ちいさい ねこ♪

ひとつでも多くの心揺さぶられる瞬間をとどめておきたいから・・・。

映画レビュー「バットマン ダークナイト」

2009-08-18 08:00:29 | 映画レビュー

【ひとこと】
最狂かつ最凶の男、降臨。

【あらすじ】
 昼は大富豪、夜は悪と戦う戦士・バットマンことブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)の前に、得体のしれない犯罪者「ジョーカー」(ヒース・レジャー)が表れる。ゴッサム・シティの平和を願って日夜努力を続ける警察もバットマンも、一切のルールを無視するジョーカーの凶暴さの前に手も足も出ない。組織の活動資金半分をもらうことを条件に、バットマン抹殺を企てるジョーカーは、ありとあらゆる手段を使って彼を追い詰める・・・

【感想など】
 評判は聞いていましたが、まさかこれほどとは!ジョーカーを演じたヒース・レジャーの存在感と演技力に終始圧倒されました。彼こそ「悪の華」、ゴッサム・シティに咲いた徒花です。「自警市民」と称され、傷つき悩みながらも悪と戦うバットマンには彼なりのルールがありますが、ジョーカーはまるで無軌道。なおかつ戦慄を覚えるほどにずる賢い。その人間観察力や洞察力、企画力、行動力は驚嘆に値します。その才能をまともに使えば、たいていのことはやり遂げてしまえるのではないでしょうか?

 けれどもジョーカーにとって興味があるのは金ではなく、名誉でもなく、愛でも友情でもありません。彼はひたすら闇の帝王のごとくにゴッサム・シティに君臨し、人々に恐怖と混乱をもたらすことだけを考えています。悲鳴が楽しい、恐怖に引きつる顔を見るのが嬉しくてたまらない、そういう男なのです。

 醜悪な傷跡をさらに誇張するピエロ・メイク。その下に隠された素顔を誰も知らないように、ジョーカーの真意を知る者は誰もいない、ジョーカー自身が誰も信用していないのです。なんという孤独。彼が犯罪に手を染めるようになった経緯は謎に包まれており、顔の傷跡の原因も語られるたびにまるで違っています。なんの躊躇もなく人を殺す、街を壊す、その殺戮と破壊の衝動は、全編にわたって繰り広げられ、終始観客を「魅了」してしまうんです。幼い子供が積み上げたブロックのお城を嬉々として壊すときのような表情で、血も凍る恐怖をばらまき続ける狂気の魔王。そのアンチ・ヒーローっぷりが凄すぎます。

 人間の心の奥深くに潜む危険な考え、暗い情念を ジョーカーは言葉巧みに操って悪の道へと誘います。その強烈な誘惑には抗えず、墜ちてしまった哀れなトゥー・フェイス。バットマンをさらなる窮地に陥れた男は、最も勇敢で高潔な人と思われていたのに。人の弱さにつけこむジョーカーの恐ろしさが遺憾なく発揮されたシーンが病院爆破でしたね。去り際に一瞬「あれ?」という小首を傾げるしぐさを見せて、直後の大音響、崩壊・・・非常に印象深い場面でした。

 「バットマン ビギンズ」に引き続き、単なるヒーロー物には終わらせない脚本と演出でシリアスに製作された本作、アメコミを小馬鹿にしていた人たちに衝撃を与えました。私もその一人です。名優ぞろいのキャスティングといい、細部まで凝った作りの小道具といい、見ごたえのある映画に仕上がっていますね。1989年製作の前作でジョーカーを演じたジャック・ニコルソンも、ヒース・レジャーの熱演には文句のつけようがないでしょう。それにしても、惜しい俳優を亡くしたもんです。あぁ、もっと生きて、私たちにその演技を見せてほしかった、ヒース・レジャーよ・・・。 

※京都駅にて撮影 Photoshop Elements 7.0で加工
Canon EOS 40D + SIGMA 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ぱふぱふ)
2009-08-18 09:26:27
みたい映画目白押しで・・
最近は日本映画もよくなったし・・
いくら時間があってもたまってゆくばかりで
見逃すことが多くなって・・
時々ちいさな ねこ♪さんのレポートで
そそられると重い腰上げてます(爆)
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Unknown (「せ」)
2009-08-18 09:34:00
この人と
ブルース・リーには
もっともっと生きててほしかったすね (。・_・。)ノ♪
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惜しい (tetsu)
2009-08-18 13:08:04
こんにちは~

自分も評判は聞いていましたが
やはり凄かったですか~
これはぜひ見たいですね!

ヒース・レジャー・・・
若くして、ホントに惜しい!
これからも素晴らしい演技を観たかったですね。
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ぱふぱふさん (ねこ♪)
2009-08-19 06:26:35
私も観たい映画はたくさんあって、録画してある作品もたまりまくってますよ~。
映画館まで行かなくても家で観られる、とはいえ、じっくり2~3時間座る暇が・・・・というやつですね。
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「せ」さん (ねこ♪)
2009-08-19 06:34:23
まったくですね。
才能のある人が早くに亡くなると、やりきれない気持ちになります。
ジェームズ・ディーンや「マイ・プライベート・アイダホ」のリバー・フェニックスも、惜しい俳優だったと私は思ってますよ。
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tetsuさん (ねこ♪)
2009-08-19 06:41:32
おはようございます。
凄い演技でしたよ~。
予想以上の。
ぜひともご覧になってください。
「ブロークバック・マウンテン」の演技も非常に素晴らしかったけれども、この作品ではさらに上をいってます。
将来を嘱望されていた俳優だけに、その死を悼む声は大きいですねぇ・・・。
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遅ればせながら… (かず)
2009-08-24 11:30:26
昨日、ようやく観ました~
なんといってもヒース・レジャーを筆頭に
キャスティングが素晴らしいですね!!

前半はジョーカーに、
後半はトゥー・フェイスの表情!?から
ずっと目が離せませんでしたよ。
ただ個人的には唯一、レイチェルに
魅力を感じませんでしたが(^-^;

ヒースが急逝してしまった今、
次にジョーカーを演じる俳優は
相当なプレッシャーですよねぇ…
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かずさん (ねこ♪)
2009-08-24 12:01:29
はい!実にすばらしい役者をそろえていたと思います。
わき役もみんな(レイチェル除く)素敵でしたね。
トゥー・フェイスのヴィジュアルはやっぱアメコミw でしたねぇ。
つっこみたいのをぐっと我慢して観てました。
次・・・ってできるんでしょうか?
ジャック・ニコルソンを凌駕してしまったヒース、それ以上なんて、想像もできませんよ。
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