goo blog サービス終了のお知らせ 

ちいさい ねこ♪

ひとつでも多くの心揺さぶられる瞬間をとどめておきたいから・・・。

映画レビュー「人のセックスを笑うな」

2009-01-24 10:28:48 | 映画レビュー

【ひとこと】
 リアルでナチュラルな恋愛映画

【あらすじ】
 美大に通うみるめ(松山ケンイチ)は、ある日一人の風変わりな女性と出会う。終電を逃してしまった、と人里離れたトンネルの中を歩いていた彼女は、パンプスを手に持ち、靴下履きだった。友達と一緒にトラックに乗っていたみるめが、見かねてサンダルを貸し、そのときは連絡先を聞くでもなく別れる。後日、大学で偶然再会した二人。女性の名はユリ(永作博美)、リトグラフの臨時講師、38歳。みるめはユリのまとう風変わりな空気に惹かれ、次第に近づいていく。モデルをやらないかと誘われて、ユリのアトリエまで出向いたみるめは、「じゃあ脱いで」とあたりまえのように脱がされてしまい・・・

【感想など】
 うーん、びみょーw これは好き嫌いがはっきり分かれる映画ですよ。最近密かにマイ・ブームの二人、松山ケンイチ&永作博美が主演だから観たんですけど。

 お話の設定はリアルだと思います。主役二人のやりとりや、みるめが好きなんだけどはっきり言えないで見守り姿勢におちいってるえんちゃん(蒼井優)の葛藤など、素直に微笑ましいと思える部分もかなりあります。つきあいはじめの頃の初々しい感じとか、ユリが人妻とわかって悩んでやせがまんしているみるめの辛さとか、けっこうキテました。でもでも・・・

 第一に、脚本のテンポが悪すぎるんですよ。なんというか・・・無駄な部分が無駄に多いんですね。場面転換が壊滅的に下手。ナチュラルを強調する手法といえばまあ、納得できなくもないかなぁ?それにしたってリズム感がなさすぎるような。長回しを多用しすぎてるんですよね。編集でなんとかできるはずの部分もあえて(?)そのまんまだし。141分が長すぎると感じました。100分でいい、100分で。

 第二に不親切な映像になっちゃってますね。たとえば、サンダルのエピソード。みるめがユリにサンダルを貸してあげてるのが後に生きるはずなのに、肝心のところで台詞はハッキリ聞き取れないし、引いたままの画で終わらせてるので、観客にはそこでサンダルのやりとりがあったことがわからないんです。こういうイラっとさせられる箇所がけっこうあって、私はそのへんが不満でしたね。

 あとね、音声のミスなのか、シーンによっては台詞がほとんど聞き取れず、雑音ばかりが聞こえたりもします。こういうのはストレスですよ。お話に入り込めないので困りますね。

 永作博美演じるユリは、やっぱりズルイと思いました。だってまったく色っぽくない服とおばさんくさい下着で登場してるのに、さらーっとみるめをものにして、簡単に脱がして、のほほーんと遊んで、「いろいろ考えて」などと本人言ってますが、結局みるめの前から消えちゃうわけですから。えんちゃんに責められてましたけど、本人「だって触ってみたかったんだもん。」とか言うんですよ、困りますね、こういう女。永作が演じてるから余計に、そっけない外見なのに男心をくすぐっちゃう、同性から見るととっても「ズルイ」女ですw

 松山ケンイチは20歳も年上の人妻にイカレてしまう純情な美大生を好演していました。アップがほとんどない映画なものですから、せっかくの泣きの演技も目立たなくって、ちょっと可哀相なんですけど。美大のデッサン用の石膏像とかいっぱい置いてある部屋に、通りかかったユリをいきなりひきずりこんで、押し倒してキスしちゃうシーンあたりは、切羽詰って思いつめてるのがよくわかりましたね。

 特筆すべきは蒼井優ちゃん、良かったですね。このコは何をやらせても独特の透明感を発揮します。非常に自然で、けれども印象が強い、稀有な女優ですよ。若手の中でもかなり将来期待できますね。「花とアリス」も好きですが、この映画のえんちゃんは「はまり役」です。他の女優さんはちょっと考えられないくらい。

 全体として見ると、キャステイングはいいのですが、映画としての完成度は高くない、と私は感じました。すっごく暇で、あまり変化の無い画面をだらだら~っと見るのが好きな人にはいいかも。それにしても恋愛ってままならないもんですね。

映画レビュー「チェ 28歳の革命」

2009-01-20 07:17:08 | 映画レビュー
【ひとこと】
 ドキュメンタリーといってもいいかも・・・

【あらすじ】
 フィデル・カストロの右腕となって働き、キューバ革命を成し遂げた立役者エルネスト“チェ”ゲバラ。彼の28歳から39歳までを前後編で描いた作品の前半部分。1955年7月、メキシコに亡命中だったフィデル・カストロの思想に共鳴したエルネストは、妻・イルダと娘・イルディーダをメキシコに残し、キューバへと潜入する。上陸後、山中でゲリラ戦を展開しながら徐々に兵力を蓄え、1959年、バティスタ独裁政権を倒し、首都ハバナへと侵攻する。

【感想など】
 率直に申し上げて、なんの事前知識もなしに鑑賞すべきではない映画、でした。「チェ・ゲバラって誰?」という方がご覧になってもわけがわからないと思われます。ソダーバーグ監督作品や主演のベニチオ・デル・トロのファンだから、という理由だけで鑑賞するのも危険です。少なくとも前編は、ドキュメンタリータッチの淡々とした作りであり、説明的な部分がほとんどありませんので、退屈に感じられることでしょう。

 映画として語るならば、これは記録映画にカテゴライズされるべきかと考えます。エンタテイメント性は皆無でした。なぜ若きエルネストが革命家を志すようになったのか、この映画ではまったく語られません。現在も世界中で最も愛されている革命家「チェ・ゲバラ」がどのような人間であったのか、一側面を描くものであり、後編と合わせて見て初めて意味をなすものだと感じました。

 私は、この作品を鑑賞する前に、ガエル・ガルシア・ベルナル主演の『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観ております。そこでは若き日のエルネストが何を見聞きして社会主義に傾倒するようになるのかが描かれていましたから、『チェ 28歳の革命』がカストロとの出会いからいきなり始まってもさほど驚かずにすみました。

 この作品を鑑賞する前の私の「チェ・ゲバラ」のイメージは、弁の立つ、熱血革命家という程度でしたが、この作品を観て印象が変わりました。非常に先見の明がある、賢い男だったんですね。彼は実に礼儀正しくて、気高い思想の持ち主でした。自らの信念のために命を賭ける勇気がある人です。エルネストは行動力があり、指導力もあり、冷静な判断力にも恵まれていました。皆から慕われるリーダーとしての器を備えた人です。

 劇中に、脱走した元兵士を裁くシーンがあるのですが、そこでエルネストは「我々は農民を尊敬している」と語ります。尊敬する農民に乱暴狼藉を働いてはいけないし、敬意をもって接するべきなのであって、作物や金品を強奪するなどはもってのほかなのです。ましてや危害を加えた者は、死をもってその罪を贖うべきであると、元兵士らを処刑します。意志が強く、自分に対しても厳しいエルネストは、規律違反を決して許さなかったことがわかりますね。

 さらにエルネストは、読み書きを覚えるようにと農民上がりの兵士達に徹底させました。山中を行軍しているときでさえ、自ら勉強を続け、兵士にも算数をやれと教えました。教育を受けられないままの庶民は簡単に騙され、搾取される、という考えの下にたって、将来を見据えた理想を語り続けたわけです。そこにも、チェが尊敬された理由がありました。

 非常にストイックで、高潔な理想を実現するためにはどんな困難も乗り越えてみせる、そういう人が「チェ・ゲバラ」だったのだと感じました。彼の語る「真の革命家」とは、人民や真実への愛を貫く人でした。「祖国か、死か!」と演説をしたことで有名なゲバラですけれど、彼の熱い情熱は、搾取され、弾圧され続ける人民を救うための行動に常に費やされ、その熱は決して冷めることなどありませんでした。理想が高かった彼ゆえに、その後キューバに居づらくなってしまうのですけれども・・・。

 なんにせよ、早く後編を観たいものです。ベニチオ・デル・トロの熱演は、カンヌ映画祭で主演男優賞に輝く価値のあるもの。素晴らしい名演技ですよ。

『モーターサイクル・ダイアリーズ』のレビュー

『トラベリング・ウィズ・ゲバラ』のレビュー

映画レビュー「L change the world」

2009-01-18 08:02:50 | 映画レビュー

【ひとこと】
 Lの意外な一面?

【あらすじ】
 そこに名前を書かれたら必ず死ぬ「デス・ノート」。死神が落としたこのノートを使って「新世界の神」になろうと企み、挫折した「夜神月」には、好敵手が存在した。もう一人の天才「L」は、死の直前の23日間に何をしていたのか。実は世界を壊滅状態に追い込みかねない謀略を身体を張って阻止していたのだった。大ヒットしたコミック「DEATH NOTE」劇場版のスピン・オフ作品。

【感想など】
 松山ケンイチはもうずっと「L」の格好でいてほしいと思いましたw そのくらい、彼の「L」っぷりは良い感じです。原作のファンとして観ると、劇場版前後編以上にこのスピン・オフ作品は噴飯ものなんですけどね、まあ、いいじゃないか、「L」活躍してるし(萌

 「L」はああ見えても運動神経発達してるんですよ。テニスで月と互角に渡り合ってましたからね。あのしんどい姿勢でずっとイスの上にいるのも、そうとうな筋力が必要です。まあ、今回は全力疾走とか、ママチャリこぐとか、ファンサービス的なカットがかなり入ってますので、松山ケンイチの演じる「L」のファンはぜひとも観ろよという出来でした。

 ストーリーはあえて説明するほどのものでもないから割愛します。キャストですけど、工藤夕貴はすごくマジメに演じているのでちょっと痛かったですよ。役どころとしては準主役ですから、ちゃんと演じなくてはと思ったんでしょうね。目だったのは二階堂真希を演じた福田麻由子。このコはデビュー当時の田中麗奈そっくりでした。目元がいいですね。ナンちゃんはミスキャストだと思いますよ。だって全然見えないんだもん、そういうスジの人にはw コメディになっちゃう。

 余談ですけど、松山ケンイチは手が綺麗です。私は手フェチなので、手ばっかり観てましたよ。昨日初回放送だった「銭ゲバ」も観ちゃいました。けっこう面白かったので、次回もたぶん観るでしょう。デスノのスピン・オフはもうお腹いっぱいですw

映画レビュー「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

2009-01-16 07:46:43 | 映画レビュー

【ひとこと】
 必死になるほど滑稽な・・・

【あらすじ】
 真夏のある日、山奥の田舎町で、トラックに轢かれて夫婦が死んだ。葬儀には「女優になる!」という夢を追って上京していた長女・和合澄伽(わごうすみか)が4年ぶりに帰ってくる。事故を目撃してしまった喘息もちの次女・清深(きよみ)は、姉にひたすら怯える。姉妹とは血のつながらない兄・宍道(しんじ)と兄嫁・待子はワガママな澄伽にふりまわされる。女優になるためには手段を選ばない勘違い女・澄伽の様子を観察してホラーマンガに描き、新人賞をもらった妹のおかげで、さらし者にされたと恨んでいる澄伽は妹を執拗に虐める。それをとめようとする兄・宍道も、実は澄伽に頭が上がらない。それはなぜかというと・・・

【感想など】
 これ、元々は舞台劇なんですね。登場人物たちのキャラクター設定や、人物相関図が、とても舞台演劇っぽいです。たぶん、映画より舞台のお芝居の方がしっくりきますね。シニカルでブラックなコメディらしいです。

 ストーリーは女優志望の容姿端麗で性格最悪の女・澄伽を取り巻く家族たちのドタバタ劇。佐藤江梨子が主演のはずなんですけど、私には永作博美の独壇場と思えました。永作演じる待子は不幸な生い立ちにもめげずに明るく生きてきた女性。結婚相談所の紹介で東京からド田舎の農家に嫁いできたということなんですけど、暇があると奇妙な人形を作ってるんですよ。それがなんともいえない不気味な人形で、本人は「可愛い」と思っているようです。待子は暴力を振るう夫に、ひたすら従順に仕える女でありながら、心の底では何を考えてるのかさっぱりわかりません。能天気なのか、鈍感なのか、悪気はなさそうで、でも、つかめない女なんですね。演じる永作の力でしょう。単なるオツム緩めな気のいい女に見えないんですよ。私は待子にすんごい底知れない怖さを感じました。

 佐藤江梨子はスタイル抜群で、この澄伽役にはまってます。素じゃないかと思うほど。この澄伽という女は突き抜けた馬鹿なんですね。尻軽だし、ワガママだし、強暴だし、思いやりのかけらもない。顔は綺麗でも恋人にはしたくないタイプ。それが才能もないくせに女優になるためとんでもないことを次々やらかすので、観察してると実に面白いんですよ。妹・清深がホラーマンガにしてしまうのも無理からぬこと。サトエリは下着姿になったり裸の背中を披露したりしてますけど、大胆な艶技というにはほど遠い感じです。濡れ場も元が舞台演劇だからか中途半端。脱いでも色気がないってのは女優として非常に残念な資質ですよ。綺麗なのになぁ。裸の背中が色っぽくないのはたぶんよけいな肉がついてないから。そういえば「さくらん」の土屋アンナも裸の背中は色っぽくなかったなぁ。隠微なニュアンスに欠ける気がしました。

 そうそう、サトエリよりも、妹・清深を演じていた佐津川愛美がよかったですよ。恐ろしい姉に怯えている演技が。顔もめっちゃ可愛いんです。メガネっ子でね、マニアに受けそう。虐められる役、似合ってました。最終的に一番末恐ろしい女はこの子でしたが。そのどんでん返しの部分も、演技上手かったですね。マンガ描いてるときの鬼気迫る雰囲気など、本人が何かに憑依されてるみたいな怖さがよく出てました。

 それにしても、タイトルの「腑抜けども」ってのは登場する男たちみんなですね。女たちはギリギリのところでものすごく「生きてる」のに、男たちはだらしない。ふりまわされてばっかりで。宍道の見せる「愛」が「悲しみの愛」と言えるかどうか、微妙な気がします。永瀬正敏は不器用で朴訥な田舎の兄ちゃんのイメージとちょっと違うんですけどねぇ・・・。まあ、大上段にふりかぶってみせたタイトルは、劇中の女たちのエキセントリックさに合わせたもののような。このタイトルによるつかみはOKでしょう。ただ、映画そのものは変な人たちの変な物語であって、特に最後で感動するとか、内容が深いとか、そういうものではありません。永作博美の女優魂を見たいと思うならオススメです。

映画レビュー「ロンリーハート」

2009-01-14 11:28:33 | 映画レビュー

【ひとこと】
 ケチな結婚詐欺師が悪女に出会って連続殺人犯に。

【あらすじ】
 結婚記念日のディナーを用意し、帰ってこない夫を待ち続けていた寂しい妻が、浴室で自らの頭を撃ち抜いて自殺した。かつては敏腕と謳われた刑事ロビンソン(ジョン・トラボルタ)は、それ以来情熱を失い、書類仕事などで日々を無為に過ごしている。一人息子のエディとも壊れた関係を修復できないまま。ある日、亡き妻と似た状況で自殺した女の事件を手がけたロビンソンは、その裏に何か不自然な作為を感じる。やがておぼろげに見えてきたのは結婚詐欺常習犯レイとその妹と名乗る女・マーサの引き起こす事件。二人を追うことになって、ロビンソンは次第に昔の勘を取り戻していく・・・

【感想など】
 主人公は刑事ロビンソン=ジョン・トラボルタなのだろうと思わせるストーリーです。しかしながら、マーサを演じたサルマ・ハエックがあまりにはまりすぎていたためにすっかり食われてしまいましたね。

 マーサは不幸な生い立ちを背負った悪女です。翳のある美女で、性技にも長けており、レイと出会ってからというもの、その情念の深さゆえにレイに近づく女達を次々と葬ってしまいます。レイは新聞の恋人募集欄からカモを見つけては金を騙し取っていたけちな小悪党。結婚詐欺でせこく稼いでいただけなので、あのままいけば一生ろくなことはないにせよ「死刑」にまではならずに済んだでしょう。ですが、マーサにそそのかされて次第に大胆かつ残虐な殺人を犯すようになってしまったのが運のつき。最期はミジメでした。

 いわば「運命の二人」を追う刑事ロビンソン、話の流れからすると、観客の視線はどうしてもレイ&マーサに向いてしまいますよ。そのために作品そのものがどっちつかずの印象になってしまったのが残念ですね。手堅くまとまった良い映画なのですが。監督が刑事ロビンソンの孫だそうで、そのあたりが作品に非常に大きく影響したのでしょう。

 げに恐ろしきは悪女の深情け。サルマ・ハエックが抜群に美しい映画でした。サルマに興味のある方は「フリーダ」をオススメ。こちらもサルマが存在感のある強烈な美女を演じた名作です。舞台のメキシコは極彩色の国なので、写真をやってる方には映像美を楽しめるというおまけもあり。

「最後の初恋」を観てきました

2008-10-29 23:21:33 | 映画レビュー
 この作品に関しては、さらっと感想だけ。

 まず、脚本がダメということはありませんでした。100分という短い時間でよくまとめたなぁと正直感じました。今日は女性サービスデーだったこともあって映画館は女性のお客さんが多かったような気がします。おそらくリチャード・ギアが大好きなんだろうなとおぼしき年配の女性も大勢。上映中、あちこちですすり泣きが・・・。私も泣かされたシーンがありました。

 リチャード・ギアが演じた医師・ポールは、ある事件がきっかけで人生を大きく狂わされてしまいます。それに関して、スコット・グレン演じる老人・ロバートが亡き妻の事を切々と語るシーン、これはね、本当に胸に迫る内容でした。台詞のひとつひとつに、素晴らしい愛と深い悲しみが満ちていて、ロバートのしわだらけの顔に宿る「人生」そのものが非常にリアルで、涙なくしてはとても聞いていられないほどでした。『君に読む物語』に共感して涙した人ならば、たぶんこれも泣いてしまうと思いますよ。

 主役二人は老けたとはいえルックスがいいので、熟年の恋愛も美しく見えましたけど、現実にはこういうのちょっとないかなーと思いました。ただ、良き母であることにこだわるあまり、自分自身の気持ちを封じ込めてしまったようなエイドリアン(ダイアン・レイン)がなんだか痛々しかったんですよねぇ・・・・。彼女の気持ちに共感できる40代~60代くらいの女性はかなり多いと思われますよ。私は、自分がやりたいことをすべてあきらめてしまっても良き母であろうとすることが「子供のため」とは思えないので、エイドリアンの価値観そのものに疑問を感じっぱなしでした。不実な夫を許すかどうか、という部分でも、現実にはもっと打算でどうするかが決まってしまいそう。

 自分らしく在ることや、真に護るべきは何か、誰なのか、ということ、いろいろ考えさせられる映画でしたね。設定はもう文句つけてもしようがないので、これはこれとして有り で観た方がいいと感じました。ネタバレしないように感想書くのが苦しい映画ですwww

撮影機材:Canon PowerShot A720 IS

にほんブログ村 写真ブログ デジタル一眼レフカメラへ ←写真や記事がお気に召しましたらクリックしてください。

ちいさい ねこ♪ のプロフィール@にほんブログ村 ←ねこ♪のプロフィールやランキング順位などがわかります。

2007.10.19『君に読む物語』のレビュー

映画レビュー「ダイ・ハード4.0 LIVE FREE OR DIE HARD」

2008-10-26 22:31:14 | 映画レビュー

【ひとこと】
 不死身の男ジョン・マクレーンが12年ぶりにかえってきた!

【あらすじ】
 とことん「運の悪い男」ジョン・マクレーン刑事、今度は全米を大混乱に陥れるサイバー・テロに巻き込まれてしまった!ハッカーであるマットをFBIまで連行するだけのはずが、いつのまにか全米を危機から救い出すほどの大活躍!愛娘を人質にとられ、怒り狂ったマクレーン、果たして首尾よく救出できるのか!?テロリストの目論見を阻止できるか!?

【感想など】
 なんかスカっとする映画ないかなー?と録画してあるものを物色していたら、ありましたよ、これw 何も考えずにボケーッと見ていて楽しめる映画です。「ダイ・ハード」シリーズはたぶん全部見てるはずなんですけど、なんせ3作目から12年も経ってるということで、記憶が怪しい。まあ、単体として鑑賞してなんら問題はないでしょう。

 ストーリーはアメリカ政府の要職にあるやつらがあまりにボケだということに目をつむりさえすれば、それなりにスピーディーに進んで行きますので、ストレスたまっちゃうこともありません。ド派手なアクションの連続で、ぐいぐいひっぱってくれました。130分はちょうど良い長さでしたね。

 今回もいつも通りに不死身っぷりを発揮するマクレーン刑事が秀逸です。ブルース、この年齢(1955年生まれ)でよくがんばってます。さらに言えば、娘を人質にとられてからの獅子奮迅の大活躍が凄かった。強いお父さん、めげないオヤジ、ふだんはウザイけどいざとなったら頼りになるダディ、こういうのってアメリカでは理想とされそう。なんとなくデ・ジャ・ビュと思ったら、「アルマゲドン」でもブルースこういう役どころでしたねw

 敵役のガブリエルを演じたティモシー・オリファント、彼はどことなくジュード・ロウに似てました。もっとアクの強い敵役だとさらに面白くなったかも?ちょっと頭デッカチ系のハンサムなので、物足りない気がしましたね。それからガブリエルの片腕の役どころ、アジア系美女・マイを演じたマギー・Qが私はけっこう好きでした。華奢に見えてすんごい強い美女、ルーシー・リューよりもずっと優しげな顔立ちが美しいです。

 劇中で起こるサイバー・テロは、現実にもありえそうでした。システムは欠陥があってあたりまえ。でも悪意ある者によって壊されないように、常に保安管理を考えていかないといけないんですね。この映画ほど簡単(でもない?)にシステムがすべて何者かにのっとられることはまずないと思いたいけど・・・・どうなんでしょうねぇ?

 しかし、戦闘機とサシで勝負する男なんて、よくまあ考え付きましたね。マジ「ありえねぇーーーーー」の世界ですよ?ごく普通の自動車でヘリ1機を撃墜しちまうシーンも、唖然とさせられました。広い場所で次々に繰り広げられる派手なチェイス、カーアクション、スタント、これぞハリウッド。アクション映画ってのは、何も考えずに楽しめばいいんだということを再確認させられました。

 シリーズ物なので、どうしても前の作品と比べられてしまうのは仕方がないんですけど、私はこの映画けっこう好きです。プライベートはかなりミジメで可哀想な男マクレーン刑事が、わけわからんくらいしぶとすぎてステキでした。うん、面白かった!

撮影機材:Canon EOS 40D + TAMRON SP AF28-75mm F2.8 A09E 

にほんブログ村 写真ブログ デジタル一眼レフカメラへ ←写真や記事がお気に召しましたらクリックしてください。

ちいさい ねこ♪ のプロフィール@にほんブログ村 ←ねこ♪のプロフィールやランキング順位などがわかります。

映画レビュー「ウォンテッド」

2008-10-02 08:30:41 | 映画レビュー
【ひとこと】
 曲がる弾道!新感覚のアクション・ムービー!

【あらすじ】
 まるで「負け犬」そのものの生活にうんざりしていたウェスリー(ジェームズ・マカヴォイ)の前に、ある日謎の美女が現れる。彼女の名はフォックス(アンジェリーナ・ジョリー)。数千年続く暗殺組織「フラタニティ」のリーダーが殺され、それはウェスリーの父だったと告げた。組織は後継者としてウェスリーを迎え入れ、凄腕の暗殺者に仕立てるべく過酷なトレーニングを課してくる。めきめきと腕を上げるウェスリーの前に、亡父を手にかけた男・クロスが立ちはだかる。列車の中での死闘、果たして結末は!?

【感想など】
 これは「まずアクションシーンありき」の映画ですね。発想はすべて、「このシーンを活かすにはどういうストーリーがいいか?」「このシーンを可能にするにはこの設定が必要だ」などなど、後付けっぽいのです、設定も、お話も。

 弾道が曲がるなんて、およそ物理法則まるで無視した設定でしょ?w 回復風呂とか、運命の織機とか、つつくとボロボロ変なところが出てきちゃうので、あえて蓋をしてアクションだけを純粋に楽しみたいところ。

 とても出産したとは思えない見事なアンジェリーナ・ジョリーの肢体が一見の価値あり、です。主人公はジェームズ・マカヴォイなんですけど、すっかりアンジェリーナにくわれてますねぇ。赤いスポーツカーのフロントガラスを自ら破って、半身を乗り出し、銃を撃ちまくるアンジーの姿には、ファンならずとも大喝采。脚がキレイ!と私も大喜びしましたからw 回復風呂からあがってくるアンジェリーナの背中のセクシーなこと!タトゥーは自前+描き足したもの、だそうですよ。「トゥーム・レイダー」でのララ・クロフト役のアクションはちょーっとカラダが重そうに見えていたんですが、この映画では上手く撮ってますね。

 主人公ウェスリーの冴えない男ぶりが序盤では目を覆わんばかりに酷すぎるため、後半での成長と活躍ぶりにワクワクさせられます(ホントカヨ)。スローン役で出演したモーガン・フリーマンも、あいかわらずシブくてかっこいい~。そういえば、事故で大怪我しちゃったんですよね?彼。その後、どうなのでしょう?すごくいい役者さんだから、回復してまた活躍してほしいです。

 劇場公開中のため、あまりネタばらしちゃってもいけませんから、これ以上は自主規制。10代~20代男性に大ウケしているらしい、新感覚のアクション・ムービーでした。


撮影機材:Canon EOS 40D + TAMRON SP AF28-75mm F2.8 A09E 

おまけ:元画像です。これをPhotoshopでちょっといじると1枚目の画像になります。


にほんブログ村 写真ブログ デジタル一眼レフカメラへ ←写真や記事がお気に召しましたらクリックしてください。

ちいさい ねこ♪ のプロフィール@にほんブログ村 ←ねこ♪のプロフィールやランキング順位などがわかります。

映画レビュー「告発のとき In the Valley of Elah」

2008-08-29 08:55:16 | 映画レビュー
にほんブログ村 写真ブログ デジタル写真へ

 『まつやまインフォメーション』のプレゼント企画に応募して、映画の無料招待券をもらったので、大街道シネマサンシャインで鑑賞してきました。

【ひとこと】
 もしも愛する人が無残に殺されたら、あなたはどんな行動をとりますか?

【あらすじ】
 ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)は元・軍警察の人間。父も自分も二人の息子も軍人である(あった)ことを誇りに思っている。ある日、イラクに派兵されたはずの次男・マイクが、無許可で基地の外に連泊し、帰ってきていないと連絡が入る。帰国したのならなぜ連絡してこないのか、といぶかしむハンク。胸騒ぎに突き動かされて消息をたどっていたところへ、遺体が発見されたという報が・・・・

【感想など】
 『クラッシュ』のポール・ハギス監督作品です。いや、これ、めっちゃ重い。そしてやりきれない。観終わってずずーんと沈んでしまいました。軍とは無関係の私でさえこうですからね、実際にイラクへ派兵されている(されていた)人の家族や友人はさぞかし胸が痛かろうと思う内容ですよ。

 ハンクは非常に実直で真面目な男。元軍人らしくなによりも規律を重んじ、家庭でも厳格な父親だったことでしょう。二人の息子のうち、長男は既に戦死しており、次男は行方不明、こういう状況下で手をこまねいて連絡を待っているなどとてもできない性分です。自ら次男を捜索し、惨殺されたことを聞かされた後には独自に捜査を進めます。なぜなら、軍の担当者の言い分にはあきらかにおかしいと思わせるニオイがあり、次男の性格からドラッグのディーラーや運び屋などに手を染めるはずがないと彼には思えたからです。

 地元の警察で冷や飯を食わされていた女性刑事・エミリー(シャーリーズ・セロン)と共にコツコツと聞き込みをし、証拠を集め、事件の核心に迫るハンク。毎晩次男の夢を見て、うなされ、飛び起きる彼にとって、真実を知ることは最重要課題となっていました。彼の焦りや不安、怒り、後悔は、親ならば誰しも共感できる強い想い。もしも愛する人が無残に殺されたなら、今の自分にできることをしないではいられないと思えます。しかしながら、捜査を進めるにつれて、彼は自分がこれまで信じてきたことが覆されていく苦痛を味わう羽目になります。ラストには、とうてい受け入れ難い真実に行き着いてしまい、価値観を根底から揺さぶられる事態に・・・・。

 見ていて強く感じたのは「正しいこととは?」でした。場所や状況が違えば、「正しいこと」は簡単に「間違い」となり、精神の均衡を保てないほどの大きなショックを人に与えます。泣きながら父親に電話しないではいられなかったマイクの心情を思うと、やりきれない・・・・。イラクでは、派兵された軍人たちのそれまでの価値観が大きく揺るがされます。この映画で描かれるようなエピソード以外にも、数多くの非人道的な出来事が起こっているに違いなく、観客に目を背けず事実を見つめることを要求してくるようです。

 職業として軍人を選んだ人間が、上からの命令に従うのは当然の事。平和な国の街中では常識とされることも、戦時下に在っては非常識となる、このあたりの描き方がポール・ハギス監督は実に巧みですね。トミー・リー・ジョーンズの熱演もまた、重いテーマを表現することにおいて大きく貢献していると言えるでしょう。

 特筆に価すべきなのはハンクの妻を演じたスーザン・サランドンの演技。息子の遺体と初めて対面するシーン。窓越しに、短い時間、遺体を見せられ、大きな目に涙をいっぱいためて、ひとつも見逃すまいと遺体を凝視します。この気丈さは長年軍人の妻として、軍人の母として、生きてきた女性ゆえ。「(息子は)とても寒そうだわ。(遺体を安置されている部屋に)入ってもいいでしょう?」と担当者に尋ねます。するとにべなく断られ、「あなた子供はいる?いないでしょう?」と静かな、けれど厳しい声で、問いかけます。

 廊下で泣き続ける妻を、しっかりと抱きしめるハンク。この老夫婦の悲しみは何によっても癒されはしないでしょう。やり場のない強い怒りがひしひしと感じられる名場面。このような悲劇を生み出してしまう戦争の惨さを考えさせられます。

 この映画は単なる謎解きや復讐の話ではありません。善悪の判断基準や行動規範が揺るがされるようなことになったら、人はどのような行動をとるのかが重厚な演出で描かれています。イラク派兵に限らず、戦争が人をどれほど変えてしまうか、癒し難い苦痛を与えてしまうか、隅々まで神経を行き届かせて撮られた1本でした。


撮影機材:Canon Power Shot A720 IS

にほんブログ村 写真ブログ デジタル写真へ ←写真や記事がお気に召しましたらクリックお願いします。

ちいさい ねこ♪ のプロフィール@にほんブログ村

映画レビュー「崖の上のポニョ」

2008-08-06 19:19:46 | 映画レビュー
にほんブログ村 写真ブログ デジタル写真へ


【ひとこと】
 手作りの童話

【あらすじ】
 5歳の宗介は、崖の上に建つ家に母と一緒に住んでいる。ある日、波打ち際で赤い魚を見つけた。ちょっと変わったその魚は、ジャムの空きビンにはまりこんでしまい、苦しそうだった。石でビンを割り、魚を助ける際に指を怪我した宗介。赤い魚はその血をなめる。元気になった魚に、宗介はポニョと名前をつけ、緑のバケツに入れて、いっしょに保育園に連れて行く。だが、ポニョを連れて行った保育園のすぐそばの海で、宗介は大波にのまれ、ポニョを奪われてしまう。父親・フジモトによって海の底深く連れ戻されてしまったポニョ。宗介に会いたい一心で、ポニョは持って生まれた不思議な力を使い、宗介の住む町へとやってくる。ところが、それが大惨事を引き起こしてしまい・・・

【感想など】
 ひさしぶりの宮崎駿監督作品ということで、劇場へ観に行きました。101分、ジブリ作品にしてはやや短めの、手作り感あふれる童話ですね。手描きにこだわった仕上がりが非常に好印象を与えます。昨今のアニメーション製作において、CGはなくてはならぬものとなってしまい、昔ながらのセル画による表現がどんどん乏しくなってましたから。ピクサーの作品と両極、と言われるのもうなずけます。どちらがいい、ではなく、どちらにもそれぞれの良さがあるんだと、私は思いましたよ。

 ストーリーは、日本版人魚姫、ということで。大好きな宗介に会いたくて、宗介といっしょにいたくて、ポニョは人間になろうとします。宗介もポニョとずっといっしょにいたいと思い、大変な災害と共にやってきた「人間の姿のポニョ」を守ろうとします。周囲の人々の反応が、現実ではありえないくらいにのほほんとしているあたり、いかにも「童話」ですねぇ。まあ細かいことを気にしていたらこの話は楽しめないかも。

 宗介の母・リサは「ひまわりの家」というデイケアセンターで働いています。宗介はそこの老人達ととても仲良しで、可愛がられています。このへんの人間関係がすごくいいんですよ。仲でもひねくれ者のトキさんと、宗介との会話なんて、実際の生活でもこうだったらいいなぁと感じる温かさ。老人と若い世代との交流が難しい現代、宗介母子と老人達との仲の良さはちょっと見習うべきかもしれませんね。

 宗介の父・耕一は船乗りで、家にはなかなか帰ってこられません。けれども、家のすぐ近く、沖を通るときに、モールス信号をライトで送りあって家族で会話するんです。そういう仕掛けがこれまた好ましく映ります。母親のリサも、普段は底抜けに明るく、バイタリティあふれる女性ですが、夫婦関係ではいろいろ悩みもあるようで、チラっとのぞく不満そうな表情に親近感を抱きました。ポニョを含めて、映画の中で描かれる人間関係はほのぼのと温かく、絵柄がまたそういう雰囲気にピッタリで、アニメーションの原点に返った作品だと思いました。

 劇中にいくつも出てくる「死」のメタファーは、とりたてて論ずることでもないと思いますよ。実際の生活でも、私たちは「死」と隣り合わせの「生」を無意識にまっとうしようと日々過ごしていて、この映画だけが特殊なわけではありません。むしろあたりまえのこととしての「生」と「死」と「老」と「愛」が宮崎駿節によって語られているに過ぎません。その語り口は昔の作品と比べると多少変わってしまったのかもしれませんけれども、「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」に登場する人々の姿と、この作品に出てくるみんなのスタンスはいっしょかなぁと感じます。

 この人たちは皆、生きることに対して、肯定的なんだと、私は宮崎アニメでいつも感じるんですよね。ちょっと斜に構えた人物でさえも、内面的にはちゃんと「生きよう」としている気がします。人生を投げていない、というか。それぞれの価値観や譲れないものや護りたいものは違っているけど、「生きる」ことへのまっとうな意欲は捨てないでいると思うんです。

 大切な人やものは、とても身近に在って、それを普段は意識しないでいるだけ。世界の恒久平和を願って積極的に活動することなどしないでいても、自分と自分の周囲の人の幸せを考えて、自分の居るべき場所を大事にして、そこから少しずつ「幸せ」の範囲を広げていくのがホントかなぁ?って、そう思いました。

 生命の不思議と、自然の豊かさ、力を感じる映画です。ご家族でのんびり鑑賞するのがいいと思いますよ。小難しい理屈はこのさいわきへ置いてね。


撮影機材:Canon EOS Kiss Digital N & Canon ZOOM LENS EF-S 18-55mm 1:3.5-5.6 IS
にほんブログ村 写真ブログ デジタル写真へ ←写真や記事がお気に召しましたら、クリックをお願いします!

ちいさい ねこ♪ のプロフィール@にほんブログ村