精霊の宿り

BlogTop↑↑ 夜が来て、花は二つの花びらを閉じ、すべてを隠してしまうのだ。

故郷

2021年11月05日 11時35分23秒 | ちゅうたしげる詩集
                                        ”
おぼえているだろう、
あの夏蝉のなく声を
ひと夏中、耳の奥でうなっていた。

遠い歴史を刻んだ石碑が一つ、
木陰にひんやりと立っている。

石碑は何代も昔の蝉の声をおぼえていた。

この土地から離れ難いのは、
私の魂だけではない。
昨日亡くなった明治生れのじいさんの
魂もそうだ。

人がかんたんにあの世に行かなくなったので、
私の村もかわってしまった。
土や緑がよそよそしいのだ。

人生がつまらないということは、
大した発見でもない。
はかない存在。

おぼえているだろう、
一日中休まずうなる蝉の声を、
あれは嘆きではなかった。

蝉の腹の空気がシンドウシテイル。




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