2007年雪組バウホール公演
脚本・演出:藤井大介/主演:音月桂、大月さゆ他
1960年代のメンフィス。ライブハウス「ノン ノン シュガー」に集う人々を描いた青春物語。ロックシンガー志願のジョニー(音月桂)は明るく振る舞っていますが、幼い頃父親に捨てられ、母親も自殺していて一人ぼっち。シェイラ(大月さゆ)はお嬢様ですが、親の決めたレールに乗るのがいやで家出してきました。ライブハウスの看板スター、キング・ビート(萬あきら)のライブに集まるグルーピー、若者たちなど、誰もが青春真っ盛りという顔をしていますが、実はそれぞれの事情を抱えていて……。
物語は、作家となったジョニー、Jが30年ぶりにこの町を訪れ、偶然出会った生意気だけれどどこかシェイラに似ているマライアと一緒に懐かしい場所を訪れるという形で語られます。
シンプルな青春グラフィティで、時々くすぐったくなる。でもオールディーズ満載なのも楽しく、自ずとテンションが上がります。ストーリー性を楽しむというより、音月桂のアイドル性に酔う舞台と言っていいでしょう。
癖のないきれいな歌声から、こぶしの効いたシャウト、ヨーデルのような裏声まで器用に使い分けます。こんなに達者なロックシンガーだったとは。歌手<KEI>としてソロデビューさせたいくらいです。そしてストーリーを進める上では見事な歌いっぷりだけど、ジョニーは音痴という設定なのか、キングの前座としてわざと下手に歌ったのか?ライブハウスでの音程の外し方はたいしたものでした。難しかったかもしれませんが、結構楽しそうでした。
本人がどう思っているかはわかりませんが、男役を目指してはいてもリアルに男くさく作ってはいないところ、笑顔がかわいいので男っぽくみえないところ、明るくて清潔で少年っぽいところは音月桂ならではの魅力。男役と言ってもどこかにお嬢様っぽさが残るのは雪組のお家芸かもしれません。宝塚の男役としての完成度は柚希礼音の方が高い気がしますが、一般向けに広くアピールするのは音月桂の方なのでしょう。ナンバー3で三井住友VISAカードのイメージキャラクターに抜擢されたのもわかる気がします。
話を戻して、30年後のJの役を沙央くらま。少しやせて彫りの深さが目立ち、思いの外口髭が似合って色っぽい。♪腰が痛い、栄養ドリンクが欠かせない、と歌ってはいますが、50歳過ぎには全然見えないところはご愛敬。ジョニーとJを、一人二役ではなく二人に演じさせることでコーラスの厚みが出ました。60年代のお話の中ではブロッコリーのような“リーゼント命”のごろつきブルートの役でも登場。“俺が本物のロックを聴かせてやる!”と息まいてステージに立つところがおかしい。バンドに向かって「おい、ドンバ!<クレージー・ラブ>やれ!」ですからね。そしてここでも音月桂同様、器用に音程外しまくって歌います。
シェイラとマライアを演じた大月さゆ。シェイラはポニーテールにわっかのスカートって、松本伊代や河合奈保子か?な衣裳ですが、表情から何から文句なしにかわいい。90年代、ジョニーを「おじさん!」と呼ぶ生意気なマライアも可愛かった。シェイラとマライアを一人で演じているので、早変わりが大変そうでした。
セクシーな歌で女性を失神させるキング・ビートを萬あきら。お歌はともかく、雰囲気が出ていたし、デーハな衣裳も着こなしていました。
キングに首ったけの頭の軽いハリウッド女優ザザを舞咲りん。例にもれずブロンド。キングを逃がすためにザザの気をそらそうと、ザザをステージに立たせて歌わせるシーンがありますが、タカラジェンヌを忘れたコミカルな演技は吉本か?はたまた修練を積んだ宴会芸ですか?「ザザちゃん、今日も絶好調!」って、彼女の底力を垣間見ました。
ジョニーの母親でシンガーでもあったマリアを美穂圭子。息子を思いながらも男に捨てられたショックを乗り越えられなかった母親としての演技は涙を誘い、シンガーとして脚を見せてハウンドドッグを歌うド迫力に痺れます。
ストーリーはシンプルで、若手の役作りはまだまだ浅い。男に捨てられた女は自殺すると決まっているのか?と文句をつけたい気持ちはありますが、難しいことを考えないライブパフォーマンスも、たまにはいいのではないでしょうか?
脚本・演出:藤井大介/主演:音月桂、大月さゆ他
1960年代のメンフィス。ライブハウス「ノン ノン シュガー」に集う人々を描いた青春物語。ロックシンガー志願のジョニー(音月桂)は明るく振る舞っていますが、幼い頃父親に捨てられ、母親も自殺していて一人ぼっち。シェイラ(大月さゆ)はお嬢様ですが、親の決めたレールに乗るのがいやで家出してきました。ライブハウスの看板スター、キング・ビート(萬あきら)のライブに集まるグルーピー、若者たちなど、誰もが青春真っ盛りという顔をしていますが、実はそれぞれの事情を抱えていて……。
物語は、作家となったジョニー、Jが30年ぶりにこの町を訪れ、偶然出会った生意気だけれどどこかシェイラに似ているマライアと一緒に懐かしい場所を訪れるという形で語られます。
シンプルな青春グラフィティで、時々くすぐったくなる。でもオールディーズ満載なのも楽しく、自ずとテンションが上がります。ストーリー性を楽しむというより、音月桂のアイドル性に酔う舞台と言っていいでしょう。
癖のないきれいな歌声から、こぶしの効いたシャウト、ヨーデルのような裏声まで器用に使い分けます。こんなに達者なロックシンガーだったとは。歌手<KEI>としてソロデビューさせたいくらいです。そしてストーリーを進める上では見事な歌いっぷりだけど、ジョニーは音痴という設定なのか、キングの前座としてわざと下手に歌ったのか?ライブハウスでの音程の外し方はたいしたものでした。難しかったかもしれませんが、結構楽しそうでした。
本人がどう思っているかはわかりませんが、男役を目指してはいてもリアルに男くさく作ってはいないところ、笑顔がかわいいので男っぽくみえないところ、明るくて清潔で少年っぽいところは音月桂ならではの魅力。男役と言ってもどこかにお嬢様っぽさが残るのは雪組のお家芸かもしれません。宝塚の男役としての完成度は柚希礼音の方が高い気がしますが、一般向けに広くアピールするのは音月桂の方なのでしょう。ナンバー3で三井住友VISAカードのイメージキャラクターに抜擢されたのもわかる気がします。
話を戻して、30年後のJの役を沙央くらま。少しやせて彫りの深さが目立ち、思いの外口髭が似合って色っぽい。♪腰が痛い、栄養ドリンクが欠かせない、と歌ってはいますが、50歳過ぎには全然見えないところはご愛敬。ジョニーとJを、一人二役ではなく二人に演じさせることでコーラスの厚みが出ました。60年代のお話の中ではブロッコリーのような“リーゼント命”のごろつきブルートの役でも登場。“俺が本物のロックを聴かせてやる!”と息まいてステージに立つところがおかしい。バンドに向かって「おい、ドンバ!<クレージー・ラブ>やれ!」ですからね。そしてここでも音月桂同様、器用に音程外しまくって歌います。
シェイラとマライアを演じた大月さゆ。シェイラはポニーテールにわっかのスカートって、松本伊代や河合奈保子か?な衣裳ですが、表情から何から文句なしにかわいい。90年代、ジョニーを「おじさん!」と呼ぶ生意気なマライアも可愛かった。シェイラとマライアを一人で演じているので、早変わりが大変そうでした。
セクシーな歌で女性を失神させるキング・ビートを萬あきら。お歌はともかく、雰囲気が出ていたし、デーハな衣裳も着こなしていました。
キングに首ったけの頭の軽いハリウッド女優ザザを舞咲りん。例にもれずブロンド。キングを逃がすためにザザの気をそらそうと、ザザをステージに立たせて歌わせるシーンがありますが、タカラジェンヌを忘れたコミカルな演技は吉本か?はたまた修練を積んだ宴会芸ですか?「ザザちゃん、今日も絶好調!」って、彼女の底力を垣間見ました。
ジョニーの母親でシンガーでもあったマリアを美穂圭子。息子を思いながらも男に捨てられたショックを乗り越えられなかった母親としての演技は涙を誘い、シンガーとして脚を見せてハウンドドッグを歌うド迫力に痺れます。
ストーリーはシンプルで、若手の役作りはまだまだ浅い。男に捨てられた女は自殺すると決まっているのか?と文句をつけたい気持ちはありますが、難しいことを考えないライブパフォーマンスも、たまにはいいのではないでしょうか?