先日、宝塚初体験の子と雪組公演を観に行きました。知的好奇心旺盛な子で、観劇後は質問攻め。何を聞いても珍しくてしかたないらしい。観たことが無いという人から、割と同じような質問を受けるので、ありがちな質問を少しまとめてみました。知っている人には当たり前のことばかりだし、わたしが言わなくてもちょっと調べればわかることばかりです。それと、あくまでもファン歴3年のわたしがこれまでに得た知識と個人的見解ですのでご了承ください。
名前はどうやって決めるのか?
基本的に自分で考える。お世話になった方につけていただくことや、名前の一部をいただくこともあるそう。ファン時代に好きだったスターの字や音を拝借しつつ自分で完成させたり、命名辞典を参考にしたり、割と多いのが「家族で考えた」という回答。ただし、重複があると劇団から認められない。歌舞伎のように襲名したり、力士の四股名のように部屋から与えられたりするものとは違う。(SMAP×SMAPでも出ましたが、この質問は多い。そして歌舞伎や相撲とは違うという話も、聞いた人は一様に驚く)
男役、娘役は誰が決めるのか? 途中で転向する例もあるのか?
入学の時点で憧れ、希望はあると思う。身長は変えられないので制約はあるし、指導もあるだろうけれど、最終的には自分の決断。娘役から男役に変更したという話はあまり聞かないけれど、男役から娘役への変更はときどきある。
組ごとのカラー(特色)はあるのか?
トップのキャラクターで組のカラーも変わってくる。多くの場合、トップとは違うキャラクターのナンバー2を置くので、そのナンバー2がトップになった場合、組のカラーも少し変わってくる。雪組の場合は「美形のプリンス系/フェアリー系」「ワイルド系」を繰り返している気がする。
しかしやはり”傾向””イメージ”はある気がする。独断で各組の特徴を少し。歴史のある組から順番に。
●花組
芸達者な役者が多く、ダンスの花組みと言われ、とくにショーは見ごたえがある。黒燕尾で踊らせたら一番ビシッと決まって格好いい。男役の色気と格好よさが売りで、ホストっぽいのがごろごろいて、むせかえりそう。退団後に芸能界(や政界!)で活躍しているのは安奈淳、松あきら、真矢みき、愛華みれ等。ところで、花組でかかる作品は、宝塚のイメージを重視しているというか、大作、文芸作、歴史上の人物を題材にしたような、よく言えばスケール感のある、ちょっと退屈な作品が多い気がする。
●月組
大地真央、涼風真世、天海祐希、真琴つばさ、紫吹淳など、卒業後、芸能界で活躍しているスターが多い。「ME ANE MY GIRL」「ウエストサイド・ストーリー」など海外ミュージカルが多い。ラブコメディをやらせたら一番(コメディって難しいんですよね)。トップ(真琴つばさ、紫吹純)が豹柄のジャケットやレザーパンツをはくのはいかにも月組らしい。
●雪組
「美形のプリンス系/フェアリー系(一路真輝/朝海ひかる)」「ワイルド系(麻実れい・・の方が一路真輝より先だけど/轟悠)」を繰り返している。他の組ではあまり日本物はかからないし、着物を着ていても日本舞踊ではなくダンスだけれど、雪組は本格的な日本物が多いし得意。「芝居の雪組」とも言われていて、芝居で個性を発揮できる人が多い。芝居は結構濃い目。歌える人も多い。(本当に単なるひいき目ですが、ルックスのいい子が多い)
●星組
大柄でスポーティで男らしいトップと、それほど身長はないけど何でもこなす器用なトップを繰り返しているような気がする。外せないのは昔からトークが芸人みたいに“面白い”ってことでしょうか。鳳蘭、麻路さき、湖月わたる。大柄なトップだと見栄えがするからか、コスチュームものが多い。群舞の見事さは有名で、これはよくよく練習して振りを合わせているからだと思う。アドリブも達者で、今一つ荒い脚本でも生徒の持ち味という力技でねじ伏せる。
●宙組
10年前に誕生した一番新しい宙組は、新しい客層を開拓しようという劇団の意図が見てとれる。主役は基本的にビジュアル重視。作品は、伝統ある宝塚では難しいであろう実験的な作品が多いと思う。3股かけるジプシーのカルメンがホセに撃たれる「激情」や、求婚者が3つの謎を解けなかった時は平気で首をはねる姫君が主人公の「鳳凰伝」など。花總まりという娘役がいたから可能だったと言える。また「ファントム」も宙組で初演だったが、和央ようかは“怪人”として顔の右半分を火傷のように醜く作っていた(花組では顔の傷はビジュアル系ロックバンドのメイクのように、象徴的な表現にとどまっていた)。そして案外無視できないのは、平均身長が一番高いこと。トップは身長がないときつい。
※因みに、以前質問されたことがあるのですが、成績によって組が分かれているわけではありません。
組の移動はあるのか?
入団から退団まで一つの組という人もいるけれど、企業の人事異動と同じで、組替えはときどきある。生徒のさらなる活躍を期待しての場合が多いと思う。
宝塚の作品は座付きの脚本家が生徒を知った上での “宛て書き”が多いけれど、「エリザベート」「ファントム」など海外ミュージカルの場合はそうはいかない。主要な役にキャラクターがあっている生徒がたまたまいない場合には、あっている生徒を組替えであらかじめ移動させておく場合があると思う(単なる憶測ですが)。
トップは何年くらいつとめるのか? トップはみんな退団するのか?
トップは平均2~3年だと思う。最近で一番長い例で和央ようか6年。春野寿美礼も足かけ6年。普通はトップになったら退団だけれど轟悠は雪組トップの後に専科に移動して、今でも現役で舞台に立ち、理事も兼任している。選手兼監督、加えて経営陣といったところか。轟悠がいろいろな組の作品に出る時はその組のトップより上の扱い。
専科は「大学」に対する「大学院」といったところか。専科生は「踊り」「歌」「芝居」など専門分野での技術を生かして各組の作品に出演する。宝塚の定年は60歳らしいが、春日野八千代と轟悠は別格で、生涯現役で、定年はないと聞いている。春日野八千代は90歳を超えている。年に一度の舞踊会に参加して(出なかった年もある)短いけれど達者な踊りを披露している。
2番手がそのままトップになるのか?
昔はそうで、トップ退団と時期トップ内定の発表が同時だったけれど、最近は必ずしもそうではない。トップ育成を想定して違う組から早めに移動させる場合もある。舞台は全員でつくるものだから、落下傘トップはやはり呼吸を合わせるのが難しい。下級生の頃組替えを経験していると、活躍の場が広がると思う。
Q&Aはまだ続いたのであった……。次回。
名前はどうやって決めるのか?
基本的に自分で考える。お世話になった方につけていただくことや、名前の一部をいただくこともあるそう。ファン時代に好きだったスターの字や音を拝借しつつ自分で完成させたり、命名辞典を参考にしたり、割と多いのが「家族で考えた」という回答。ただし、重複があると劇団から認められない。歌舞伎のように襲名したり、力士の四股名のように部屋から与えられたりするものとは違う。(SMAP×SMAPでも出ましたが、この質問は多い。そして歌舞伎や相撲とは違うという話も、聞いた人は一様に驚く)
男役、娘役は誰が決めるのか? 途中で転向する例もあるのか?
入学の時点で憧れ、希望はあると思う。身長は変えられないので制約はあるし、指導もあるだろうけれど、最終的には自分の決断。娘役から男役に変更したという話はあまり聞かないけれど、男役から娘役への変更はときどきある。
組ごとのカラー(特色)はあるのか?
トップのキャラクターで組のカラーも変わってくる。多くの場合、トップとは違うキャラクターのナンバー2を置くので、そのナンバー2がトップになった場合、組のカラーも少し変わってくる。雪組の場合は「美形のプリンス系/フェアリー系」「ワイルド系」を繰り返している気がする。
しかしやはり”傾向””イメージ”はある気がする。独断で各組の特徴を少し。歴史のある組から順番に。
●花組
芸達者な役者が多く、ダンスの花組みと言われ、とくにショーは見ごたえがある。黒燕尾で踊らせたら一番ビシッと決まって格好いい。男役の色気と格好よさが売りで、ホストっぽいのがごろごろいて、むせかえりそう。退団後に芸能界(や政界!)で活躍しているのは安奈淳、松あきら、真矢みき、愛華みれ等。ところで、花組でかかる作品は、宝塚のイメージを重視しているというか、大作、文芸作、歴史上の人物を題材にしたような、よく言えばスケール感のある、ちょっと退屈な作品が多い気がする。
●月組
大地真央、涼風真世、天海祐希、真琴つばさ、紫吹淳など、卒業後、芸能界で活躍しているスターが多い。「ME ANE MY GIRL」「ウエストサイド・ストーリー」など海外ミュージカルが多い。ラブコメディをやらせたら一番(コメディって難しいんですよね)。トップ(真琴つばさ、紫吹純)が豹柄のジャケットやレザーパンツをはくのはいかにも月組らしい。
●雪組
「美形のプリンス系/フェアリー系(一路真輝/朝海ひかる)」「ワイルド系(麻実れい・・の方が一路真輝より先だけど/轟悠)」を繰り返している。他の組ではあまり日本物はかからないし、着物を着ていても日本舞踊ではなくダンスだけれど、雪組は本格的な日本物が多いし得意。「芝居の雪組」とも言われていて、芝居で個性を発揮できる人が多い。芝居は結構濃い目。歌える人も多い。(本当に単なるひいき目ですが、ルックスのいい子が多い)
●星組
大柄でスポーティで男らしいトップと、それほど身長はないけど何でもこなす器用なトップを繰り返しているような気がする。外せないのは昔からトークが芸人みたいに“面白い”ってことでしょうか。鳳蘭、麻路さき、湖月わたる。大柄なトップだと見栄えがするからか、コスチュームものが多い。群舞の見事さは有名で、これはよくよく練習して振りを合わせているからだと思う。アドリブも達者で、今一つ荒い脚本でも生徒の持ち味という力技でねじ伏せる。
●宙組
10年前に誕生した一番新しい宙組は、新しい客層を開拓しようという劇団の意図が見てとれる。主役は基本的にビジュアル重視。作品は、伝統ある宝塚では難しいであろう実験的な作品が多いと思う。3股かけるジプシーのカルメンがホセに撃たれる「激情」や、求婚者が3つの謎を解けなかった時は平気で首をはねる姫君が主人公の「鳳凰伝」など。花總まりという娘役がいたから可能だったと言える。また「ファントム」も宙組で初演だったが、和央ようかは“怪人”として顔の右半分を火傷のように醜く作っていた(花組では顔の傷はビジュアル系ロックバンドのメイクのように、象徴的な表現にとどまっていた)。そして案外無視できないのは、平均身長が一番高いこと。トップは身長がないときつい。
※因みに、以前質問されたことがあるのですが、成績によって組が分かれているわけではありません。
組の移動はあるのか?
入団から退団まで一つの組という人もいるけれど、企業の人事異動と同じで、組替えはときどきある。生徒のさらなる活躍を期待しての場合が多いと思う。
宝塚の作品は座付きの脚本家が生徒を知った上での “宛て書き”が多いけれど、「エリザベート」「ファントム」など海外ミュージカルの場合はそうはいかない。主要な役にキャラクターがあっている生徒がたまたまいない場合には、あっている生徒を組替えであらかじめ移動させておく場合があると思う(単なる憶測ですが)。
トップは何年くらいつとめるのか? トップはみんな退団するのか?
トップは平均2~3年だと思う。最近で一番長い例で和央ようか6年。春野寿美礼も足かけ6年。普通はトップになったら退団だけれど轟悠は雪組トップの後に専科に移動して、今でも現役で舞台に立ち、理事も兼任している。選手兼監督、加えて経営陣といったところか。轟悠がいろいろな組の作品に出る時はその組のトップより上の扱い。
専科は「大学」に対する「大学院」といったところか。専科生は「踊り」「歌」「芝居」など専門分野での技術を生かして各組の作品に出演する。宝塚の定年は60歳らしいが、春日野八千代と轟悠は別格で、生涯現役で、定年はないと聞いている。春日野八千代は90歳を超えている。年に一度の舞踊会に参加して(出なかった年もある)短いけれど達者な踊りを披露している。
2番手がそのままトップになるのか?
昔はそうで、トップ退団と時期トップ内定の発表が同時だったけれど、最近は必ずしもそうではない。トップ育成を想定して違う組から早めに移動させる場合もある。舞台は全員でつくるものだから、落下傘トップはやはり呼吸を合わせるのが難しい。下級生の頃組替えを経験していると、活躍の場が広がると思う。
Q&Aはまだ続いたのであった……。次回。