さかな

魚屋さんの店先のささやかな素話...。

ぶつ。

2005年05月31日 | 店先から
  「おう、ぶつくれや。」
  男は人差し指をつきだしながら言った。
  「は、はいぶつですね。お待ちください。」

これは危ない会話ではない・・・って、写真を見ればわかりますね。

そうです!今日はぶつ、マグロのぶつ切りの話。
これは我が店のぶつ。お値段は¥1000也。正確には税込み¥1050也。
¥200から量り売りしている。
別に買いに来てくれと言っているわけではないが
うちでは、ぶつがよく売れるのだ。

よく来てくれるお客様のなかには
 「ここんちのぶつでないと。」と、言ってくれる方もいる。
多い時には売り切れてしまう時もある。先日も売り切れをお客様に告げると
 「なによ~せっかく来たのに。」とがっかりさせてしまった。

ぶつの好きな人は毎日食べたいと言う。
痛風を患っているにもかかわらず、毎日買いに来てくれる。
大丈夫だろうか・・・。
また中には1キロとか2キロ買ってくれる人もいる。
大家族なのだろうか・・・?

珍客もいる。
 「ここの店のぶつしか食べないのよ。」と、困った顔で奥さんは言う。
それは・・・猫。
生で食べるそうだ。猫のためにぶつを買いに!?
ありがたいことです。

珍客は昼間も来る。
 「ぶつ、おくれ~。¥200ね。わさびはいらない。」
数人の男の人が、いれちがいに来る。聞いてみれば・・・
店の裏に県境を流れる川があるのだが、そこで釣りをしているのだ。
うちのぶつで、さくらますやでかい鯉がよく釣れると言う。
またまた、ありがたい。

店の入り口に貼り紙でもしようかな・・・

 「猫にも人気!さくらますや鯉にも人気のぶつあります!」

ぶつが売れる日・・・主人は、
 「刺身が売れねえ・・・」と、ぶつぶつ文句を言っている。