本年1月13日のエントリで、全株式が国有の企業が、自社サイトにてウィキメディア由来の some rights reserved 画像をノンクレジットで無断転載する著作権侵害を行っていた事実を指摘しました。
これの上梓後、当該画像の著作者兼投稿者様から小生のもとにご相談のお話をいただきました。
曰く「自分は当該画像を外部で使ってくれて光栄である」「事を荒立てたくないので、今からでもライセンスをPDに切り替えたいが、どんなものか?」「著作者がライセンス条件を緩めた場合、その効力は遡及するか?」というのが要旨です。
(写真と本文は関係ありません)
小生があのエントリを執筆したのは、当該企業を吊るし上げて謝罪に追い込むのが主目的ではなくて(*1)、ウィキメディアのコンテンツはPDではないこと、著作者を尊重してライセンスを守ることの重要性、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの周知、ライセンス違反の具体的事例の検証可能な形での例示といったことのために書いたものです。
あの件における侵害先のプレスリリースのページはあの後間もなく企業のサーバから削除されましたが、小生はウェブ魚拓も使って第三者が後から検証可能な形で示してしまいましたから、もはや侵害の事実はご覧の通りですと言うほかはありません。著作者様は「事を荒立てたくない」とのことですが、事を荒立てた責は専らあのエントリを執筆した小生のみにあり、著作者様が自著作物のライセンシングに関して心配されるいわれは全く無いのですが、結果として小生が心配をおかけしてしまったことは謙虚に反省しなければならないと恥じ入る次第です。
ウィキメディアンというのは自発的な自由意志において自著作物をフリーなライセンスの下に寄稿しているのですから、それの二次利用についてはとても "物分りがいい" のです(一般論として)。世間一般に対し「他者の著作権は尊重しよう、ライセンスは守ろう」という社会規範の遵守を普通に求める向きには、このお人よし加減は却って困ったものだ(笑)とも思うのですが。泥棒に対して持ち主が後から配慮してやる義理は無い訳で。
ただ小生もウィキメディアンとしてPDとSRRの二通りで自著作物を寄稿しています(*2)から気持ちはよくわかります。
小生の自作画像が仮に同じ目に遭ったとしたら自分はどうしていただろうか……と考えると、やはりライセンスを後からPDに切り替えていたかもしれません。
「ライセンスを後からPDに切り替える」という著作者側の対応は、ありではないかと小生は思います。
第一義として、著作者自身の精神的安定のために。(爆
ライセンス緩和の効力が実際に遡及するのかについては小生自身よくわかっていないのですが、「過ちや誤りなどは後から是正して、それでよしとする」ウィキ的な流儀(*3)に則ったナイスアイデア(笑)とは言えるでしょう。
フリーなコンテンツのみを受け入れるとしているウィキメディア・プロジェクトも、現実には著作権侵害のコンテンツを日常的に内包しています。それらは発見され次第審議にかけられ削除されていますが、こうした内容が事前に弾かれるシステムにはなっていませんし(*4)、過去の或る時点において著作権侵害のコンテントが掲載されていたという事実は消せるものではありません。
この「後からPD化」という方便は、別のウィキメディアンが行った例があります。
その方はさる公共交通機関の輸送機械写真を多数寄稿しておられるのですが、ある時、ある交通事業者が発行した自社イベントのチラシに自分がウィキメディアに some rights reserved で寄稿した写真がノンクレジットで無断転載されていたのを発見したのです。
(小生が挙げた件もそうですが、自社資産の資料画像くらい自炊しろよ……)
それでその方はどうしたかというと、自分の画像のほうのライセンシングをPDに切り替えたのです。後にこの方に伺ったところ、「自著作物の無断転載が発見され次第PDにしている」とのことでした。
まあ、ウィキメディアンに甘えるなってこった。
ライセンスが付されているコンテントの二次利用は、ライセンスに従うのが王道です。
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(*1) = かと言って目的外な訳でもありません。だんまりを決め込まれるというのも、企業倫理として如何なものかと思います。
(*2) = 拙ブログでは自作画像の著作権に public domain 、 some rights reserved 、 copyrighted を使い分けています。引用部分を除くすべての文章はエントリのフッタに特段の記載なき限り、著作権はVanteyに帰属します。
(*3) = 脱税は、それではいけないと思います! それではいけないと思います! 主に永田町2-3-1に現住の方とか。
(*4) = これをウィキ・システム採用故の構造的欠陥と捉えることもできますが、しかし発表前の査読プロセスが存在するはずの他媒体オールドメディアにおいても転載発覚事例が古今後を絶ちませんので、原因を専らウィキのせいにするのはあたりません。ただし、ウィキの採用故にこのような著作権侵害が "より起こりやすい" 場所になっているということは言えるかもしれません。
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たとえ後に剥がされたとしても、過去の或る時点においてあずにゃんパンチが繰り出されていたという事実は覆いようもないのである。
(写真と本文は関係ありません。大事なことなので二度言いました)
Summary of images:
Description = 本州の某駅前の工事囲い
Date = 2009-12-07 / 2010-01-02
Source/Author of photographs = Vantey
Permission = PD-self, Trademarked
これの上梓後、当該画像の著作者兼投稿者様から小生のもとにご相談のお話をいただきました。
曰く「自分は当該画像を外部で使ってくれて光栄である」「事を荒立てたくないので、今からでもライセンスをPDに切り替えたいが、どんなものか?」「著作者がライセンス条件を緩めた場合、その効力は遡及するか?」というのが要旨です。
(写真と本文は関係ありません)
小生があのエントリを執筆したのは、当該企業を吊るし上げて謝罪に追い込むのが主目的ではなくて(*1)、ウィキメディアのコンテンツはPDではないこと、著作者を尊重してライセンスを守ることの重要性、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの周知、ライセンス違反の具体的事例の検証可能な形での例示といったことのために書いたものです。
あの件における侵害先のプレスリリースのページはあの後間もなく企業のサーバから削除されましたが、小生はウェブ魚拓も使って第三者が後から検証可能な形で示してしまいましたから、もはや侵害の事実はご覧の通りですと言うほかはありません。著作者様は「事を荒立てたくない」とのことですが、事を荒立てた責は専らあのエントリを執筆した小生のみにあり、著作者様が自著作物のライセンシングに関して心配されるいわれは全く無いのですが、結果として小生が心配をおかけしてしまったことは謙虚に反省しなければならないと恥じ入る次第です。
ウィキメディアンというのは自発的な自由意志において自著作物をフリーなライセンスの下に寄稿しているのですから、それの二次利用についてはとても "物分りがいい" のです(一般論として)。世間一般に対し「他者の著作権は尊重しよう、ライセンスは守ろう」という社会規範の遵守を普通に求める向きには、このお人よし加減は却って困ったものだ(笑)とも思うのですが。泥棒に対して持ち主が後から配慮してやる義理は無い訳で。
ただ小生もウィキメディアンとしてPDとSRRの二通りで自著作物を寄稿しています(*2)から気持ちはよくわかります。
小生の自作画像が仮に同じ目に遭ったとしたら自分はどうしていただろうか……と考えると、やはりライセンスを後からPDに切り替えていたかもしれません。
「ライセンスを後からPDに切り替える」という著作者側の対応は、ありではないかと小生は思います。
第一義として、著作者自身の精神的安定のために。(爆
ライセンス緩和の効力が実際に遡及するのかについては小生自身よくわかっていないのですが、「過ちや誤りなどは後から是正して、それでよしとする」ウィキ的な流儀(*3)に則ったナイスアイデア(笑)とは言えるでしょう。
フリーなコンテンツのみを受け入れるとしているウィキメディア・プロジェクトも、現実には著作権侵害のコンテンツを日常的に内包しています。それらは発見され次第審議にかけられ削除されていますが、こうした内容が事前に弾かれるシステムにはなっていませんし(*4)、過去の或る時点において著作権侵害のコンテントが掲載されていたという事実は消せるものではありません。
この「後からPD化」という方便は、別のウィキメディアンが行った例があります。
その方はさる公共交通機関の輸送機械写真を多数寄稿しておられるのですが、ある時、ある交通事業者が発行した自社イベントのチラシに自分がウィキメディアに some rights reserved で寄稿した写真がノンクレジットで無断転載されていたのを発見したのです。
(小生が挙げた件もそうですが、自社資産の資料画像くらい自炊しろよ……)
それでその方はどうしたかというと、自分の画像のほうのライセンシングをPDに切り替えたのです。後にこの方に伺ったところ、「自著作物の無断転載が発見され次第PDにしている」とのことでした。
まあ、ウィキメディアンに甘えるなってこった。
ライセンスが付されているコンテントの二次利用は、ライセンスに従うのが王道です。
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(*1) = かと言って目的外な訳でもありません。だんまりを決め込まれるというのも、企業倫理として如何なものかと思います。
(*2) = 拙ブログでは自作画像の著作権に public domain 、 some rights reserved 、 copyrighted を使い分けています。引用部分を除くすべての文章はエントリのフッタに特段の記載なき限り、著作権はVanteyに帰属します。
(*3) = 脱税は、それではいけないと思います! それではいけないと思います! 主に永田町2-3-1に現住の方とか。
(*4) = これをウィキ・システム採用故の構造的欠陥と捉えることもできますが、しかし発表前の査読プロセスが存在するはずの他媒体オールドメディアにおいても転載発覚事例が古今後を絶ちませんので、原因を専らウィキのせいにするのはあたりません。ただし、ウィキの採用故にこのような著作権侵害が "より起こりやすい" 場所になっているということは言えるかもしれません。
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たとえ後に剥がされたとしても、過去の或る時点においてあずにゃんパンチが繰り出されていたという事実は覆いようもないのである。
(写真と本文は関係ありません。大事なことなので二度言いました)
Summary of images:
Description = 本州の某駅前の工事囲い
Date = 2009-12-07 / 2010-01-02
Source/Author of photographs = Vantey
Permission = PD-self, Trademarked