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岸田國士『岸田國士Ⅱ 古い玩具/チロルの秋/牛山ホテル ほか』あらすじと感想

2014-10-30 10:24:36 | 紙の書籍
ハヤカワ演劇文庫 岸田國士『岸田國士Ⅱ 古い玩具/チロルの秋/牛山ホテル ほか』を読了しました。

あらすじと感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
古い玩具
チロルの秋
動員挿話
落葉日記
牛山ホテル
麺麭屋文六の思案
遂に「知らん」文六
解説 今村忠純

【あらすじ】
「古い玩具」
フランスの西、フォンテーヌブローの古城、池のほとりで語らう日本人とフランス人の男女。

「チロルの秋」
1920年の晩秋、チロル・アルプスの村コルチナ。ホテル・パンションで語らうアマノ、ステラ、エリザ。

「動員挿話」
明治37年の夏、東京。宇治少佐の家で出征前のひととき。

「落葉日記」
東京の近郊、秋の午後。雑木林を背にしたヴィラのテラスで語らう老婦人と青年たち。

「牛山ホテル」
フランス領インドシナのある港。9月末の日本人経営のホテルで、ホテルの女将と宿泊客が語らう。

「麺麭屋文六の思案」
大正×年の東京、季節は冬。パン屋の主人、文六と家族の話。

「遂に「知らん」文六」
「麺麭屋文六の思案」のその後。


【感想】
時代が1920年台で現代の感覚とは離れているところも多々あるが、人の心の動きや苦悩はそうそう変わらないのだな。。と改めて思う。動員挿話、麺麭屋文六の思案、遂に「「知らん」文六」などは特にそう感じる。

「動員挿話」は、以前に映像で舞台化されたものを観たことがあり、読みながらそのときの映像(七瀬なつみ主演)で再現された。これはこれで情景が頭に浮かびやすくてよかったかと。

「古い玩具」や「チロルの秋」は、ちょっと情景が浮かびづらく、くどくどしい台詞に若干のもどかしさを感じてしまった。

「麺麭屋文六の思案」、「遂に「知らん」文六」に出てくる彗星事件。今なら信じる人もいないとは思うのだが、当時は「空気がなくなる」というデマが流れ、必死で息を止める練習をしたとか、自転車のチューブを買い占めてそれを空気ボンベの替りにしようとしたりとかがあったらしい。笑えるような、笑えないような…。

「遂に「知らん」文六」の最後、文六が「知らん、知らん、知らん、知らん。。。」と言い続けるところが滑稽でもあり、家長であり父親の文六の悲哀を感じる。


【余談】
演劇が好きだ。特に小劇場系が好み♪ ナイロン100℃という有名劇団が好きで、観劇に行ったり映像で観たりしている。
最近、この劇団の主宰ケラリーノ・サンドロビッチが岸田國士の戯曲を潤色して上演しているので読んでみた。戯曲は小説とはまた違った味わいがあるな~。


【リンク】

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