松沢顕治の家まち探しメモ

「よい日本の家」はどこにあるのだろうか。その姿をはやく現してくれ。

長野県小川村・・・美の郷

2014年11月08日 01時07分33秒 | 日記

美しい日本の家をもとめて各地を歩いてきた。そのかたわら、美しい日本の光景にもであったことは思いがけないよろこびだった。

信州・小川村。高府から大洞峠にむかう山道は感動の連続だった。眼の前に飛び込んできた民家は大きな茅葺きだった。一部は黒い金属板葺きになっているが、越屋根の意匠といい、頂部の飾りといい、吹き抜けになった換気口といい、全体として伝統の美を維持するどころか、かえって美を洗練させている。この威容を坂の下から仰ぎ見るのである。思わず胸がいっぱいになったのは自然だったろう。

ふりむけば、北アルプスの山並みが視界いっぱいにぐっと迫ってくる。五月の光景をおもった。遅咲きの桜が陽の光をつかもうと花びらをきそって開いたそのむこうに、雪におおわれた偉大な山容がそびえ立っている。人のひたむきな理念や熱い行為などせせら笑う白鬼は、しかし峻厳な美をもって多くの人の心を永世へと誘う。

小川村HPより

死生を思いつつ、つづら折りの坂をのぼったら、またもおどろいた。突如として美しい三重塔が出現した。真言宗高山寺。縁起によれば、源頼朝が建立したのだという。頼朝といえば鎌倉。海辺の鎌倉は山深きここ信州小川村とはいったいどのくらい離れているのだろうか。考えると、地理感覚が麻痺して心細くさえある。おどろき、また驚きの連続する光景が小川村にはあった。

美しい日本の家をさがし歩くのはおもしろい。もしかすると「日本とは何か」という隠れた主題につながっているからだろうか。

 


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