作・演出:柴田宥宏/主演:安寿ミラ、森奈みはる他
スペイン一の花形闘牛士エリオ(安寿ミラ)はマドリッドの実業家リカルド・ロメロ(真矢みき)の邸宅で開かれる晩餐会に招待され、闘牛士の仲間たち、婚約者アンフェリータ(純名里沙)を伴ってやってくる。アンフェリータとは数日後に故郷コルドバでの結婚式を控えている。しかしそこで、驚くべきことに元恋人のエバ(森奈みはる)と再会。2人は8年前に恋に落ちたが、エバが突然姿を消し、その後行方がつかめなくなっていた。人目を忍んだ束の間の会話。エバは、家族が急に引っ越すことになったため、ついて行くしかなかったと説明。その後、結婚するも若くして未亡人となり、今はリカルドの愛人として庇護を受ける身。
エリオの親友ビセント(愛華みれ)が法務長官の奥方と道ならぬ恋に落ち、決闘騒ぎを起こす。エリオは決闘に立ち合い、ビセントに理性的に行動するように諭しつつも、エバの面影が脳裏をかすめる。
試合のために故郷に帰ってきたエリオをエバが追い掛けてくる。変わらぬ愛を確かめあい、何もかも捨てて結婚しようと誓う二人。しかしエバの行動を不審に思ったリカルドが追い掛けてきて鉢合わせ。二人は決闘をすることになる。決闘場にエリオの母親、エバの母親が駆け付けて、必死に止めるが……
誰も運命の悪戯をとめることはできず、若い恋人たちは悲劇に向かって突き進んでいく…いいですね。こういう純粋な悲恋ものって、時々どっぷりと浸かりたくなります。
プロローグでは舞台を埋め尽くす数の闘牛士とフラメンコダンサーの踊りがあり、華やかで壮大。舞踏会あり、カーニバルあり、輪っかのドレスに加えて闘牛士や軍服など、使われた布とレースの量は半端じゃありません。贅沢です。
安寿ミラは大柄ではないけれど存在感と演技力があり、苦悩や悲哀が色濃く刻まれた男の表情に説得力があります。最後の闘牛のシーン、歓声渦巻くコロシアムの中心に立ち、一人で最後の戦いに挑む姿は、赤と黒の照明を効果的に使ったスマートな演出もあって緊張感がクライマックスに達します。
1986年に峰さを理主演で上演された作品の再演ということもあったのでしょう、真矢みきにはリカルドの役は物足りなかったかもしれません。
純名里沙演じるアンフェリータは清純な娘。エリオに身勝手な理由で一方的に婚約を破棄されても、彼の心中を思いやる健気さが涙を誘います。
ロメロの甥、フェリーペに紫吹淳。その他にも匠ひびき、初風緑、伊織直加など目を見張る程豪華な顔触れ。下級生の頃の朝海ひかるの顔が見えるのも楽しい。
09年に花組全国ツアーで再演されることになり、楽しみです。
スペイン一の花形闘牛士エリオ(安寿ミラ)はマドリッドの実業家リカルド・ロメロ(真矢みき)の邸宅で開かれる晩餐会に招待され、闘牛士の仲間たち、婚約者アンフェリータ(純名里沙)を伴ってやってくる。アンフェリータとは数日後に故郷コルドバでの結婚式を控えている。しかしそこで、驚くべきことに元恋人のエバ(森奈みはる)と再会。2人は8年前に恋に落ちたが、エバが突然姿を消し、その後行方がつかめなくなっていた。人目を忍んだ束の間の会話。エバは、家族が急に引っ越すことになったため、ついて行くしかなかったと説明。その後、結婚するも若くして未亡人となり、今はリカルドの愛人として庇護を受ける身。
エリオの親友ビセント(愛華みれ)が法務長官の奥方と道ならぬ恋に落ち、決闘騒ぎを起こす。エリオは決闘に立ち合い、ビセントに理性的に行動するように諭しつつも、エバの面影が脳裏をかすめる。
試合のために故郷に帰ってきたエリオをエバが追い掛けてくる。変わらぬ愛を確かめあい、何もかも捨てて結婚しようと誓う二人。しかしエバの行動を不審に思ったリカルドが追い掛けてきて鉢合わせ。二人は決闘をすることになる。決闘場にエリオの母親、エバの母親が駆け付けて、必死に止めるが……
誰も運命の悪戯をとめることはできず、若い恋人たちは悲劇に向かって突き進んでいく…いいですね。こういう純粋な悲恋ものって、時々どっぷりと浸かりたくなります。
プロローグでは舞台を埋め尽くす数の闘牛士とフラメンコダンサーの踊りがあり、華やかで壮大。舞踏会あり、カーニバルあり、輪っかのドレスに加えて闘牛士や軍服など、使われた布とレースの量は半端じゃありません。贅沢です。
安寿ミラは大柄ではないけれど存在感と演技力があり、苦悩や悲哀が色濃く刻まれた男の表情に説得力があります。最後の闘牛のシーン、歓声渦巻くコロシアムの中心に立ち、一人で最後の戦いに挑む姿は、赤と黒の照明を効果的に使ったスマートな演出もあって緊張感がクライマックスに達します。
1986年に峰さを理主演で上演された作品の再演ということもあったのでしょう、真矢みきにはリカルドの役は物足りなかったかもしれません。
純名里沙演じるアンフェリータは清純な娘。エリオに身勝手な理由で一方的に婚約を破棄されても、彼の心中を思いやる健気さが涙を誘います。
ロメロの甥、フェリーペに紫吹淳。その他にも匠ひびき、初風緑、伊織直加など目を見張る程豪華な顔触れ。下級生の頃の朝海ひかるの顔が見えるのも楽しい。
09年に花組全国ツアーで再演されることになり、楽しみです。