Vanteyのアース線(もしくは枯れた資料帳)

怠け者のウィキメディアン・Vanteyの、脳内が帯電してきた時のはけ口。非百科事典的。過度な期待はしないでください。

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の「キャラクターコメンタリー風特典映像」解題

2011-01-31 00:29:28 | 書誌・図書館
日本のアニメ・ビデオグラムにおけるキャラクターコメンタリーの全史、その番外編です。
書き始めたらどんどん分量が増えていって、まだ書き足りないことがあるのかと。こんなに長いシリーズになるはずじゃなかったんだけどなぁ。

過去記事はこちら
2009年編 / 2010年前半期編 / 2010年劇場版・OVA編 / 真の創始(訂正) / 2011年1月現行作品編


■「キャラクターコメンタリー風特典映像」とはなんぞコレ
さて、日本アニメにおけるオーディオコメンタリーのパイオニアである倉田英之先生と、『化物語』でキャラクターコメンタリーのブームに火を点けたアニプレックスが組んだ作品で、またも新機軸をやってくれました。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(原作: 伏見つかさ、シリーズ構成: 倉田英之、スーパーバイザー: 川口敬一郎、監督: 神戸洋行、音響監督: 本山 哲、アニメーション制作: AIC Build)には、「キャラクターコメンタリー風特典映像」なるものが各巻に収録されます(BD/DVD とも限定版のみ)。

これは音声特典ではなく映像特典であり、あくまでも「キャラクターコメンタリー "風"」なものであって、本編の音声サブチャンネルに収録される所謂オーディオコメンタリーではありません。本編の音声は1トラックのみで、この特典は本編とは別の映像トラックとなります。
ですがこれもキャラクターコメンタリー史を語るうえでは外せませんので、本稿でがっつり採り上げます。



簡単に言えば、キャラが本編映像を観ながら声だけで語っているのが「キャラクターコメンタリー」、そこに画面を観ながら語っているキャラの姿を付加したのがこの「キャラクターコメンタリー風特典映像」ということになります。
アニメのビデオグラムでは、特典映像としておまけショートアニメ(キャラはミニキャラになっていることがしばしばである)が付いてくることがよくありますが、その枠で絵付きのキャラクターコメンタリー的なものをやってみました、ってな感じ。


『アキバBlog』でアニプレックスの宣伝プロデューサーさんが、この特典映像について多数のスクリーンショットとともに紹介していますので、全体的な感じはそちらを併せてご参照くだされば宜しいかと。

【コラム・ネタ・お知らせ】 制作費かかり過ぎワロタ━━\(゜∀゜)/━━ !!『俺の妹』BD&DVD1巻「キャラクターコメンタリー風特典映像」全貌大公開!
http://blog.livedoor.jp/geek/archives/51106245.html
 (アキバBlog 2010年12月11日)

桐乃「ニュースサイトも、毎日新しい情報を伝えて、私にいろいろ買わせようとするんだよ? みんな『かーずSP』と『アキバBlog』が悪いのよ。」(アニメ第1話(脚本: 倉田英之)より)(*t)



高坂家のリビング(壁の色をはじめディテールが本編とかなり異なりますが、細けえことはry)でビデオ画面を観ているキャラ達は、本編映像を止めたり巻き戻したりリピートしたり早送りしたりと、自在な機動をみせます。
このように本編映像の尺やシーン順に囚われない作りのため、途中で間延びしたりで視聴者を飽きさせることがありません。作りの上では本編映像が主ではなく、画面を観ているミニキャラ達(のシナリオ)の方が主なのです。



こうして本編のいいとこ取りをしており、故にカット部分も多いため、特典映像の尺は本編より短めです。
おおよその収録時間は、1巻に収録の1話が約 10'50'' 、2話が約 15'20'' 、2巻に収録の3話が約 12'50'' 、4話が約 12'20'' となっています。

一巻に収録される2話分合わせて25分前後となり、おおむね本編一話分(OP・ED込み)くらいの長さにあたります。
つまり2話収録のソフトに3話分以上の長さが収録されている訳で、映像特典としては異例とも言える長尺です。
俺の妹がこんなに可愛いわけがない』 2010年10月期テレビ放映作品 全16話(うち未放映話4話)(*u) 全8巻
 発売・販売元: アニプレックス
 全話特典映像脚本: 伏見つかさ(原作者)
 ※特典映像収録は限定版のみ
▼第1巻 2010年12月22日発売 2話収録 (#1, 2)
  特典映像#1 = 高坂桐乃(竹達彩奈)、高坂京介(中村悠一)
  #2 = 高坂桐乃(竹達彩奈)、高坂京介(中村悠一)、黒猫(花澤香菜)、竹達彩奈
▼第2巻 2011年1月26日発売 2話収録 (#3, 4)
  特典映像#3(Aパート) = 高坂京介(中村悠一)、高坂大介(立木文彦)、高坂桐乃(竹達彩奈)
  #3(Bパート) = 田村麻奈実(佐藤聡美)、沙織・バジーナ(生天目仁美)
  #4(Aパート) = 新垣あやせ(早見沙織)、新垣あやせ(早見沙織)
  #4(Bパート) = 高坂京介(中村悠一)、黒猫(花澤香菜)
▼第3巻 2011年2月23日発売予定 2話収録 (#5, 6)
▼第4巻 2011年3月23日発売予定 2話収録 (#7, 8)
▼第5巻 2011年4月27日発売予定 2話収録 (#9, 10)
▼第6巻 2011年5月25日発売予定 2話収録 (#11, #12 GOOD END)
▼第7巻 2011年6月22日発売予定 2話収録
▼第8巻 2011年7月27日発売予定 2話収録

■制作したのは、あの伝説のミニアニメを手掛けた……
スタッフクレジットは以下の通り。


シナリオ: 伏見つかさ
ディレクター: 高梨喜芳
CG: 兼平 慎
SDキャラクターデザイン: 小木曽慎一(e-bird)
制作プロデューサー: 渡邊智博
制作: I was a Ballerina co.,ltd.

この I was a Ballerina (アイウォズ・ア・バレリーナ)という映像制作会社の名前、近年の深夜アニメを視聴してきた諸兄にはどこかで見覚えはありませんでしょうか。


――そうです、2007年10月期テレビアニメ『バンブーブレード』(全話脚本: 倉田英之、アニメーション制作: AIC ASTA)の番組内CM枠で流れた連作ストーリーCF『ふぁんふ~ふふぇ~ふぉ』(*25, v)を手掛けていた会社です。

同社はアニメ作品関連では『ケロロ軍曹』関連のTVCFと『マクロスフロンティア』のムービーの仕事(*25)が多く、マクロスF TV版公式サイトで2008年5月27日から毎週火曜更新(*26)で無料配信されたショートアニメ『マックロッスfufonfia』全20話(*w)とか、同じく公式で配信中の「星間飛行~みなさんご一緒に! 振り付けクリップ」とか、近作では『マクロスF MUSIC CLIP集 娘クリ』(2010年12月15日発売、発売元: フライングドッグ、販売元: JVCエンタテインメント)の7トラック目「恋はドッグファイト」のムービーとかをやっています。


■ちょこッと内容解題
{{ネタバレ}}

桐乃「でもこれ(キャラクターコメンタリー)、最初に考えた人ってすごいよね。声優さん達によるオーディオコメンタリーは別として、確かに、アニメ観ながらおっさん達のトーク聴いてるよりは、こうやって可愛く私が喋ってた方がみんな嬉しいでしょう?」

端っから、さり気なくなんてことを言ってくれちゃってるんだw
本作関係者の「おっさん達」って、シリーズ構成の倉田英之先生とAICの黄樹弐悠プロデューサー(*x)のことだろ主に。ともに出たがりで知られる。
倉田先生の過去作『R.O.D』『かみちゅ!』『ガン×ソード』『バンブーブレード』などでのオーディオコメンタリーが多くの視聴者に好評というわけでは必ずしもなかった(面白いには面白いんだが、話の癖や内容は聴く人を選ぶ……との定評)こととかを踏まえると、この台詞のそこはかとないヤバさがわかるというもの。
この特典映像の脚本は倉田先生ではなく原作者の伏見先生ですが、こんな脚本にOK出しちゃうとか倉田先生マジドM ww
第8話(アニメ化回)のシナリオといい、倉田先生はやっぱりドMです。竹達CVで罵られて目覚めちゃったのでしょうか(ぇ

   *  *  *  *

1話、京介が桐乃に「お前がどんな趣味持ってようが、俺はバカにしたりしねえよ」と言ったシーンの京介の心境は、原作(1巻 p.43)には描写があったものの、アニメでは(モノローグなどとして)明示的に表現はされませんでした。



このシーンに関して、特典映像の京介は当時の心境をぶっちゃけています。

この辺りは原作ファンにも配慮したフォローですね。さすが原作者脚本。

   *  *  *  *

ビデオ画面は本編映像を流すだけの用途にとどまらず、中の人を召喚して、桐乃と竹達彩奈さん(桐乃役の声優)とが会話したりもします。




桐乃「やっぱ私みたいに超可愛いヒロインだと、中の人もカッワイイんだよねぇ。ペロペロしたいくら~い」
黒猫「ペロペロ…!?」

きりりん氏はペロリストだったでござるかwwww
確かに第9話の原作者脚本回でも桐乃は舌舐めずりをしてましたが…



竹達さんの演じた代表的キャラは、ネットの一部では視聴者にペロペロ(^ω^)されるネタ的存在としてすっかり有名ですが(2chアニキャラ個別板の当該キャラスレでは、配役が竹達さんと判明する以前のなんと初代スレの>>2から「(^ω^)ペロペロ」されていたという…)。
しかしいつしか竹達さんご本人もペロペロの対象に……
そして台詞とはいえ、ご本人にペロペロと言わせるとはwww

本稿執筆中の2011年1月28日夕方 (15:50) には、同業者の原田ひとみさんにも twitter で「竹達ちゃんぺろぺろ^q^マジかわいい。」と写真付きで愛でられていました(*y)。
竹達ちゃんがペロペロ(^q^)されるのはもう運命なのか!? デスティニーなのか!? ペロペロ(^ω^)

   *  *  *  *

4話、アニメ本編内では劇中イベントの会場名は「TOKYO OCEAN SIGHT」と標示されていました。



因みに原作での会場名は実名で、2巻 pp.197, 206, 208 には「東京ビッグサイト」、p.266 には「ビッグサイト」とあります。


然るに特典映像の黒猫は「ただ一緒にビッグサイトを回っただけじゃない。」と発言しているのです。オーシャンサイトではなく。

黒猫氏ェ… 邪気眼のせいで見えている世界に乱れが…
(アニメ世界ではなく、原作世界またはリアル世界が見えている?)

   *  *  *  *

……絶対買わなきゃ、ブルーレイ!

 ――『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』キャラクターコメンタリー風特典映像第4話(シナリオ: 伏見つかさ)より、新垣あやせ

(完)

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(*t) = 原作の台詞(1巻 p.70)はラノベっぽくもうちょっと冗長だが、原作でも同じ実在のサイト名が実名で登場する。
(*u) = 制作側は「全15話制作」と称しているが、これは正確な表現ではない。放送版「第12話 GOOD END」(ソフト第6巻に収録予定)と配信版「第12話 TRUE ROUTE」(第7巻に収録予定とみられる)は別話になるので、リリース話数は全16話となる。
(*v) = 『バンブーブレード』は東名阪ネットの放送だったが、CMで『ふぁんふ~ふふぇ~ふぉ』が流れたのはテレビ東京だけだった。DVD 4・6巻の映像特典に新作の「特別篇」が収録されているが、放送版はソフト化されていない模様。
(*w) = WMV ストリーミング。現在のサイト上からは1~19話へのリンクが消えていてPVと最終第20話のみ視聴可能……のように見えるが、 .asx のURIの回数部分を弄って WMP などのメディアプレイヤーソフトに直接突っ込めば現在も1~19話の視聴が可能(違法・不正なアクセスではなく合法ですのでご安心を)。
(*x) = 倉田先生と黄樹Pは『バンブーブレード』1・24話(1・9巻所収)のオーディオコメンタリーで共演している。黄樹Pは最近では『そらのおとしもの』(現在2期が続刊中)のオーディオコメンタリーで1・2期全話に皆勤( ! )している。
(*y) = ひとつ前のツイートによると、収録後に共演者と会食した席での撮影のよう。ハラダチャーンとあやちの共演というと、2011年夏に放映されることが1月23日に発表された『バカとテストと召喚獣』TV2期、乃至はその関連の収録か?

(*25) = WORKS - CM/Jingle - I was a Ballerina co.,ltd.
(*26) = マックロッスfufonfia - マクロスFRONTIER スタッフブログ フロンティア魂(すぴりっつ)!!、2008年5月31日

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「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」アニメ公式サイト
http://www.oreimo-anime.com/
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」アニメ公式サイト
「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」アニメ公式サイト
I was a Ballerina 有限会社アイウォズ・ア・バレリーナ
http://www.iwasb.net/

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Summary of images:
Description = 「キャラクターコメンタリー風特典映像」の表示
Source = 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』第2巻 (ANZB-9753) スタート画面
Date = 2011-01-26

Description = キャラクターコメンタリー風特典映像 第1話/第2話/第4話より
Source = 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』第1巻 (ANZB-9751) / 第2巻 (ANZB-9753)
Date = 2010-12-22 / 2011-01-26
Author = (c) 伏見つかさ/アスキー・メディアワークス/OIP
Permission = 日本国著作権法32条1項に基づく引用, Personality rights


2 コメント

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ドテラマン (noid)
2011-02-02 19:11:47
初めまして。
キャラクターコメンタリーに関する一連の記事、大変興味深く読ませていただきました。
ところで、パッケージソフトの特典として作られたキャラクターコメンタリーの歴史は書いてらっしゃる通りでしょうが、
「キャラクターコメンタリーに類するもの」としては1986年のテレビアニメ「ドテラマン」が最初ではないでしょうか。
ウィキペディアによると、
>本作では、音声多重放送を行っており、本編ではジゾウ語という人間では理解できない言語を話すオニゾウの言葉を、副音声でその言葉の内容を日本語で放送しており、オニゾウの言葉だけでなく、様々な場面でオニゾウによる物語の解説やツッコミが流れるという物だった
となっています。
私もこの作品の副音声を聴いたことはないのではっきりしたことは申せませんが、
>様々な場面でオニゾウによる物語の解説やツッコミが流れるという物だった
というのは、キャラクターコメンタリーと通じるところがあるように思います。ウィキペディアには、
>音声多重放送アニメにはステレオ放送を行った『ルパン三世(第2シリーズ)』などの先例があるが、副音声を用いたアニメは本作が最初である。
ともあり、ひょっとしたらドテラマンの副音声が「放送用に作られた初のキャラクターコメンタリー」と言えるのかもしれません。
キャラクターコメンタリーすごい (BOOSUKAKINNGU)
2011-03-26 23:21:17
俺の妹がこんなに可愛いわけがないの
キャラクターコメンタリー目当てで
ブル-レイを買い続ける中毒になりましたよ

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