シネマルナティック湊町で1週間だけ上映されるという映画、昨日観て来ました。内容は、動物愛護に関わるドキュメンタリー。
突然、「動物愛護の啓発になるような映画を製作してくれ」と、老女から依頼される飯田基晴監督。動物愛護について、何も知らないのに、「ボクでいいんですか?」と問えば、老女は「あなたがいいんです。私は人を見る目はあるのよ。」と。
ずっと個人で野良猫などの面倒を見てきた老女だが、自分も高齢だし、もうこれ以上は無理だと思ったという。そして、どの猫(動物)も幸せに暮らせるような社会にしたくても、個人の力では難しいと痛感したのだ。そして、誰が見てもよくわかる映画を作ってもらったらいいんじゃないかと思いついた。映画の製作費は老女が負担するという。飯田監督はとりあえず「動物愛護」について知ろうと関係各所を回り始める。

動物愛護センターでは最初ほとんど取材拒否にあった。「愛護」と言いながら、保護された動物のうち、新しい里親に譲渡されるのはほんの数%だ。大半は「処分」されてしまう。センターで働く人たちも、本当は殺したくない。でも、そう言っていられないくらいの数の動物たちが次々にセンターに収容される現実。
民間の保護団体や、個人で犬・猫を世話する人たちに話を聞くうちに、監督もわかってくる。これは動物だけの問題じゃない。すべては人間の身勝手から生じた問題なのだと。中には家族同然の動物を経済的な事情などののっぴきならない理由で泣く泣く手放す人もいる。それはほんの一部。大部分の飼い主が「飽きたから」「大きくなって可愛くなくなったから」などのわがままで命を捨てる。自分では手に負えないからと、保護施設に押し付ける。
一部の身勝手な人間が、おもちゃを買うような感覚で犬や猫を買う。あるいは拾ったりもらったりする。そのうち、面倒見切れなくなって、もういいやと捨ててしまう。もしくは飼い犬や飼い猫に不妊・去勢手術をしないまま仔犬・仔猫を産ませてしまう。結果、捨てるしかなくなって野良犬・野良猫が増える。不妊・去勢されないままの野良の動物たちは、自然繁殖し、数が増えて行く。悪循環だ・・・
目を背けないでいることが難しい、深くて大きな問題。どうして犬や猫と人間たちとが仲良く幸せに暮らせないのか、言葉では言い尽くせないその理由、原因を 丁寧にカメラは追って行く。動物愛護の先進国・イギリスでもやはり殺処分される動物はいた。けれどそれは虐待などのために性格が矯正できないほど歪んでしまった動物を 仕方がなく処分する程度。日本とはわけが違う。日本ではまだまだ動物の命を軽んじる風潮が根強く、小さな命は「個人財産」と見なされ、財産を処分するのと同じように、命が「処分」されてしまう・・・。

ある程度覚悟して観に行ったとはいえ、もうね、だめでしたねぇ。我慢できなかった、ですよ。涙で画面が観えなくって。ホントに辛くて辛くて、たまらない気持ちでした。
犬も猫も何の罪もないんです。なのに、人間の勝手で殺されてしまう。人間ほど残酷な生き物は他にない、です。こんなにも他の生き物に苦しい思いを強いて、自分たちはのほほんと生きている・・・・ごく一部でしょうけれども、小さな命の価値に目を留めず、平気で見殺しにする人間に怒りがわいてきます。安易に命を弄んでいる、そんな気がしてきます。
犬や猫との関わり方を根本から考えさせられる映画でした。すべての犬猫を救うことはできないけれど、1匹でも、殺されてしまう動物を減らすことができたら。1匹でも2匹でもいい、幸せに暮らせる命を増やしたい、そう思います。この映画は、できるだけたくさんの人に観てほしい。特に、子供たちには、現実として観てほしいですね。
松山市内では、シネマルナティック湊町で13日(日)まで上映の予定です。12日(土)は20:30~22:30 13日(日)は11:00~13:00 の上映。
オフィシャルサイト 「犬と猫と人間と」 http://www.inunekoningen.com/
※映画の内容と画像とは直接関係がありません。