CAFE PACIS

ユルゲンが「カフェで政治が行なわれているんだ」って言う。じゃあ、カフェで平和やるか。

どう見るイラク選挙 その1:「修復不能なほど無効」。英国国会議員ジョージ・ギャロウェー

2005-02-02 00:06:27 | ニュース@海外
 ジョージ・ギャロウェー:スコットランド地域選出の国会議員。2003年10月、「不法な命令」に従わないよう英国兵士を激励したことで、労働党を除名される。主流マスコミから「サダム・フセインに雇われている」とのでっち上げ報道をされたが、このたび裁判で、報道の不正を証明し、謝罪・賠償を勝ち取った。

 Democracy Now! 1月31日報道

ジョージ・ギャロウェー(1月30日、ロンドンでのインタビュー)
 「この選挙は茶番、不正に操られたものです。外国軍の占領下でおこなわれる選挙は、本質的に、完全に欠陥選挙ですが、とくに今回の種類のような状況でおこなわれた選挙は、修復不能なほど無効です。現状を分析するなら、占領軍と抵抗勢力とのあいだで全面戦争がおこなわれているときに選挙をやるなど、とにかく不可能なのです。スンニ派は、クルド人・アラブ人を合わせ、人口の4割を占めますが、彼らは、信条に沿ってイラクを意図的に分裂させようとしている占領勢力のやり方を強く危惧しています。スンニ派アラブ人のほとんどが選挙をボイコットしました。安全などまったく論外の地域に暮らしているイラク人の4分の3が、退席することで反対の意思表示をし、選挙をボイコットしました。有権者のうち選挙登録をしたのは4分の1以下で、そのうち実際に投票をした人はそれをも下回りました。というわけで、これはお祭り騒ぎ、茶番で、米英のイラク侵略・占領を合法にするためにおこなわれたものです。ですが、合法にはならないでしょう。世界の世論からみても、さらに重要ですが、外国の占領に抵抗しているイラク人からみても、そうはなりません。残念ながら戦争はつづきます。」

エイミー・グッドマン
 「では、今後の展開はどうなると思いますか。何を要求していきますか。」

ギャロウェー
 「私はこれをイラクのユーゴスラビア化と呼んでいるのですが、そういった非常に重大な危険があって、国民が民族・信条の線で硬直し、国が三つに分裂するプロセスが始まる――そのひとつ一つがアラブ諸国だけでなく、トルコ、イランといった周辺諸国にも数々の現実の危険をもたらすもので、これらの要因が、かなり高い可能性で石油をめぐる戦いを引き起こし、すでに存在している利害をめぐる衝突を拡大しかねません。私たちの要求は簡単で、この大惨事を引き起こした者たちが問題を解決できないことは明らかで、ブッシュとブレアと占領軍はイラクから必ず撤退しなくてはならなくなります。どんな形であれこの戦争を終わらせるのであれば、これは絶対的な前提条件で、撤退方法、時期――短期間でなくてはならないでしょうが――について抵抗勢力と交渉しなくてはなりません。いまの段階では、ありそうもないことだと思うかもしれませんが、いつか必ずどこかで合意されなくてはならないことです。ベトナムから米軍が撤退したように、米英軍はいつか必ずイラクから撤退しなくてはならなくなります。」

グッドマン
 「イギリスの世論はどうですか。それと今日の雰囲気はどうでしょう。いまBBCにいますが、テレビでは一日中、投票に馳せ参じ、興奮しているイラク国民の声が報道されていますね。」

ギャロウェー
 「アラブ諸国のすべての国民が民主的選挙で投票ができるようになって欲しいと思っています。だからこそ、その時代に生きていたとしたら、イギリスやフランスといった欧州諸国によるアラブ諸国の――ついでに言うなら自由とか公正などと評されるには程遠い選挙すら一度も行われなかった――植民地化に反対していたでしょうし、だからこそ、アラブ世界を例外なく支配し、ほとんどが英米の全面的支援を受けている独裁政権すべてに反対しているのです。イラクでも民主的選挙がおこなわれて欲しいと思います。が、これは民主的になされていないし、解決どころか、情勢を悪化させる可能性すらある選挙です。いまイギリスでイラク戦争を支持しているのは国民の29%で、戦争の真最中・バグダッドが陥落したときの確か68%から落ちています。かなりはなばなしい低下で、支持はもっと下がります。」

グッドマン
 「最後ですが、争議で和解し謝罪したのは、ロンドンの『タイムズ』紙でしたか。」

ギャロウェー
 「ずいぶんとかかりました。全社が和解し謝罪しましたよ。言及されたのは、最高の勝利を勝ち取った『デイリー・テレグラフ』だと思います。(『デイリー・テレグラフ』は)損害賠償として15万ポンド、(全体で)160万ポンドの支払いをせよとの判決が下りました。」

グッドマン
 「理由は。」

ギャロウェー
 「彼らが、私がサダム・フセイン独裁政権に雇われていると偽って報道したからです。反戦運動のあらゆる部分に向けておこなったのと同じ種類の、事実無根、大掛かりな中傷ですよ。彼らが耐えられないのは、正しかったのは私たちの方で、間違っていたのは自分たちだった、ということです。イギリスなりアメリカの史上最悪の外交決定のひとつのお先棒をかついだのが彼らで、私は、そんなことをすれば、まさに現実に起こっている結果になる、と主張していた陣営の一人だったということです。彼らにはそれが面白くありません。」

グッドマン
 「米兵が起こしたアブグレイブ刑務所の事件でコメントされていますが、イギリスでも、自国兵によるスキャンダルもありますし、グアンタナモの刑務所にいた囚人もイギリスに帰国していますね。」

ギャロウェー
 「主力政党と与野党幹部とBBCなど主流メディアの間には厳格な合意があって、彼らは、これは英国占領軍を象徴する行為ではないと、安心させあうのが好きなのですが、残念ながら、これは完全に英国占領軍を象徴する行為です。イギリスが、ケニアでマオ・マオによる解放闘争を抑圧したとき、10万人のケニア人を殺しました。今回の戦争と占領で死んでいるイラク人とほとんど同じ数です。ケニアで、イギリス軍は、キクユ族の手足を切り落とし、それを壁に張り付け、写真を撮りました。殺したキクユの死体を一体持ち帰るごとに、兵隊に5ポンドの報酬が支払われました。マラヤでマレー人の解放闘争を鎮圧したとき、イギリスは1万人を殺しました。イギリス兵がマレー人の斬首した首を持ってポーズをとっている写真を見たことがあります。これがすべての占領の結末なのですよ。問題の兵士がアメリカ人だからとかイギリス人だから起こるとか、シャロンの軍があのような蛮行をするのはイスラエル人だからだ、とか、ましてやユダヤ人だからだといった類の問題ではないのです。そのように振舞うのは占領軍だからであって、すべて占領はそこに行き着くのです。占領軍は、占領している国民を悪魔として描き、間化しますが、これは占領軍特有の優越感で、そうでも信じていなければ、他国の社会を自分たちが再建すべきだ、なんてことは考えないでしょう。しかも、17、19、20歳の若者が武器を持って、無力な民間人に向かっていけば、必ずアブグレイブに行き着くのです。」

 by あい