ショパンコンクール３次予選の反田恭平さんと小林愛美さんの演奏

コンクール3次予選の反田恭平さんと小林愛美さんの演奏をアップしてみました。

既に聴かれた方や、相当長いのでご興味のない方はスルーなさって下さい。

コンクールのライブの雰囲気は感じられるかと思います。

私が反田さんのこれまでに聴いたコンサートでの演奏は、豪快でリズミックで

熱いパッションが感じられる演奏が印象的でしたが、ここでの初っぱなの

マズルカの繊細で優しい柔らかい音色に少し驚きました。

挑戦者の多くの方が、ソナタは3番のh moll(ロ短調)を選んでいるように思いましたが

反田さんが2番のB moll(変ロ短調)の方を弾かれるのを知った時

「やっぱり」と思いました。熱い情熱的な演奏が印象的なので。

私の学生時代のお話で恐縮ですが、定期試験では時間の持ち分があって

ソナタは1楽章だけとか3楽章だけです。

3回生の後期試験で恩師は、3番のソナタの1楽章を提示されました。

この曲はとても構築が難しく、しっかり作り上げなければならない大曲です。

しかし私は、こちらも大曲ですが、3楽章にあの有名な

「葬送行進曲」の旋律がある2番の方の、1楽章の初っ端の

Doppio Movimento(ドッピオ ムーヴィメント・2倍の速さで)という指示のある

かっこいい馬の疾走のようなメロディーが弾きたくて、変更をお願いした時は

ただでさえ私には難しすぎるのに、既に試験の2ヶ月前で

仕上げには最低3ヶ月は要するというのに、難しいこのイントロの曲を選び

曲作りも暗譜においても大変な思いをしました。

一応弾き切りましたが、先生が試験後に

「あの初っ端、あなたスピードが出ないんだから、、」と苦笑されておられました。

成績はさほど悪くなかったように思いますが、今になると3番を弾いた方が

もう少し能力を発揮できていたかもと思います。って相当古いお話。アハハ

で、2番は反田さんにはピッタリだと思い、ワクワクしながら聴きましたが

予想通りのかっこいい演奏です。

初めに審査員の紹介があり、演奏はまずマズルカ３曲で

25分30秒あたりからソナタが聴けます。

初っ端の疾走部分や豪快でリズミックな部分のメロディーと

それ以外の柔らかいフレーズを、これでもかとたっぷり歌われて対比も抜群で

この方が、こんなにも柔らかい響きとタッチで弾かれているのが

新しい発見でもあり、自由自在にピアノを操られる方だと確信しました。

当初のプログラムに無かった「英雄ポロネーズ」も追加されていました。

続いて角野さん(かてぃん)の演奏はこの後にあります。

希望的観測ではなく、反田さんは絶対入る気がしています。

小林愛美さんもマズルカ３曲と、プレリュードは11分50秒ぐらいから始まり

24曲45分を、当たり前ですがバランスが崩れることもなく

1曲1曲のテンポ、リズム、強弱が際立ち、独自の解釈とニュアンスが完璧でした。

ブログにコメントを下さった方に私は「くぐもっている(ソフト)」という

(悪い意味ではなく)音色をイメージしたと書きました。

小林さんの前回のコンクールの挑戦を聴いていないのですが

その時のお若い溌剌とした明るいイメージを

今回はこのような音色に変えられたと評価されている、ピアノの先生もおられました。

ディナミーク(強弱)の幅が広く、特に小さく弱い部分の音量の落ち方が

これだけ落としても音が抜けたり消えたりしない。　神〜❣️でした。

この方の、独自の音楽の世界をこの音色で主張なさっていて、1曲1曲が

隙のない解釈でまとまっていて「オンリーワン」だと感じました。

反田さんと競われる対象になるのではないかと思います。

長いのでしんどい方はスルーなさって下さい。

最後の対決は、10月18日の深夜(19日)2時50分ごろに反田さんが演奏されて

10月20日の深夜(21日)1時頃に小林さんが

それぞれショパンのピアノコンツェルト(ピアノ協奏曲)1番を演奏されます。