Casa de Celia

iHasta la victoria siempre!

もしもし、大統領【後編】

2007-03-25 | Latinos(ら米)

2007年2月27日ラジオ番組「もしもし、大統領」
 【前編】からの続き

チャベス:一つ、聞こうと思っていたことがある。今入ってきたばかりのニュースだけど、どう思う?米国人の67%がブッシュのイラク政策を認めないというニュース。ブッシュ南米訪問の歓迎準備が進んでいること、君は知っていると思う。
フィデル:あー、南米での歓迎。何か、歓迎があると聞いた。大衆組織の歓迎を受けると言っていた。非常に平和的で、非常に敬意をこめた精神で歓迎すると。
 ところで、君の知らない今日の新しいニュースが二つある。
チャベス:何だ、言ってくれないか。「もしもし大統領」番組あてに。
フィデル:まず上海の株式市場で株価が今日9%下落した。そして女王のニューヨークの相場は今日4%下がった。ここ数年で最大幅の落ち込みだ。下落は本当に、私たちが考えていることを実証している。
チャベス:そのニュースは知らなかった・・・。
フィデル:今日だけで8000億ドルの損になった。これが株式市場の女王だ。今回のニューヨークの下落は、東南アジアで危機が起きたときよりも大きかった。
 だから、何が米国の指導者たちを揺さぶらすか、わからない。何が米国を衝動的に支配している人々を揺さぶるか。米国で起こったことのニュース、それとも南米訪問か、どう思う?
チャベス:上海の株価下落とニューヨーク相場のニュースは知らなかった、本当だ。何でも知っている君のことだから、知っているはずだけれど、IMFは危機だ。昨日、そのことを話していた。多分、今では「南銀行」に貸付金の要請をしなくてはならない状態だ。IMFは職員に払う給料がない。金の延べ棒を売却している。
フィデル:知っている。IMFは金(ゴールド)を売っている。これ以外にできることがない。売らなければならないのは、本当は紙、米国が払っている紙だ。今どき金を売るのは狂っている。でも「南銀行」はまじめな銀行だ。いい銀行になろうとしている。
チャベス:いい銀行になる。
フィデル:IMFは一度だっていい銀行だったことはない。でも、自らの危機を立証している。危機の立証だ。今回の株式相場下落の2-3日前に、金の売却が発生している。
チャベス:IMFも世界経済も危機、君のよく知っている同じ危機だ。でも二者択一の危機だ。一国家レベルでは自分流のモデルがある。キューバでは社会主義、ベネズエラでは特徴をもった独自の社会主義。国際的にはALBA(=ボリーバル代替計画-訳者)。それを今、加速している。フィデル、本当に前進している。
 みんなが君のことを尋ねている。マルティニクを通って、ドミニカ、サンビセンテに行った。首相たちがよろしくと伝えている。われわれの友人でサンビセンテ・グラナディーナスのルーズベルト・スケリット首相もよろしくと言っていた。空港拡張工事を見た。あそこでキューバ人労働者とベネズエラ労働者に会えた。ベネズエラ軍技術者チームに会った。ドミニカでは初の燃料貯蔵施設開所式をした。サンビセンテではラルフ・ゴンサルベスといっしょにガス充填工場をオープンした。
 みんなが君のことを訊いた。だから知っていることは話している。君がだんだん良くなっていること、君の新たなシエラマエストラ(キューバ東部の山地、ここから革命が開始された-訳者)のこと、今まで続けてきて今後も続けるあの大きな闘いについて話している。その闘いでは君について毎日、どこまでも行く。「チャベスを助けたまえ、その友人を助けたまえ」と君は言ったけど、自分たちも同じことを神様にお願いしている。君がすっかり回復するよう、助けてくださいとお願いしている。何百万人もみんなが君の回復を願っている。本当だ。フィデル、世界中のみんなが君の完全に回復した姿をまた早く見たいと言っている。君は必ずよくなる。
 さて、3日前ダニエル・オルテガ(ニカラグア大統領、サンディニスタ-訳者)が来た。何時間も話した。来週はマナグア(ニカラグアの首都-訳者)で合弁企業委員会の会議がある。
 キルチネルが来た。もちろんオリノコ・ベルト地帯に来た。キルチネルからはアルゼンチンへ招待されている。君からの電話だから、ここで公的に明らかにする。今まで明らかにしなかった。来週、ブエノスアイレスで会議をもつ。ベネズエラ・アルゼンチンの二国間協力をさらに進めるためだ。それから、ボリビアで別の会合がある。次週エボのところへ行く。戦略的同盟のことで。アルゼンチンとの軸、ブラジリアを通って、ボリビアとの軸、そして今度はコレア(エクアドル新大統領-訳者)と軸を作る。 第一船がキト(エクアドルの首都-訳者)に到着したのは知っているはずだ。君の電話だけど、どんなふうにラテンアメリカが前進しようとしているか、前進し続けるのか、新たな面を報告している。
 フィデル、君は抵抗を代表する人だけれど、今は攻勢の人だ。君から受けたびっくり電話のチャンスを無駄にしたくない。すごく元気付けられる。すごくうれしい。ラテンアメリカの諸国民は革命キューバの価値と君の価値を思い起こす。君の価値と君のもっている意識を記憶し続ける。
 君は1959年にベネズエラに来た。それを思い起こしていた。あの頃、いわゆる民主主議時代が始まっていた。あれは完璧にばらばらに砕けた。あれが壊れてカラカソに到った。カラカソから2月4日へ、そして2月4日から今日がある。ここで今、起きていることがある。でも、君とキューバ、その威厳さあふれる品性、闘い、勇気、限りない連帯、それらはいつも一つの実例としてラテンアメリカとともにあったし、これからもそうあり続ける。本当だ、フィデル。
フィデル:ウーゴ、あのう、ベネズエラ代表団の団長とちょうど会議中だったと言いたかったのだけれど。そっちからのニュースがいつ着くか、話していた。だからとても満足している。団長は今ここにいっしょにいる。著名な人たちと会うことになっていて、前もって団長と話している。
 ハバナで代表団の仕事は多い。大きな熱意をもって働いている。大切な残り時間を大切にしている。時間的要因を忘れてはならない。私の判断でも時間は少ないと思う。代表団は当然そのことをもっと意識している。
 君の配慮に感謝する。君が思い起こしてくれたこともうれしい。とにかく、マイクを君に戻すことにした。でなきゃ、君と同じようにドンちゃん騒ぎをすることになる。競争はできないだろうけれど、競り合うくらいにはなる。
 それとベネズエラ人たちによろしくと伝えてほしい。ベネズエラ人民は英雄的だ。心から愛している。今日、君がもっている責任のところまで君を引き上げてくれた。歴史の書き換えが始まっている。しかし、200年前、すべてはまったく違っていた。世界は驚くほど変化した。とりわけ、ここ60年間で大きく変化した。この時代こそ、うまく生かさなければならない。そしてその上に立って多くのことを熟考しなければならない。私はそのために時間を使う。
 私は元気だ。これ以上重要なことはないからだ。君の国での人々の働きぶりを見て、とても満たされる。これについては君に言ったことがあると思う。熱意、真剣さだ。私にくれたみんなの熱意と息吹に感謝している。今、その気持ちに応えて任務に専念している。 すぐにベネズエラに行って、君といっしょに旅行することは約束できないけれど、回復は順調だ。前よりエネルギーが出てきて、力がわいている。それに勉強の時間が増えている。二言で言えば、学生になった。
チャベス:モラルと光。
フィデル:モラルと光!そう、このことが今、頭から離れない。モラルという戦場で勝利しようとしている人が目に見えるのは初めてだからだ。内側にあるもの、心にあるものに打ち勝ち、人々の心を惹きつけている。それがもとになっている。
 君に充分な余裕があるかわからないが、君はラミレスと話すことになっていたらしい。私に何ができるか、言ってくれ。
チャベス:いや、明日ラミレスと話せる。君の声を聞いていると幸せになる。君の声を聞いて、元気になったとわかって、とても幸せだ。回復を続けるように。「ツナミ」を忘れないように。
フィデル:忘れない。
チャベス:早くよくなってほしい。
フィデル:一つ、忘れていた。キューバではみんなが君に感謝している。君が私についてのニュースをもっているから。私はしゃべってはいるけれど、沈黙も同然、完全沈黙しているようなものだ。毎日毎日話している状態にはなれないし、この生活習慣、毎日ニュース頼りの悪習は、くせにできないから。みんなには忍耐と落ち着きをお願いする。満足感はある。すべてが落ち着いているから。キューバは進んでいる。これが重要なことだ。私に対する静けさもお願いする。新たないくつもの任務を私が遂行できるよう、その瞬間までお願いする。
チャベス:わかった、フィデル、こうしよう・・・。つまり、君がチャベスを使者か何かにする、ニュースのもとにさせる。フィデルが元気かどうかを知りたい人はここに来るとか、チャベスに電話するとか、話をすればいい。そして自分はいつも本当のことを話す、起きていることを話す。君が回復しているとか、君の生き方、君の変わらない堅固さを話す。
 さっき、ベネズエラにすぐ来て、いっしょに旅はできないと言ったね。でも構わない。これからもいつも君は一緒だし、近いうちに話の続きのためにハバナにまた行くつもりだ。仕事を続け、時間を大切に使おう、さっき君が言ったように。それはみんなにとって、いいことだ。
 ベネズエラの副大統領、人民権力委員会、地域権力評議会が君によろしくと言っている。この番組が終わったら、すぐに会おう。ラジオ局のみなさん、テレシータ、エレナ、ベネズエラTV局、ベネズエラ国営ラジオ局の各チームの皆さん、番組を聴いている何千、何億人の皆さん。今日の番組が始まって1時間目の視聴率がどれくらいか、わかる?40%だ!それって、「もしもし大統領」の視聴率の最高になる。
 フィデル、時間がない、時間に勝とう。生きるための闘争に勝利しよう。
フィデル:わかった。
チャベス:歴史的な電話だよ、ありがとう。
フィデル:ありがとうを百万回、言う。
チャベス:フィデルに拍手(みんなの拍手)。すごいだろ、拍手が。闘いの同志の抱擁、兄弟の気持ちを送る。この辺は何のややこしいこともない。世界に向って言う、君を、父さんと!
 勝利するまでいつまでも!(!Hasta la victoria siempre! -ゲバラの言葉-訳者)
フィデル:!Hasta la victoria siempre!
チャベス:勝利するぞ!(!Venceremos! -アジェンデ時代のチリ人民の言葉-訳者) フィデル:!Venceremos!
チャベス:ブラボー!(ブラボー、ブラボーの叫び声)
07年2月27日

 会話の中で、フィデルが触れた、エタノールについての見解にちょっと驚きました。サトウキビなどの食用作物をエタノール燃料として利用できることは、キューバのような農業国には福音ではないかと思っていたのですが、フィデルは、逆に、このことを「悲劇」であると考え、危惧しています。“燃料"のために、人を飢えさせ、あるいは殺すことに無頓着な世界、そのことによる悲惨を見てきたフィデル・カストロの人間としての深い洞察力が感じられます。
 また、国のトップ同士の会談とは思えない愛情あふれる会話は、感動的ですらあります。
 ブラボー!フィデルyチャベス!


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2 コメント

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そうですね (冒険王)
2007-03-25 03:35:41
すごく素敵なお話なんだけど。
日本ではどうでしょう?
やっぱり批判もあっても、僕は日本共産党を信頼します。
労組なら全労連だけ。
連合や民主党がキューバと心が伝わるわけもありません。
なんでそんな基本的なこともわからない方がいらっしゃるのでしょう?
本当に不思議でしょうがありませぬ。
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ども(^^)/ (Celia)
2007-03-26 22:14:24
 まいど
 共産党は、独自にキューバとの連帯を進めている党でもありますし、充分シンパシーを感じています。
 ただ、何でもっとみんなと一緒に、ということが出来ないかなぁ・・・と。これは批判ではなく残念に思っているところであります。
 世の中、キレイなことばかりではありません。キレイゴトでは成ることも成らないことだってあります。自分だけキレイならそれでいいというものでもないと思います。
 多分、キューバもそうでしょう。あの位置で革命政権を維持するには、それなりのこともやっているはずです。フィデルは尊敬すべき人物だと思います。道徳心、気高さ、至高の精神の持ち主だと思います。
 しかしながら、目的(おそらく「革命の継続」)のためには妥協を恐れない人だと思います。

 これは一つの例ですが、キューバは、昭和天皇“崩御"の折、当時の社会主義国で唯一、喪に服した国であります。
 冒険王さんは、このことをどう感じられますか?
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