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blog友のmarさんがこの映画のレビューを書いていらしたので、そういえば私も以前鑑賞してレビュー書いたわ、と思い出し、過去ログから引っ張り出してみました。破滅型の男って実に色っぽいのです。ジョニデが演じたからこその魅力かもしれませんけど。
「リバティーン THE LIBERTINE」2007年4月17日
【ひとこと】
ある放蕩者の生涯
【物語のあらすじ】
17世紀イギリス、国王チャールズ2世(ジョン・マルコビッチ)のお気に入りである詩人・ロチェスター伯爵(ジョニー・デップ)は、1年間の追放を恩赦によって3ヶ月に減じられ、妻・エリザベスと共にロンドンへ舞い戻った。国王とその親族の面前で卑猥な詩を朗読した罪を国王の寛容さによって赦されたにもかかわらず、第2代ロチェスター伯爵=ジョン・ウィルモットは相変わらずの放蕩三昧。悪友達と大酒を飲んでは遊びほうけ、売春婦と寝て、芝居見物に繰り出す日々。ある日、ジョンは、観客から大ブーイングを浴びせられている一人の女優に目を留める。彼女こそ、エリザベス・バリー(サマンサ・モートン)。その才能を見抜いたジョンは、彼女に個人レッスンをすることを申し出る。エリザベスをロンドン一の名女優に育て上げてみせると悪友達に言い切るジョン。悪名高きジョンからの申し出に戸惑いを隠せないエリザベス。けれども、女優としての野心に燃えるエリザベスは、ジョンのレッスンによく耐えて、次第に評価されるようになっていく・・・・
【感想など】
ジョニー・デップが出演を快諾したというこの作品、舞台劇を映画化したものらしい。王政復古のイギリスで、爛熟した文化に快楽を求めるだけでは飽き足らず、かといって己が才を注ぎ込めるものも見出せぬまま、放蕩を繰り返した天才詩人・ロチェスター伯爵。酒に溺れ、女にうつつを抜かし、梅毒を病んで、33歳の若さで亡くなった彼。物語冒頭とラストのモノローグは、華やかで哀しい彼の生涯を端的に示している。
莫大な遺産を相続した若く美しい貴族の娘を誘拐し、娶った男。酒を浴びるように飲んでは売春婦と遊び惚け、病に倒れた愚か者。才気溢れる絶世の美男子。なるほど、これは、演じてみたいと思わせるだろう主人公だ。ジョニデの熱演はいわずもがな。王に気に入られているのに、駄々っ子がむずかるような言動を繰り返す。誰より明晰な頭脳をもっていながら、それを存分に活かす場を与えられないことが彼の不幸だった。もしも戦乱の世にあったなら、もしも傾国の事態に直面していたなら、あるいはもっと活き活きと、有能さを示せていたかもしれないのに。
全編とおして時代を反映した暗いトーンの画面と、凝ったセットと、豪華な衣装。細部まで丁寧に作りこんである。製作陣の思い入れもたっぷり。金と時間をかけて作った映画、という感じ。
ジョニデの演技はもちろん良かったのだが、エリザベス・バリーを演じたサマンサ・モートンによりいっそうの拍手を送りたい。野心的な女優が、一人の男を愛してしまい、ひっそりと彼との間にできた子を産んで、毅然とした姿勢を崩さぬまま生き抜いていく。この強さと脆さと可愛さとを併せ持つ様子が実に素晴らしかった。愛する男に抱かれながら、ひたすらに顔を隠す彼女。泣いている顔を見られまいとしたのか。その涙は、やっと結ばれた喜びゆえか。それとも日陰の身になることがわかっていながら気持ちを変えられない悔しさからか。複雑な心中を見事に表現した名場面だと思う。
そして、また、妻・エリザベスを演じたロザムンド・パイクもよかった。彼女は夫が梅毒にかかってしまったために咎なく遠ざけられ、疎まれて、それでも夫を愛し続け、最期を看取る健気な女である。本来ならば何不自由なく生きていられたはずの名家の花を手折った相手が放蕩者だったばかりに・・・。自尊心の高さ、女としての弱さ、強い意志の表れる横顔、貴族の娘の雰囲気をロザムンドがよく演じていた。ロチェスター伯爵臨終のシーンでは、抑えた表現の中に愛と悲しみとを感じさせ、放蕩者の死を悼む気持ちにさせる。
しかし、なんだってこの話は主人公の妻と愛人が同じ名前なのだ?女優のエリザベスは劇中でリジーと呼ばれていたけれど、紛らわしくてしょうがない。あ、そうそう、娼婦ジェーンを演じていたケリー・ライリー、彼女もなかなかの存在感で、かなり美味しい台詞を吐いていた。「男は3度恋をする」とか「心なんて要らないわ」とか。この映画は、実は主人公の周囲にいた女性を描きたかったんじゃないのか?と思いつつ、レビューを書いている次第。ジョニデの色男っぷりも堪能できるうえに、美女達の哀しい生涯を存分に味わえる、佳作であった。
撮影機材:Canon Power Shot A720 IS
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