1 実証史学への道(きっかけは東京裁判;大本営発表に疑問を抱く;戦前期日本の「本音と建前」 ほか)
2 歴史の観察と解釈にむけた知恵(歴史の効用;歴史より歴史家を見て;もっとも危険な職業? ほか)
3 旧陸海軍指導者たちの証言(花谷正;神田正種;田中隆吉 ほか)
評・苅部直(政治学者・東京大教授)
[時代の証言者]実証史学への道 秦郁彦<1>はじまりは東京裁判
学生時代に休学して、戦犯容疑で巣鴨プリズン収容中の元高官にインタビューして回った(3 旧陸海軍指導者たちの証言)というのはすごいわけで。
瀬島龍三へのインタビューは、ずっと下って1995年2月実施。
・「瀬島スパイ説」否定のためには収容所時代の年譜を明らかにしてはどうかと筆者から提案し、瀬島がそれに応じて『幾山河』に収録したことにより、スパイ説が立ち消えた件
・台湾沖航空戦の戦果報告について、フィリピン出張途上の堀栄三少佐が鹿屋で搭乗員からヒアリングし、戦果は怪しい旨参謀本部に打電したが、何者かに握りつぶされた件で、シベリアから帰った瀬島が堀に、「君の電報を握りつぶしたのは僕だ。悪かった」と謝罪した旨、堀が自著(1989年)で明らかにしているが如何?
との問いに対して、作戦課が第2部の情報を生かせなかったことに対して詫びたものであり、特定の堀電報を握りつぶした記憶はない旨回答。
堀栄三 - Wikipedia(1913年〈大正2年〉10月16日 - 1995年〈平成7年〉6月5日)
ふうん。
ここで触れられていた大蔵省退官の際の経緯詳細も語られる。
官僚の研究 日本を創った不滅の集団 講談社学術文庫 著:秦 郁彦 2022年04月 - 真似屋南面堂はね~述而不作
【読書】秦郁彦『実証史学への道』(2018、中央公論新社) - 当世無職気質ー僻地ニート日誌ー