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『日出処の天子』

2006-10-18 23:55:26 | Recommend
『日出処の天子』山岸 凉子著(白泉社文庫)


最近ローカルネタばかりで

つまらないと思ってる人も多いと思うので

(いつもつまらないとか言わない!w)

ちょっと毛色の違ったネタで。


秋の夜長にちょっと読み物を…といってもマンガですが。

最近読んだものの中で特に面白かったのがこれ。

日出処の天子 - Wikipedia

一昔前の人なら知らない人は居ないであろう

聖徳太子(厩戸皇子(うまやどのおうじ))のお話。

諭吉つぁんに一万円札の顔を譲ってから

もうかれこれ20年以上(1984年)経ってるんですねぇ。

ああ、歳は取りたくないもんだw


…で、お話なんですが、

聖徳太子(厩戸皇子)という人はいろいろと謎が多くて

実は架空の人物ではないか?

とまことしやかにウワサされていますが

一度に10人の話を聞き分けたとか、生後まもなく喋ったとか

とんでもない超人だったというのは以前よく聞かされていました。


まあ、こういうキャラなので弄り甲斐があるんでしょうか?

山岸涼子先生は『日出処の天子』で厩戸皇子を

かなりぶっ飛んだキャラに仕立て上げられたようです。

厩戸皇子は実は「超能力者」で「女性不信」の

「男色の美少年」だったという設定です。

こういう風に書いていると

いかにも少女マンガにありがちな歎美な世界

が描かれているのだろうと思われるでしょうが

確かに絵柄からはそういう印象も得られますが

ストーリーは主軸に大胆な展開を置きつつも

登場人物や事件など、かなり史実に忠実な形で展開されており

決して荒唐無稽な話で終わっていません。

(まあ、架空の人物と言われるほど謎の多い人物の話であるため
史実とは言ってもどこまで正しい話かわかりませんが)

無理なく読み進められるように描かれていますが

お話はどうしようもなく悲しい話で

最後は…。

まあ、非常に悲しい物語ですね。


子どもの頃読んだという人も

もう一度改めて読み直してみると細かい心理描写や

人間関係、史実との繋がりなどに感心することでしょう。

何十年も前に描かれたマンガですが

今でも十分楽しめる作品だと思います。


ただ、これだけ完成度が高い物語だけに

ちょっと気になる点があります。

それは「外来語の使用」です。

小学生などにも理解出来るように

配慮した結果なのかもしれませんが

あまりにも普通に会話に使われていて

かなりの違和感があります。

まあ、大和言葉(和語)のみで書けとは言いませんが

飛鳥時代の人間にこれだけ外来語を喋らせるのはちょっとどうかと。

一応ピックアップしてみたら作品中にこのような言葉が登場しました。

「チャンス・ライバル・バック・ストイック・クリアー・ボルテージ
・クレーム・マンネリ・タイミング」

生活に溶け込みすぎてもう他の言葉では

上手く伝わらなく感じる外来語も確かに存在しますが

ここでは出来る限り日本の言葉で表現して貰いたいところですね。

<関連>
聖徳太子 - Wikipedia

「聖徳太子」はいなかった-さわらび通信

聖徳太子-飛鳥の扉

日々の雑感 (tach雑記帳はてな版) - 山岸凉子「日出処の天子」

CUT 1994.04 Book Review-ニヒリズムと孤独と「もう一つの道」。(山形浩生)


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