音楽に接していること、本人がやりたいことをしっかりとわかっているのが感じられます。たたみかけるようなショーの構成も隙がなく、宝塚になじみのない人にも楽しんでもらえる内容だと思います。ジャズのスタンダード♪サテンドールが大好き。

歌や芝居がうまい、で片付けられればいいのですが、それだけでは終わらない。それほど長身ではないけれど、足が長くて踊りもうまい。なんでもこなすわ。

普段はおっとり、ゆっくり話しますが、ショーでは関西弁やアドリブでお客様を乗せます。ディナーショーでのトークもまとまっているし、出演メンバーの個性をよく把握していて切り口がしっかりしていて楽しませてくれる。客席を回っているときも、お客様との距離を感じさせない。

Brilliant Dreams パーソナル編」収録は、雪組に来て間もない時期。下級生とボーリング対決をしたり、写真を撮って親交を深めるあたり、好感が持てます。
普段着(お稽古着)のセンスもいい。ベルトの使い方とか、参考になる。まぁ、真似したところで身長もスタイルも違いますけどね。

シルバーローズ・クロニクル」の評判がとてもいいようで、今週末観に行くのをとても楽しみにしています。


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