chuo1976

心のたねを言の葉として

常に百姓を庇い、身請けまで願い出るという庄屋

2020-08-02 05:31:13 | 文学

『庄屋日記にみる江戸の世相と暮らし』 成松佐恵子 2000年 ミネルヴァ書房


 第三章 庄屋としての活動 「治安の維持」 盗賊と博奕打


 庄屋は、領主と村の間に立って、その役割は年貢の調達から盗賊の取り締まり、捨て子の世話、村人の逃散まで多岐にわたる。しかし、年貢の引き下げを何度も嘆願したり、博打を禁止するお達しに対し、農民の博打を見逃すなど、基本的には、農民の側に立っていたという。

「以上をみる限り、不品行・不行跡に対する役所と村の対応には、かなりの相違がうかがえる。中間にたつ庄屋は、大きな悪事を為出かさない限り常に百姓を庇い、身請けを願い出る傾向にあり、それを取りつける手段の一つが、役人への礼を意味する金品であった。それらを利用して、村に有利に事を進めるのも庄屋の腕の見せどころであったといえよう。庄屋職が簡単に勤まるものでないのは、こうした際にものをいう経験と力量を兼ね備えることが強く求められ、村びとの全幅の信頼に応えることが望まれていたためであった。」

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 平和な時代を生きていた庶民の姿 | トップ | 「Lonely Deaths」 伊藤詩織... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

文学」カテゴリの最新記事