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第9章 黄金時代 (第13世紀)

2018-07-06 01:57:00 | 教会史
「第9章 黄金時代 (第13世紀)」『聖会史のはなし』浦川和三郎司教

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叙任権問題の解決後、聖会はどうなりましたか。

長く努力を重ね、諸種の悪弊を取り除いた結果、すばらしいキリスト教精神をヨーロッパに花咲かせ、13世紀をもって最も有名な黄金時代たらしめました。

まず、社会全体にキリスト教精神が行き渡り、フランスには英邁にちて高徳な聖ルイ9世のような名君が立ち、各種の修道会は新たに創設され、聖体や聖母マリア(ロザリオ)、聖遺物に対する信心も盛大となり、それだけ一般の道徳程度もすこぶる高められました。

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聖会は諸侯の私闘を止めさせる為に何をしましたか

聖会は「神の平和」や「神の休戦」を規定した上に、自ら立って武人の教育を企てました。武人とは、甲冑に身を固めた騎士であります。かくて、キリスト教精神が軍隊にもしみ入り、殺伐な武人をして、紳士的な君子、いわゆる騎士たらしめたのでした。

聖会は、「武器の夜とぎ(日へんに新)」や、剣の祝別式によって、騎士に宗教的性質を吹き込み、厳に聖会のおきて、「神の休戦」の規定を守らせ、次第に戦争を少なくし、戦争中といえども、残酷な好意をさせないようにしました。

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当代人の信仰を最もよく顕しているのは何でしょうか

種々ありますが、特に、大聖堂の建設は最もよく当代人の信仰を顕したものであります。民衆は類いなき信仰の力に促されて聖堂の建築に当たりました。
司祭たちの指揮に従って、意志を切り出し、讃美歌を歌いながら、思い荷車に積み、険しい坂道だろうと、深い徒渉場だろうと、ものともせずに、ドシドシ引っ張っていくのです。休憩所や建築場では罪を告白し、仇敵と和睦し、負債は帳消しにし、皆同心一致となり、夜間はロウソク行列をして、病人の平癒を祈願するのでした。
要するに、中世期に建立された大聖堂の石という石は、皆、信者たちの額ひにじみ出た脂汗と彼らの深い深い信仰熱とで積み上げられたものでありました。

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なお、中世期に広く行われた信心の努めは何でしたか

中世期の信者は遠路を厭わず、徒歩で各国の霊場を巡礼したものでした。
フランスはトゥルの聖マルティン、イスパニアはコンポステラの聖ヤコボ、ローマの聖ペトロ、聖パウロ、パレスチナにあるキリストの御墓、などは最も有名な巡礼地で、それらの道路を往来する巡礼者はおびただしい数に上るのでした。
彼らの巡礼旅行は、時として数年間に及ぶことがありました。

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この時代に、どのような学者が輩出しましたか

12世紀のはじめごろから、暗黒な鉄時代は過ぎ去りまして、キリスト教文学の曙が次第に明るくなりました。いたるところに大学が設けられ、スコラ神学と神秘神学の両界にわたって、有名な学者が輩出しました。

最初、ヨーロッパの学校という学校は、司教区または修道院付けの学校のみでした。
しかし、文化の進むに従い、各地の学生が先を争って馳せ参じ、在来の学校のみでは、到底これを収容しがたくなり、それよりして各地に大学が開かれるようになりました。その中でも特に有名なのは、パリ大学、ローマ大学、ボロニャの法科大学、サレルノ及びモンペリエの医科大学、英国のオックスフォード大学、及びケンブリッジ大学などで、いずれも教皇によって創設されるか、認可、奨励されるかしたものであります。

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この時代に輩出した聖人の中で最も有名なのは誰でしたか

最も有名な聖人は、聖ベルナルド、アシジの聖フランシスコ、聖ドミニコ、聖ボナウェンツラ、聖トマス アクイナス等でした。

(1)聖ベルナルド(1091-1153年)は、東フランス、ブルゴーニュの領主の家に生まれ、長じてシトー会に入って修道士となり、後クレルヴォの大修道院長となりました。信心篤く、非常な雄弁家で、中世期中、もっとも偉大なる説教者でした。

(2)アシジの聖フランシスコ(1182-1226年)は、イタリアのアシジ町に商人の子として生まれた人ですが、イエズスを愛するが為に自ら進んで貧者となり、その清貧を理想の境にまで押し進めました。その報いとして、天使は彼の体に5つの聖痕をしるしました。彼は聖フランシスコ会の創立者であります。

(3)聖ドミニコ(1170年ー1221年)は、イスパニアの名門グスマン家の人で、当時南フランスにはびこっていたアルビ派の異端を撲滅するがために一生懸命に働き、聖ドミニコ会を組織し、特にロザリオの信心を広めました。

(4)聖ボナウェンツラ(1221年ー1274年)は、イタリア、ウィテルポーの人で、フランシスコ会に入り、パリ大学で、アレクサンデル ハレスに師事し、24歳で大学の教壇に立ち、後、自会の総長に選ばれ、枢機卿に任ぜられました。
特に神秘神学にその名を高くしております。

(5)聖トマス アクイナス (1225-1274年)は、ナポリの付近にあるロッカセッカ城に生まれ、ドミニコ会に入り、パリ大学に学び、聖大アルベルトに師事し、卒業後、同大学に教鞭を執りました。
中世期第一の哲学者かつ神学者でその作中、最も有名なのは、「神学大系」であります。

結び--
キリスト教信仰の力によって、13世紀は最も偉大なる精神文明の世紀となりました。




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