法によれば知らないことは「善意」とされ、知っていることは「悪意」とされるようだ。私が精神病院に強制入院した時、ある女性弁護士に「みんな善意なのでしょうが」と語ったら、女性弁護士は首をかしげて「善意」ではないでしょうというニュアンスの仕草をした。それがとても気になっていたのだが、「善意」と「悪意」という言葉は法律上特別な規定があったのだ。つまり私の強制入院に関して「通報」を行った警察署は「すべてを調べ上げている」とさえ言ってよかったのだ。入院中にわたしは、警察署の行為を県公安委員会に対し行政不服審査請求した。特に精神病院では患者を厳格な監視下に置いていて患者の情報は丸裸の状態だ。
知らないでいるという状態は日常においても法律上もアドバンテージ(利益あるいは優位)である。情報を知っていてわざと行う行為は「悪意」によるとみられてもおかしくはない。だとしたら人の知らないことを知らせたり教えたりする人間の行いは、知らない状態を知ってしまった状態に持ち込むことでもあり、注意深くありたいと思う。知らないでいる何かを教えることはただのおせっかいや悪影響かもしれないのだから。…
私の妻の口癖は「他人のことは知らない」である。
知らないでいるという状態は日常においても法律上もアドバンテージ(利益あるいは優位)である。情報を知っていてわざと行う行為は「悪意」によるとみられてもおかしくはない。だとしたら人の知らないことを知らせたり教えたりする人間の行いは、知らない状態を知ってしまった状態に持ち込むことでもあり、注意深くありたいと思う。知らないでいる何かを教えることはただのおせっかいや悪影響かもしれないのだから。…
私の妻の口癖は「他人のことは知らない」である。