父からは常々、「ロシアの接客はまったく笑わず、対応もぶっきらぼう」と聞いていましたが、第一印象はまさにその通りでした。
旅行して最初に接する働くロシア人は空港の税関職員ですが、前の人が通過するとキッと睨み付けるようにこちらを見て顎をしゃくります。怖いです(笑)。
目が合ったとき、ニコッとしたり多少表情を緩めることに慣れていると、結構ショックです。
夫は「笑うと表面積が増え口も露出して体温が奪われるから、ロシア人は笑わない」などともっともらしくテキトーなことを言っていましたが。
さて、仏頂面のままの女性係員にパスポートを手渡すと、親の敵のようにパスポートの写真をじいーっと眺めます。その慎重さ、仕事としては丁寧なのかも?
写真を充分睨み終わると、今度はわたしの顔を睨み付けます。鋭い目が、パスポートとわたしの間を行き来しています。9年前に作ったパスポートを持つわたしなんぞは「その時の顔とは大分違っていてごめんなさい、でも経年変化なんです・・・」と、むやみに弁解したい気持ちにすらなってしまいます。
さらにわたしの場合は、結婚後に変更したため、新しい苗字が別のページに書いてありますから、そのページも丁寧に確認しているようでした。
慎重な確認の末、納得していただけたらしく、無言ですっとパスポートが突き出されました。
ここまでのやり取りで終わっていたら、「父の言うことはもっともだった」と納得するところだったんですが。
パスポートを受け取ったとき、「スパシーバ(ありがとう)」と言ってみると、ニコッとしたんです。
あれっ?そんなに無愛想じゃないんじゃ・・・?
その後、ホテルやお店などでよくよく観察してみると、はじめに目が合ったときに笑ったり表情を和ませる人は確かに少ないことがわかりました。必要な業務を行っている間も、ひたすら無愛想にしています。
でも、こちらの用事が一段落した後にお礼を言ったり、何かしらコミュニケーションを図ってみると、さっきまでの仏頂面はどこへやら、途端ににっこりすることが多いのです。また、少し高級なレストランなどでは最初からにこやかなウェイトレスさんもいました。
旧ソ連時代、仕事中に笑うのは良くないこととされていたそうです。その頃の感覚から、今は少しずつ変り始めているのかもしれないと思いました。
ただ、「接客サービス」が商売に結びつく感覚は、まだあまり浸透していないという気がします。お店でも、店員さんは客が勝手に品物を選んで買う体勢になるまでまったく近寄ってきませんし、サイズのことなど質問してもあまり熱心には答えてくれません。店員さんにあれこれつきまとわれるのがキライな私としては楽でいいですが、他人事ながら「売ろう」としなくて大丈夫なのか?と思ってしまいます。
とある店で買い物しようとしたら、一つ買うものを決めたら店員さんがやってきてその商品を持ってレジに向かい、さっさと会計を始めてしまっていました。
他の商品もあわせて買おうとか、もう少し欲しい物がないか見渡そうという余裕を与えない感じです。
父の生徒さん(韓国語専攻)が、「夏に韓国に行くのでショッピングがしたい」と言っていましたが、積極的に売り込むという洋品店の店員さんにさぞかし驚くんじゃないかとちょっと楽しみです。
また、トイレがないことも驚きました。
街に有料トイレはありますが、飲食店や百貨店などのお店の中にはトイレがないことが多いようです。現地の人たちは、あんまりトイレの必要性を感じてないんでしょうか?
ただし、多くの店でトイレがなかったり汚いのに対して、内装にも凝った素敵なトイレを備えているカフェなどもありました。
これは、日本の観光業界の方たちが観光都市としての発展のために色々と助言をしたそうで、ウラジオストクでは少しずつトイレを設置する店が増えてきているのだそうです。
最後に「あー、まだ競争原理があまり働いてないのかな」と思った例をひとつ。
ウラジオストクのスポーツ湾沿いに、色つきタイルの敷き詰められた素敵な通りがありました。この通りには、3メートル間隔で小さなキオスクのようなお店が10店舗ほど並んでいるのですが、これらのお店、すべて売っている物が同じなんです。
タバコや飲み物、ちょっとしたスナック類に雑誌など。
それぞれの店をそれぞれが運営しているのか、どこかが一括管理しているのかは分りませんでしたが、日本だったら、これだけの店を用意したら隣の店とは少しずつ売るものを変えるのが普通ではないでしょうか。だって、その方が「売れる」でしょう?
町並みはきれいですしシベリア鉄道の起点駅や美しい湾など観光名所となりそうな財産は持っているのに、観光客を相手に利益を上げるような工夫や商売はあまり見受けられませんでした。
ウラジオストクは、軍港のある町として外国人ばかりかロシア人も立ち入れない閉鎖都市としての歴史が長く、開放されて15年。
日本や韓国からの観光客をもっと意識的に誘致するようになれば、どんどん街は変ってくるんだろうと思います。
いわゆる商売の感覚は、これから育っていくのかもしれないなーと考えると、今が一番面白い時期なのかもしれないと、今回訪れて思いました。
旅行して最初に接する働くロシア人は空港の税関職員ですが、前の人が通過するとキッと睨み付けるようにこちらを見て顎をしゃくります。怖いです(笑)。
目が合ったとき、ニコッとしたり多少表情を緩めることに慣れていると、結構ショックです。
夫は「笑うと表面積が増え口も露出して体温が奪われるから、ロシア人は笑わない」などともっともらしくテキトーなことを言っていましたが。
さて、仏頂面のままの女性係員にパスポートを手渡すと、親の敵のようにパスポートの写真をじいーっと眺めます。その慎重さ、仕事としては丁寧なのかも?
写真を充分睨み終わると、今度はわたしの顔を睨み付けます。鋭い目が、パスポートとわたしの間を行き来しています。9年前に作ったパスポートを持つわたしなんぞは「その時の顔とは大分違っていてごめんなさい、でも経年変化なんです・・・」と、むやみに弁解したい気持ちにすらなってしまいます。
さらにわたしの場合は、結婚後に変更したため、新しい苗字が別のページに書いてありますから、そのページも丁寧に確認しているようでした。
慎重な確認の末、納得していただけたらしく、無言ですっとパスポートが突き出されました。
ここまでのやり取りで終わっていたら、「父の言うことはもっともだった」と納得するところだったんですが。
パスポートを受け取ったとき、「スパシーバ(ありがとう)」と言ってみると、ニコッとしたんです。
あれっ?そんなに無愛想じゃないんじゃ・・・?
その後、ホテルやお店などでよくよく観察してみると、はじめに目が合ったときに笑ったり表情を和ませる人は確かに少ないことがわかりました。必要な業務を行っている間も、ひたすら無愛想にしています。
でも、こちらの用事が一段落した後にお礼を言ったり、何かしらコミュニケーションを図ってみると、さっきまでの仏頂面はどこへやら、途端ににっこりすることが多いのです。また、少し高級なレストランなどでは最初からにこやかなウェイトレスさんもいました。
旧ソ連時代、仕事中に笑うのは良くないこととされていたそうです。その頃の感覚から、今は少しずつ変り始めているのかもしれないと思いました。
ただ、「接客サービス」が商売に結びつく感覚は、まだあまり浸透していないという気がします。お店でも、店員さんは客が勝手に品物を選んで買う体勢になるまでまったく近寄ってきませんし、サイズのことなど質問してもあまり熱心には答えてくれません。店員さんにあれこれつきまとわれるのがキライな私としては楽でいいですが、他人事ながら「売ろう」としなくて大丈夫なのか?と思ってしまいます。
とある店で買い物しようとしたら、一つ買うものを決めたら店員さんがやってきてその商品を持ってレジに向かい、さっさと会計を始めてしまっていました。
他の商品もあわせて買おうとか、もう少し欲しい物がないか見渡そうという余裕を与えない感じです。
父の生徒さん(韓国語専攻)が、「夏に韓国に行くのでショッピングがしたい」と言っていましたが、積極的に売り込むという洋品店の店員さんにさぞかし驚くんじゃないかとちょっと楽しみです。
また、トイレがないことも驚きました。
街に有料トイレはありますが、飲食店や百貨店などのお店の中にはトイレがないことが多いようです。現地の人たちは、あんまりトイレの必要性を感じてないんでしょうか?
ただし、多くの店でトイレがなかったり汚いのに対して、内装にも凝った素敵なトイレを備えているカフェなどもありました。
これは、日本の観光業界の方たちが観光都市としての発展のために色々と助言をしたそうで、ウラジオストクでは少しずつトイレを設置する店が増えてきているのだそうです。
最後に「あー、まだ競争原理があまり働いてないのかな」と思った例をひとつ。
ウラジオストクのスポーツ湾沿いに、色つきタイルの敷き詰められた素敵な通りがありました。この通りには、3メートル間隔で小さなキオスクのようなお店が10店舗ほど並んでいるのですが、これらのお店、すべて売っている物が同じなんです。
タバコや飲み物、ちょっとしたスナック類に雑誌など。
それぞれの店をそれぞれが運営しているのか、どこかが一括管理しているのかは分りませんでしたが、日本だったら、これだけの店を用意したら隣の店とは少しずつ売るものを変えるのが普通ではないでしょうか。だって、その方が「売れる」でしょう?
町並みはきれいですしシベリア鉄道の起点駅や美しい湾など観光名所となりそうな財産は持っているのに、観光客を相手に利益を上げるような工夫や商売はあまり見受けられませんでした。
ウラジオストクは、軍港のある町として外国人ばかりかロシア人も立ち入れない閉鎖都市としての歴史が長く、開放されて15年。
日本や韓国からの観光客をもっと意識的に誘致するようになれば、どんどん街は変ってくるんだろうと思います。
いわゆる商売の感覚は、これから育っていくのかもしれないなーと考えると、今が一番面白い時期なのかもしれないと、今回訪れて思いました。