積ん読の部屋♪

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大岡信『古典を読む 万葉集』内容と感想

2010-10-21 09:32:13 | 紙の書籍
岩波文庫 大岡信『古典を読む 万葉集』を読了しました。

内容と感想をざっくりと備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。





【目次】
一 『万葉集を読む前に』
二 時代の背景と『万葉集』
三 初期万葉の時代
1 「古代的」ということ
2 あかねさす紫野
3 むらさきののほへる妹
4 「人妻」の論
5 その他の秀歌
四 近江朝の唐風文化と壬申の乱
1 やまとうたと漢詩の遭遇
2 壬申の乱あとさき
3 「おほきみ」賛美の背景
五 皇子・皇女の歌
1 大津皇子の歌
2 大伯皇女の歌
3 志貴皇子の歌
4 但馬皇女と穂積皇子の歌
六 柿本人麻呂
1 人麻呂像結びがたし
2 人麻呂ー相聞の世界
3 人麻呂ー挽歌の世界
4 人麻呂ー旅のうた、そして枕詞
七 柿本人麻呂歌集秀逸
1 「正述心緒」の歌の力
2 「寄物陳思」の歌の豊かな意味
3 相聞歌から俳諧歌へ
八 人麻呂以後の歌人たち
1 憶良と「老」の歌の意味
2 大伴一族の文学的達成の意味
3 梅花の宴の論
4 貧窮問答の論
あとがき
岩波現代文庫版あとがき


【内容】
日本最初の和歌集として編まれ、4500首余りを収めた「万葉集」20巻。
身分階層男女老若、様々な歌人による、様々な形式の詩歌を収載した巨大で多様性そのものであるその世界。この魅力を当代を代表する国民詩人が全身を傾けて今に読み解き、ここに縦横に語り尽くす。
数多の論考からその精髄を選び編んだ1冊。


【感想】
以前から万葉集についての平易な解説(学術的なものではないもの)を読んでみたいと思っていて、朝日新聞に連載を持っていた大岡信の著作ならと読んでみた。やはり思っていたとおりに、平易な文章で固くなりすぎず読みやすいものだった。
平易な文章は大事♪

万葉集といえば柿本人麻呂とか大伴家持とか、山上憶良とかの偉大な歌人がクローズアップされると思う。なのだが、私はどうも柿本人麻呂などは、学生の頃からなんだかとっつきにくくて苦手だった。固いというのかなんというのか。
置かれた立場と、歌を詠む状況からも当然といえば当然なのだが、おもしろみに欠けると感じていて。今でもどちらかというと、大伴家持とか山上憶良のような、人や生活が垣間見える歌のほうに惹かれる。

万葉集の中では一番惹かれるのは、当時、政権争いに否応なく巻き込まれていった皇族の歌。個人的に古代のロマンを感じてしまう♪
コミックの山岸凉子に始まり、長岡良子も読み漁った身としては、当然かもしれない。
但馬皇女と穂積皇子との恋愛、悲運の皇子 大津皇子とその同母姉 大伯皇女などに、どうしても惹かれてしまう。実際には、血で血を洗うような殺戮や陰謀、権謀術が渦巻いていたのだろうが…。
永い永い時の彼方にそういったことは流れ去ってしまい、後には、彼らが残した歌があるのみ。しみじみと深い感慨を覚える。


【余談】
読書が好きなわりには、決して読書量は多くはない私。一番読んでいたのは、やはり学生の頃♪
有り余る時間とエネルギーがあったのだろう。自分のことだけ考え、やっていればよかったわけだし。
今は残念ながらそうもいかず、ふと見渡せば、やらねばならないことが私を待っている。

読書に集中できる季節も、春まだ浅い頃としんみりしてくる秋がよい♪
春爛漫の頃はなんだかぽわぽわ~としてくるし、なにかと身辺も忙しいもの。夏は言うに及ばず、暑さでそれどころではない。夏バテしやすいし。
言い訳みたいだけど好きな読書くらい、義務ではなく自分の「読みたい!」気分を大切にしていきたい。













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