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ちいさい ねこ♪

ひとつでも多くの心揺さぶられる瞬間をとどめておきたいから・・・。

映画レビュー「リバティーン」

2008-07-31 13:44:23 | 映画レビュー
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 blog友のmarさんがこの映画のレビューを書いていらしたので、そういえば私も以前鑑賞してレビュー書いたわ、と思い出し、過去ログから引っ張り出してみました。破滅型の男って実に色っぽいのです。ジョニデが演じたからこその魅力かもしれませんけど。

「リバティーン THE LIBERTINE」2007年4月17日

【ひとこと】
 ある放蕩者の生涯

【物語のあらすじ】
 17世紀イギリス、国王チャールズ2世(ジョン・マルコビッチ)のお気に入りである詩人・ロチェスター伯爵(ジョニー・デップ)は、1年間の追放を恩赦によって3ヶ月に減じられ、妻・エリザベスと共にロンドンへ舞い戻った。国王とその親族の面前で卑猥な詩を朗読した罪を国王の寛容さによって赦されたにもかかわらず、第2代ロチェスター伯爵=ジョン・ウィルモットは相変わらずの放蕩三昧。悪友達と大酒を飲んでは遊びほうけ、売春婦と寝て、芝居見物に繰り出す日々。ある日、ジョンは、観客から大ブーイングを浴びせられている一人の女優に目を留める。彼女こそ、エリザベス・バリー(サマンサ・モートン)。その才能を見抜いたジョンは、彼女に個人レッスンをすることを申し出る。エリザベスをロンドン一の名女優に育て上げてみせると悪友達に言い切るジョン。悪名高きジョンからの申し出に戸惑いを隠せないエリザベス。けれども、女優としての野心に燃えるエリザベスは、ジョンのレッスンによく耐えて、次第に評価されるようになっていく・・・・

【感想など】
 ジョニー・デップが出演を快諾したというこの作品、舞台劇を映画化したものらしい。王政復古のイギリスで、爛熟した文化に快楽を求めるだけでは飽き足らず、かといって己が才を注ぎ込めるものも見出せぬまま、放蕩を繰り返した天才詩人・ロチェスター伯爵。酒に溺れ、女にうつつを抜かし、梅毒を病んで、33歳の若さで亡くなった彼。物語冒頭とラストのモノローグは、華やかで哀しい彼の生涯を端的に示している。

 莫大な遺産を相続した若く美しい貴族の娘を誘拐し、娶った男。酒を浴びるように飲んでは売春婦と遊び惚け、病に倒れた愚か者。才気溢れる絶世の美男子。なるほど、これは、演じてみたいと思わせるだろう主人公だ。ジョニデの熱演はいわずもがな。王に気に入られているのに、駄々っ子がむずかるような言動を繰り返す。誰より明晰な頭脳をもっていながら、それを存分に活かす場を与えられないことが彼の不幸だった。もしも戦乱の世にあったなら、もしも傾国の事態に直面していたなら、あるいはもっと活き活きと、有能さを示せていたかもしれないのに。

 全編とおして時代を反映した暗いトーンの画面と、凝ったセットと、豪華な衣装。細部まで丁寧に作りこんである。製作陣の思い入れもたっぷり。金と時間をかけて作った映画、という感じ。

 ジョニデの演技はもちろん良かったのだが、エリザベス・バリーを演じたサマンサ・モートンによりいっそうの拍手を送りたい。野心的な女優が、一人の男を愛してしまい、ひっそりと彼との間にできた子を産んで、毅然とした姿勢を崩さぬまま生き抜いていく。この強さと脆さと可愛さとを併せ持つ様子が実に素晴らしかった。愛する男に抱かれながら、ひたすらに顔を隠す彼女。泣いている顔を見られまいとしたのか。その涙は、やっと結ばれた喜びゆえか。それとも日陰の身になることがわかっていながら気持ちを変えられない悔しさからか。複雑な心中を見事に表現した名場面だと思う。

 そして、また、妻・エリザベスを演じたロザムンド・パイクもよかった。彼女は夫が梅毒にかかってしまったために咎なく遠ざけられ、疎まれて、それでも夫を愛し続け、最期を看取る健気な女である。本来ならば何不自由なく生きていられたはずの名家の花を手折った相手が放蕩者だったばかりに・・・。自尊心の高さ、女としての弱さ、強い意志の表れる横顔、貴族の娘の雰囲気をロザムンドがよく演じていた。ロチェスター伯爵臨終のシーンでは、抑えた表現の中に愛と悲しみとを感じさせ、放蕩者の死を悼む気持ちにさせる。

 しかし、なんだってこの話は主人公の妻と愛人が同じ名前なのだ?女優のエリザベスは劇中でリジーと呼ばれていたけれど、紛らわしくてしょうがない。あ、そうそう、娼婦ジェーンを演じていたケリー・ライリー、彼女もなかなかの存在感で、かなり美味しい台詞を吐いていた。「男は3度恋をする」とか「心なんて要らないわ」とか。この映画は、実は主人公の周囲にいた女性を描きたかったんじゃないのか?と思いつつ、レビューを書いている次第。ジョニデの色男っぷりも堪能できるうえに、美女達の哀しい生涯を存分に味わえる、佳作であった。 


撮影機材:Canon Power Shot A720 IS
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映画レビュー「シービスケット」

2008-05-15 08:27:59 | 映画レビュー
 昨夜「ベストハウス 123」を観ていましたら、この映画の話が出ました。数ある動物関連の映画の中でも、CGで済ませるんじゃなくて、本当に動物を演技させた、ということで。そういえば、レビューを書いていた、と思い出しました。

「シービスケット SEABISCUIT」2005年8月26日

【ひとこと】
 いつまでも「LOSER」ではいやしねぇぜ!

【物語のあらすじ】
 舞台は1930年代、大恐慌真っ只中のアメリカ。「怠け者」と烙印を押され、打ち捨てられた馬、それがシービスケット。血筋のよさも「小柄だからダメ」と評価されず、不当な扱いに傷ついて、荒れ馬になってしまっていた。それを見出したのは孤独な調教師トム・スミス。馬主としてシービスケットを手に入れ、騎手にレッドを雇い、失意に打ちひしがれたアメリカ国民を奮い立たせたのは「自動車王」チャールズ・ハワードだった。今、いくつもの奇跡の扉が開かれる・・・。

【感想など】
 泣きました。最初から最後まで。なんでこんなにツボにはまるのか、自分でもよくわかりません。とにかく、とにかく、けなげだったのですよ、馬も、人も。「ああ、もう走れない」と思ったのに、復活しちゃいますから。これに号泣。思わずTV画面に向かって拳をふりあげ「行けーーーーーっっ!!!」と応援してしまうくらい、シービスケットは素晴らしかったんです。

 で、気がついたんですが、どうやら私、馬に弱いらしいです(笑)。馬ってどうしてあんなに美しいのでしょうね?綺麗ですよ、本当に。動物が主人公の映画はそれだけでも感動させられてしまいますけど、この作品は馬だけでなく、ハワードもスミスもレッドも、それぞれが元は「敗者」というか、挫折した人なんですね。でも、彼らは決してあきらめなかった人でもあります。彼らとビスケットとの出会いが、絶妙のコンビネーションを生み、奇跡を呼び、人生をあきらめかけていた多くの人々を感動させたんですよね。いや、これにはまいりました。シービスケット万歳!

 実際、レッドが背負ってるハンデは生半可なものじゃなく、ハワードの経験した悲しみも生涯癒えないものです。それらのエピソードを描写する場面でもう泣かされるくらい(涙)。だからこそ、再び立ち上がった彼らの強さは本物だと思えるわけでして。それにね、彼らは馬であるビスケットを「馬」とは思ってないんです。非常に敬意を払って接するわけですよ、ビスケットに。愛情と信頼と尊敬を馬と人との間にもしっかりと築き上げる、この経緯が素晴らしい。

 詳しい話は本作を観て知っていただきたいので書きません。脚本がこれまた賞賛に値する出来でした。それと当時の風俗をよく再現していたと思われる美術、風景も美しくて良かったですよ。馬の調教も大変だったでしょうに、よくあそこまでリアルに仕上げたもんです。レースのシーンは言うに及ばず、レッドを乗せたビスケットが、紅葉した野山を疾走するシーンなんて惚れ惚れしますから。そこだけリピートして何度も見直したいくらいですよ。

 もちろん、トビー・マグワイアの演技も必見です。役作りにかなり腐心したと思われます。レッドの悲しみや気概や悔しさや望みを熱演、「スパイダーマン」とはまったく違う顔を見せてくれます。ハワード役のジェフ・ブリッジス、渋い富豪にぴったりでした。偉ぶってなくて、実に思いやりのある馬主で、魅力的でした。調教師・スミスにはクリス・クーパー。この人は本当にどんな役でもビシッと決めてくれますねぇ。うまいなぁとうなりますよ。

 人生はあきらめちゃいけませんね。何度でもチャンスがめぐってきますから。そのチャンスをつかみ損ねないように、前向いて、顔を上げて、自分を信じてやらなくちゃ。そして仲間を信頼しなくちゃ。失意のどん底にあってさえ、希望は失わないでいたいもんです。

 今ちょっと、辛い時期にあるという人に、特にお薦めしたい作品でした。

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映画レビュー「ホリデイ」

2008-05-12 07:29:53 | 映画レビュー
「ホリデイ The Holiday」

【ひとこと】
 失恋の傷は新しい恋で癒すのよ!

【物語のあらすじ】
 新聞社のコラム担当者であるアイリス(ケイト・ウィンスレット)は、プレイボーイの同僚・ジャスパーに3年間も気を持たされ続け、あげくに彼が職場内婚約!ショックのあまり、クリスマス休暇直前にひとりぼっちで大号泣。一方、映画広告制作会社の社長・アマンダ(キャメロン・ディアス)も、同棲していた恋人に浮気されてブチ切れ、彼をたたき出してしまう。休暇をとって遠くへ行こうと思いついたアマンダ、自宅交換サイトでアイリスの家を気に入り、早速明日から2週間、車も家も交換しましょう!と契約をする。恋に傷つき、意気消沈していた二人だけれど、出かけた先で素敵な人たちとの出会いが・・・・・

【感想など】
 なにか元気が出る映画を観たいなぁと思って、これをチョイス、早速鑑賞してみました。ケイト・ウィンスレットとキャメロン・ディアス、まったくタイプの違う二人の女性がそれぞれ恋に傷ついているという設定での共演ですよ。といっても、この二人が同じ画面に登場するのは最後の方だけですけどね。

 意外にも(っつたらイケナイか)面白かったんですわw メソメソ泣いてばかりだったアイリスがアマンダの家@L.A.でどんどん強くなっていくのがまず超オモロ~イ。アマンダは映画広告の製作を手がけるやり手の女社長ですから、当然自宅も豪邸です。ここに最初に来たときのアイリスのはしゃぎっぷりがめっちゃ可愛い!だだっ広いリビングに目を丸くし、プールサイドで飛び跳ね、キングサイズのベッドにダイヴし、喜びまくってるんですね~。ケイトってこういうはしゃぐ演技もできる女優だったのかーって思いました。

 そして、ここでアイリスが出会う人たちがこれまた素敵。往年の名脚本家・アーサー、設定は90歳、彼があまりに渋すぎる!3年間も不毛な片思いに悩み続けてきたアイリスの傷心を知って、とても優しく適切な会話で気持ちを解きほぐしてくれます。さすがに年の功、こういう男性(おじいちゃんだけど)がいてくれたら、失恋した女性がいつまでもトラウマに悩まされることはないような気がしますけど。彼がアイリスに薦めてくれた名作映画が彼女の内面的な弱さを少しずつ変え、ついには調子のいい元彼にバシッと言えるまでに成長させてくれたんだと思いますよ。アイリスは純情すぎて男を観る目がなかったんですねぇ。ジャスパーがどんなにひどい男か、気がついてよかったね、って正直思いました。

 アマンダの元彼の親友であり、作曲家でもあるマイルス(ジャック・ブラック)も、外見はさえないもののイイやつです。いつも悪女に惚れこんでは振り回されていたけど、アイリスのような誠実な女性をこそ、生涯のパートナーに選ぶべきだと気づく、このあたりの脚本の運び方が非常に上手くて、ちょっと惚れ惚れしましたね。ケイトが演じたアイリスは、悪く言うと「お堅い」んです。妙に純情だから、悪い男につけこまれちゃう。マイルスが男性ながら似たようなタイプだったのが幸いだったかな。お互いに傷つくポイントがわかりあえるのはいいですよ。

 アマンダとアイリスの兄・グラハム(ジュード・ロウ)の関係については、あんまり感心しない人もいるかもしれません。私は「理屈じゃなくて直感!」で結びつくのもアリだと思ってますから、あんまり抵抗なかったですが。というか、恋愛って、理由つけられなくないですか?「なぜ嫌いなのか」という理由なら百でも二百でも言えるのに、「どうして好きなのか」は言葉で言いづらいですよ。たとえば「あなたのダーリンの『好きなところ』を10あげてみて」というんだったらまだ言えるかなぁ???

 帰ろうとしたアマンダがタクシーの中で自分の涙に驚いて、嬉しそうに笑うシーン、ここよかったですね。アマンダの複雑なキャラ設定がすべて活きる名シーンでしたよ。キャメロンやっぱいい女優だわって感じます。

 時期的にクリスマス前に観るとちょうどいい話ですけど、失恋して落ち込んでる人にもいいかも。なかなか立ち直れないなぁって人は、ちょっとしたきっかけになるかもしれませんよ。はっきりしてるのは「恋の痛手は恋で癒すしかない」ってことかなー。


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映画レビュー「ロング・エンゲージメント」

2008-05-09 08:16:11 | 映画レビュー
「ロング・エンゲージメント A VERY LONG ENGAGEMENT」2006年4月25日

【ひとこと】
 私にはわかる、あなたは死んでなどいない。

【物語のあらすじ】
 マネクはまだ20歳。恋人のマチルドを初めて抱いたとき、右手を彼女の胸にそっとあてて、彼は眠った。その鼓動を彼はいつまでも覚えていた。第1次大戦の最中、二等兵として徴兵されたマネク。激戦に耐えかねて「故意に負傷し、戦線離脱を試みる」兵士が続出。マネクはその5人のうちの1人として、敵軍と自軍との間、中間地帯に放置する、という限りなく死刑に近い状況に置かれてしまう。「マネクは死んだ」と知らされて、信じることができないマチルド。そして彼女は決意した。マネクを必ず探し出すと。

【感想など】
 「アメリ」のオドレイ・トトゥが、本作では「強い意志で恋人を捜索し続ける女性」を熱演しています。きりっと引き結んだ唇や、じっと見つめる眼差しに、その固い決意をにじませて、不自由な足を引きずりながら各地を訪ねまわる様子がいたいたしくもリアルです。マネクといっしょに死刑判決を受けた兵士達を探し、事情を知る関係者にあたり、わずかな手がかりから恋人の行方にたどりつく、その想いの強さに感動させられる作品ですね。この役は、オドレイにピッタリ。彼女の意志の強そうな顔立ちから、マチルドの深い愛がうかがえるんですよ。たとえどこへ行っても、いとしい人に何かあれば、必ず私にはわかる、と確信していることを特に不思議とは思えなくなるからすごいでしょう?これはオドレイの役者としての力量に負う部分がかなりあります。

 この映画、話は二転三転します。わずかな希望→失望→新たな手がかり→落胆→嬉しい知らせ→絶望→・・・という具合に。そのたびに風変わりなおまじないめいたマチルドの祈りが捧げられるんです。「車より早くカーブについたら彼は生きて帰る」「7つ数えるまでにトンネルに入るか、車掌が来たら、彼は生きている」などと。このあたり、ちょっと「アメリ」っぽいですね。恋する乙女の気持ちを観る者に実感させてくれるテクニックとでも言いましょうか。なんの根拠もないおまじないであっても、愛の強さがそれを真実に変えてくれるような気がしてくるんです。うーん、ロマンティック~♪

 周りの人たち、特にマチルドの親代わりの伯父夫婦は実に良い人たちでした。マチルドの一風変わった性格を優しく受け止め、彼女を手助けし、たとえ落胆しても慰めてくれる、いいですねぇ。マチルドを襲う悪しきものから彼女を護るのは「愛」だと思いますよ。ラスト、多くの人々の想いに助けられて、マチルドはついに真実へとたどりつきます。堰を切ったように流れ出す涙のわけは・・・・・

             どうぞ実際にご覧下さい。

 脇役のキャラがそれぞれ際立ってるのはジャン=ピエール・ジュネ監督作品の特徴なのかもしれませんね。恋人を探す途中経過がミステリー仕立てになっているのも楽しいです。「3つのM」とか「アルバトロス」とか暗号チックなキィワードも出てきますよ。マチルドと同じようにいとしい人をなくしたある女性が復讐にはしるのとは対照的に、マチルドがひたすらにマネクの無事を信じ、行方を捜す、このへんに監督の価値観がよく表れていると思いますね。

 戦場のシーンはかなりリアルで、R-15の意味がわかりました。単なるラブ・ロマンスを描くだけでは終わらせない、さすがフランス映画(?)らしい撮り方です。謎解きの映画として観てしまうとちょっとどうかなと感じましたが、私は「恋人を想う気持ちの強さ」に重点を置いていましたので、高評価。なによりマチルドを演じきったオドレイが素晴らしい。彼女こそ「only one」の女優。主役が彼女でなければ、この作品はここまでのレベルには仕上がらなかったと思います。役者の力量って重要ですねぇ。本作ではあのジョディ・フォスターも出演してます。これ、私はとても嬉しかったなぁ。マネク役のギャスパー・ウリエルもなかなか愛嬌のある好青年で良かったですよ。オドレイファンなら必見の作品。

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映画レビュー「アレキサンダー」

2008-05-07 07:29:36 | 映画レビュー
「アレキサンダー ALEXANDER」2006年1月3日

【ひとこと】
 アレキサンダー大王って、ホントにこんな人だったの????

【物語のあらすじ というかなんというか】
 20歳で王位を継承したアレキサンダーは、東方へ遠征しつづけ、わずか10年の間に広大な帝国を築き上げる。だが、彼の波乱万丈の人生には、数々の謎があった・・・。

【感想など】
 世界史詳しくないので、このお話がどこまで史実に基づいているのかまったく見当つきません、ごめんなさい。ひとつ言えるのは、「アレキサンダーってこんな弱っちい男だったの?」と素朴に疑問を感じたってことです。「キング・アーサー」でも、「え?」と思わされてしまった私。今回もやっぱり、でした。

 巨匠(なのか?)オリヴァー・ストーン監督が、なんとタイ米じゃなくて大枚200億円もの制作費を投じて撮ったわけなので、戦闘シーンの迫力や臨場感などは素晴らしいと思えます。細部のこだわりぶりにも脱帽です。劇場の大画面で観たらさぞ凄かったでしょう。それは「トロイ」にも感じました。でも、でも、でも・・・・

 コリン・ファレルのキャラがどうにも偉大な王に見えなさすぎる~~~~~。

 あの顔に、金髪ロン毛ってのもなんかどうもそぐわない。傷だらけなのが精悍と言うよりむしろ痛々しい。満身創痍で行軍し続ける必要性がいったいどこにあったのか、なんか説得力足りない気がしました。おっかないオカアチャンから逃げるためだけ、というんじゃ犠牲が大きすぎるし。

 しかも、山岳民族の族長の娘・ロクサネを妃に娶るというのは、まるっきり「オカアチャン生き写し」の女に子供産ませるためでしょ?結局マザコンなんじゃん。オカアチャン怖さのあまりにゲイに走ってるアレキサンダーって、どう贔屓目に見てもかっこよくは思えないの~。

 親友(もちろん男)と恋人でもあったアレキサンダー、妖女・オリンピアスの影響で、人間不信に陥るのが可哀想。せっかく頑張って遠征しても、帝国を広げすぎて統治しづらくなったあげくに、腹心の部下たちに結局裏切られて暗殺されるなんて可哀想すぎ。ほんとにこういう人だったのかしらん?

 なんといっても3時間近い長尺が耐え難いのです。ダレダレにだれまくりの展開もどうなんだ?もうちょいテンポ良く仕上げてもらったら、それなりに「アレキサンダー大王異説」みたいな作品たりえたんじゃないかしらん(と希望的観測の下に言ってみる)。語り部役にアンソニー・ホプキンスを起用した意図も実はよくわかんない上に、むしろ要らない?全体の構成をもうちょい工夫して、リズミカルにいったら良かったのよー。

 もうね、この映画はコリン・ファレルが主役じゃないですね。アンジェリーナの毒婦っぷりが板につきすぎてて、明らかに貫禄負け。タイトル変えた方がイイ。「毒婦・オリンピアスの生涯with蛇」とかなんとか(安いポルノ映画みたいだけど)。あとね、部下とか登場人物とか名前覚えにくすぎ。ただでさえ人数多いんだから、横文字が苦手な人にはどれが誰やらさっぱりわからーんとなったのでは?

 「フォーン・ブース」や「リクルート」のコリン・ファレルは好きだけど、この作品は・・・・・・でした。歴史大作っていい作品にするの難しいのね。

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映画レビュー「LOVERS」

2008-05-06 08:23:11 | 映画レビュー
 過去ログから映画レビュー、本日午後6時からWOWOWで放映予定の「LOVERS」をどうぞ。

「LOVERS 十面埋伏」2005年6月13日

【ひとこと】
 二人の男の間で揺れ動く女心。チャン・ツィイーの魅力に酔え!

【物語のあらすじ】
 舞台は唐の時代の中国。朝廷を滅ぼそうとする勢力「飛刀門」一派の頭目を官吏達が仕留めたが、新頭目を探し出し、必ず討てと再び命が発せられる。隋風(スイフォン=金城武)と劉(リウ=アンディ・ラウ)は遊郭・牡丹坊の一番の売れっ子芸妓が怪しいとの噂を聞きつけ、内偵に出向く。出てきたのは盲目の踊り子・小妹(シャオメイ=チャン・ツィイー)素晴らしい舞の最中に劉を殺そうとして捕まってしまう。「新頭目は誰だ!?」と拷問にかけられそうになるところを隋風が助け出して脱出。それは新頭目を探る為の芝居だった。逃げる二人に非情にも追っ手の刃が迫る。そして・・・

【感想など】
 「HERO 英雄」が爆発的なヒット作となったチャン・イーモウ監督、今度は三角関係がらみの武侠映画ですよ。今が旬の女優チャン・ツィイーをめぐって争う男二人に金城武と実力派アンディ・ラウを配し、色彩豊かに悲しい戦いを描き出しました。俳優達のアクションも見事なら、中国の風景もまた美しく、驚嘆の連続です。

 ものすごく美しい映画でした!とにかくあの色彩感覚が素晴らしい。ほんとにストーリーなしでもいけるくらい美しいんですよ。それだけ観たっておつりがきます。ワダエミさんの衣装もイイですね。「HERO」も素晴らしかったけど、この「LOVERS」の衣装は★5つです。特に、竹林の中で緑の衣装を身にまとい立つチャン・ツィイー、綺麗でしたよ~。踊り子の衣装も素晴らしく、これはもう、他のデザイナーにはできない仕事でした。チャン・ツィイーってどうしてあんなに綺麗なんでしょう!!!あの顔立ちの美しさもさることながら、肩とか背中とか、とにかく、とにかく、美しい。輝いてました。

 お話は、「え?」というつっこみどころいっぱいなので、あえて言わないでおきます。劇中の刀の飛び方とか、明らかに物理法則まるで無視してますので、そういうのが気になる方はイライラしちゃうかも。二転三転する話には、「うーん、中国やなぁ・・・」と感じました。

 ただ、私は金城武がとにかく大好きなので、彼が馬に乗って森の中を疾走してるだけでも大満足なんですよ(笑)。この作品では女たらしの「風流人」の役でして、これがまた彼のキャラにぴったりはまりすぎでした。しまいにどっちが罠を仕掛けてたんだかわかんなくなる展開ってのも、「本気になっちゃったのね」と可哀想に感じたりしましたから、ファンは盲目。

 アクションは好き嫌い分かれるかもしれませんね。ワイヤー駆使した不自然な動きは嫌いな方だとちょっとしんどいかな。竹林の中での戦いや、花野での戦闘は大好きです。ラストの雪原でのシーンには、すみません、笑っちゃった。だってーおかしかったんだものー。ありえねぇ~の世界なんだものー。一番よかったなーと思えるのは、牡丹坊で小妹と劉が戦うところですか。小妹の着ていた衣装の袖が濃いピンクで、これを劉が刀で切り刻んでいくんですよ。その様子がまるで花びらが散るようで、非常に絵画的、美しい名場面でしたね。もちろん、3メートルもの袖を振って、小妹が太鼓を叩きつつ踊るシーンは必見です。

 この作品は「中国的」な荒唐無稽さもかなり目に付きますので、リアリティを追求したい方にはお薦めしません。主演した役者達のファンの方は、存分にご堪能ください。


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映画レビュー「Vフォー・ヴェンデッタ」

2008-05-04 20:36:48 | 映画レビュー
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 過去ログから映画レビュー、この作品は先日WOWOWでも放送されました。私は劇場公開時に映画館へ行って観て、それから↓のレビューを書いております。一部加筆訂正あり。

「Vフォー・ヴェンデッタ V for Vendetta」2006年5月1日

【ひとこと】
 仮面のヒーロー、「V」見参!

【物語のあらすじ】
 舞台は近未来のイギリス。第三次世界大戦終結後、疲弊したアメリカに取って代わったのは大英帝国。夜間外出禁止令を破って出かけたイヴィーは、自警団に見つかり、危うい状況に。そこに突如現れ、イヴィーを救う「V」。独裁政権を振るうサトラーに、たった一人立ち向かうマスクの男、「復讐=vendetta」を名乗る謎の人物だ。自由が抑圧され、私生活を検閲され、恐怖によって支配された国民達に「V」はメッセージを伝えた。1年後の国民総決起を呼びかけて、建物を爆破。偶然彼に救われただけのイヴィーは、次第に「V」に感化され、彼の目論むクーデターにいやおうなく巻き込まれていく。

【感想など】
 ネタばれだらけなので要注意。

 ナタリー・ポートマンが丸坊主になって、G.I.ジェーンばりに大活躍するのかと期待して観に行きました。全然違いましたw ストーリーは、政府によって自らの人生をめちゃめちゃにされてしまった「V」が個人的な復讐を決意し、そのために20年もかけて準備をし、関係ない女の子を巻き込んで、ついでにクーデターもやっちゃうという話です。少なくとも私にはそう受け取れました。

 「V」に扮したのは「マトリックス」や「ロード・オブ・ザ・リング」で大活躍したヒューゴ・ウィーヴィング。ずっと仮面をかぶっていたのは大正解ですね。彼の顔はインパクトありすぎなので、仮面をかぶってないと「あ!エージェント・スミス!」ってなっちゃう。仮面かぶってても演技力の素晴らしさはよぉーくわかります。そこは観客の期待を裏切らない、さすが「名優」でしたねぇ。

 で、お話なんですが、ちょーっとテンポ悪いんですね。もっとパンパーンと展開してもらいたかった。コミックが原作ということですけど、リズム的にどうなんだろう?これ。原作読んでないんですが、ウォシャウスキー兄弟脚本のわりに、緩急なさすぎというか、ちょいだれてませんか?もっとはしょってもよかったんじゃないだろうか?

 アクションシーンはかなぁ~りかっこいいんですよ。特に、「It’s my turn.」から後のスローモーションは抜群にかっこいいです。これはしびれます。なのに、何かが物足りない。なぜだ?

 たぶん、私が最初からナタリー・ポートマンの活躍を期待しすぎていたせいですね。彼女の役どころが今ひとつあやふやというか、はっきりしなくて。捕まって拷問されて、でも政府の手で殺されるんじゃなく、実は「V」の策略にすぎなかったというのがなんとも・・・(汗)。その後も積極的に「V」を手伝うんじゃなく、最後にちょこっと手を貸すだけで。なんのためのキャラだったのかというと、単に「V」の恋愛の相手という、そりゃないぜセニョール的な配役だったのですよ。これ、がっかり。丸坊主の必然性がないじゃんか!そんな余計な味付けはいらねぇんだよ!(怒)みたいな。どうせやるならもっと恋愛もがっつり入れろ!という不満感がありありでした。

 政治的なメッセージはかなりありますね。民衆が「V」のいでたちで集結して、最後仮面を取るところなんて、結局体制を変えるには個人個人が動くしかないというメッセージなんでしょ?顔のない「誰かさん」のままじゃなーんにも変えられないよ?という、ね。

 設定としてはありなんですけど、同性愛者があそこまで迫害されちゃうのが私にはとっても不自然かつ不必要に思えました。日常的に国民が盗聴されてたり盗撮されてたりする国なんて、もっと早くに瓦解してしかるべきでは?政府が仕掛けた陰謀を暴く人間がもっといてもいいのでは?メディアの流す情報を疑ってる人があれほどいるのなら、「V」があえて呼びかけなくても・・・・とか、いろいろ思いました。

 ある「研究」のために実験体にされて、身体能力が著しく向上してしまった男が「V」だという設定なんですが、これもいかにも中途半端なんですよね。アメコミならば、超人にしちゃうとこ、イギリスだから抑えたの?個人的な復讐のはずが、なんでクーデターに結びつくのか、そこもうちょい説明してもらいたかった。

 いたるところでシェークスピア劇のセリフが引用されまくるのもイギリスっぽい。でも、シェークスピア作品に疎い私にはなんのこっちゃわからん、でした。イギリス人が観たら面白いのかなぁ?うう~~~ん???

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映画レビュー「ブロークン・フラワーズ」

2008-05-02 00:21:37 | 映画レビュー
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 以前劇場で観た映画のレビューです。これは、40~50代の男性がご覧になると、いろいろ考えさせられるかもしれません。

「ブロークン・フラワーズ BROKEN FLOWERS」2006年6月21日

【ひとこと】
 老いたドン・ファン、旅に出て・・・

【物語のあらすじ】
 昔は超プレイボーイ、いまや老いてかたなし、それがドン・ジョンストン(ビル・マーレイ)。同居していたシェリー(ジュリー・デルピー)には愛想をつかされ、出ていかれてしまう。ちょうどそこへ届いたピンクの手紙。「あなたの息子が19歳になっているわ。」差出人は不明。親友であり、隣人でもあるウィンストンにお膳立てされて、真相を知るために昔の恋人たちに会う旅に出るドン。20年の歳月を経て、図らずも自分の過去と向き合わされる羽目になった中年男は・・・・

【感想など】
 ジム・ジャームッシュの監督作品を観たのはこれが初めてです。初、がこれかーと、劇場を出て苦笑いしました。人によっては退屈で仕方なかったり、とても不愉快にさせられたり、するんじゃないですかねぇ・・・・?コメディらしいんですけど、私は笑えなかったなぁ。ただ、とても身につまされることはありました。「過去はもう済んだことだし、未来はこれから変えられる。大事なのは現在なんだ。」ってところ。ドンの旅は結局無駄足だったようにも見えます。でも・・・見ようによっては非常に残酷ですよ、この話。

 ドンは金に困ってるわけじゃないのに、ちっとも幸せそうじゃありません。しょぼくれてました。正直言うと、「魅力的」には見えませんでした。昔はモテモテだったはずなのに。何が彼をああいう風にさせてしまったんでしょう?昔関わった女たちの誰かが本当に身ごもっていて、息子がいたら、彼はもっと変わっていたのでしょうか?この映画では、真相はわからずじまいで、ドンは一人でぽつんと取り残されます。もうどこへ行って何をすればいいのかもわからなくなってしまった、ただのおっさん、でした。

 ドンだって、若い頃は何かしらやりたいことがあって、やるべきこともあって、毎日が嬉しかったり苦しかったりしたはずなんですよ。欲望がわきだすこと、そのものが生きるエネルギーを生み出すことになっていたと思います。なのに、その日を楽しく暮らすだけの生活が彼にもたらしたのは、孤独と、生き甲斐の無い人生。それだけだなんて悲しいですよ。それこそ枯れ果てて駄目になってしまった花束みたいに。なんで俺はここにいるんだろう?と、自問自答させられる、それってけっこうキツイんじゃないですかね?

 もしも彼が何かしら遠大な理想を抱いて、それに向かって頑張り続けてる真っ最中で、人生に対する確固たる構えもあり、ちゃんとした家族もいて、という人生を歩んでいたら、この映画のようにはならなかったでしょうか?でも、それって、若い頃には予見できないことですよね。ドンが年老いてから「しまった!」と思っても、もうどうしようもないことで。そのあたりはとっても意地悪だなぁと感じましたよ。なんだか自分の将来もこんなだったら嫌だなぁって。

 ドンの昔の恋人達はそれぞれにちょっと変わっていて、とっても綺麗で、魅力的で、こんな女性たちに愛されていたのに、みすみす別れてしまったドンはほんとお馬鹿さんだと思わせられました。画面の中でピンクが出てくるたびに気をとられてしまうドンの心中、20歳前後の若い男性がみんな自分の息子のように見えてしまう気持ち、そういうとこ、描き方がうまいなぁーと思いました。良い映画かとたずねられたら、良い映画ですよ、と言います。でも、自分がこれを好きかどうか、という観点で言えば、好きじゃないですね。なんか、痛かったですよ・・・・。観てて辛いものがありました。

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映画レビュー「シンデレラマン」

2008-04-24 12:21:08 | 映画レビュー
「シンデレラマン CINDERELLA MAN」2006年10月30日

【ひとこと】
 タイトルとタートルを持って帰るよ。

【物語のあらすじ】
 大恐慌時代のニュージャージー。度重なる故障に悩むプロボクサー ジム・ブラドック(ラッセル・クロウ)は、かつて栄光を手にしていたが、今はすっかり落ちぶれていた。ボクサー資格も取り上げられ、港の荷役で細々と稼ぐ日々。家では3人の子供がお腹をすかせて待っている。妻・メイ(レニー・ゼルウィガー)は献身的に支えてくれる。けれども不景気はいかんともしがたく、仕事になかなかありつけず、極貧にあえぐ一家。そんなとき、かつてのマネジャーであるジョー(ポール・ジアマッティ)が「1回だけ、ケガで棄権したボクサーの代理としてこの試合に出てみないか?」と話を持ってきてくれる。暗い時代に人々のヒーローとなった男の伝説が幕を開けた。

【感想など】
 ストレートな感動実話!という作品。ロン・ハワード監督とラッセル・クロウの組み合わせ、と言えば「ビューティフル・マインド」だが、私は両作品とも大好き。この「シンデレラマン」は、もう少しタイトに編集してもらっていたらもっと良かったかな。やや冗長な気がしないでもない。

 とにかく極貧!!のジムとメイがとても深く愛し合っていて、信頼し合っていて、夫婦っていいなぁ、と思わせてくれる。小さい子どもたちが抜群に可愛いし。この大切な家族を守るために、骨折を隠してまでもボクシングを続けていたんだなぁ、とジムの心情がよく理解できるよ。試合中、家族の笑顔がジムの脳裏をよぎるシーンもある。これ見ちゃうと「ああーーーー勝ってくれーーーーー、勝つんだーーーーー」とおのずと応援してしまう、というね。支払いが滞って電気止められたり、子供が病気なのに医師にみせることもできなかったり、長子がサラミを盗んでそれを店まで返しに行ったり、さまざまな貧乏エピソードが悲惨すぎない程度に語られて、ジムを応援したくなるように話が盛り上がっていく。このあたりの演出は賛否両論分かれるかも?

 実話ベースなので、奇をてらったものではない。本当にストレート。ひねりがなさすぎて面白くないという方もいらっしゃるかも。しかしながら、大恐慌時代、アメリカ全体が経済不安に苦しみ、不景気だったわけなので、ジムのようにLUCKをものにしてのしあがる人が「希望の星」に見えるのは当然。民衆の熱狂もむべなるかな。最後のタイトル戦なんて観衆皆がブラドック・コールだ。そりゃ勝たなきゃ。そういう展開はすっかり見えてるんだが、ハラハラもするんだな。それはなぜかと言えば、試合中の描写が優れていたから。

 ボクシングの映画なのだから、試合のシーンはとても重要。ジムが落ちぶれていた時代に、相手の顔じゃなく頭を打ってしまって右手を骨折するシーンなんて「痛っっ!!」と顔しかめちゃうよ。ラスト近く30分はとにかく痛々しい。タイトル戦は「これ、殺されちゃうんじゃないか?」と真面目に心配するくらいに白熱。カメラワークの冴えが臨場感を醸し出していて非常によかった。ボクシングって当時は本当に「打ち合う」ものだったんだなぁ。グローブはめてるけど、あれあんまり役に立ってない気がする。とにかく、リング上で大の男二人が殴りあうさまが壮絶。ラッセル・クロウはヘヴィー級ボクサーにしてはちょっと小柄な気もするが、ボクサーとしてのトレーニングはかなりやって作りこんだ身体に見えた。相手役のボクサーたちもそれぞれに申し分ない動きでgood。見ごたえのある作品だった。

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映画レビュー「最後の恋の始め方」

2008-04-23 22:55:15 | 映画レビュー
 「幸せのちから」がよかったので、ウィル・スミス主演作品をもうひとつご紹介。

「最後の恋の始め方 HITCH」2006年8月23日

【ひとこと】
 デートコンサルタントがゴシップ記者にマジで恋しちゃった?

【物語のあらすじ】
 ヒッチは敏腕デートコンサルタント。好きな女性にどうやったら効果的なアプローチができるかを冴えない男たちにレクチャーし、うまくいったら報酬を得る。太目の会計士アルバートも、ヒッチにレクチャーを依頼する客の一人。お目当ての女性はお金持ちで美人のアレグラだ。二人を取り持ちながら他の顧客の依頼をも同時進行でさばいていくヒッチ。とあるバーで知り合った女性記者・サラに一目ぼれし、いつものようなかっこいい口説きを開始するヒッチ。ところが、サラにマジ惚れしたから調子が狂うこと。おまけに彼女はゴシップ誌の記者で、ヒッチの正体を知るや激怒し、「女の敵ダ!!」と記事にしたから大変!サラの誤解を解きたいのに、なぜだ?いつものクールなヒッチじゃなくなってる!?

【感想など】
 いやー軽い!めちゃめちゃ軽い!こんな仕事が成立するわけないんだけど、なぜだか「こんなコンサルタントがいてもいいかも?」「いやむしろ、いてほしいかも?」と思えてしまうのが可笑しい。ヒッチの繰り出すアドバイスや必殺口説きテクニックは、実践しちゃう男性がいるのでは?

 ことほどさように恋は難しい。想う人には想われず、想わぬ人から想われて、というのが普通だからね。藁にもすがる思いでヒッチに大金を支払う「モテない君たち」が健気で可愛くてとてもイイ!特に高嶺の花アレグラに恋する純情なアルバート、彼はね、見てると泣けてくるよ。うまくいってほしい、結ばれてほしい、って、ついつい応援しちゃうんだ。

 不器用で、純情で、一途に恋する男性には、最大限の助力を惜しまないヒッチだけど、「ちょっとイイ女とSEXしたいだけ」と言う男に対しては、けんもほろろなのがまた憎い。なのに、自分の恋にはひどく不器用で、ちっともかっこよくないヒッチ。そのあたりの落差をウィル・スミスが好演。コメディもいいじゃないかと思わせる。相手役のエヴァ・メンデスも、ダイナマイトボディのクールビューティーだったし、なにかとおいしい映画であった。

 しかし、あれだね、恋のきっかけはささいなことなんだよね。ちょっとしたことなんだな。そして重要なのは言葉よりもむしろ空気だったりしぐさだったり目線だったりするのだね。この映画で使われていた恋愛テクニックは真に受けちゃうとちょっと怖いけど、ヒッチの観察力や洞察力、共感力、まめさ加減、などは恋愛下手な男性に学んでほしいかも。

 「ああーなぜだーなぜいつもうまくいかないんだーーーーー!?」と叫びだしたいくらいに恋愛において失敗続きの男性にオススメ!

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