2010年の春に長年勤めた職場から転職しました。Monster1100でも買うかと7年分の退職金を握りしめてDucatiショップに行ったら、何故かKTMが納車にという不思議な経緯で我が家にやってきたDukeさん。
690 Dukeは、そのデビュー時から欲しくてしょうがなかったんだけど、「鉄フレームの650シングルが115万円じゃなあ」と思って見送っていました。今にして思えば、デビュー当時の直感を信じて買っておけば、今頃は余裕で26秒台を叩きだしていたのかもしれないけれど、いろいろな回り道があったからこそDukeの素晴らしさがよく分かるというもので。散々お金はかかったけど、プライスレスということにしよう。・・・電卓なんか叩かないぞ。
スポーツバイクとしてのDukeの最大の美点は、「乗りやすい」「わかりやすい」ですね。軽さでもないし、ましてやパワーでもない。半乾燥重量148.5kgは軽いと言えば軽いけど、CBR600RR公道仕様の乾燥重量が155kgですから、わずか7kgの差。保安部品を外して社外マフラー・FRPカウルに交換したレーサー仕様なら、もうほとんど変わりません。もちろん2スト250と比べたら20kg以上重いです。パワーはカタログ値66psと、単気筒車の割には頑張ったほうですが、ノーマルの2スト250より速いものの、何回走ってもチャンバーを換えた2スト250には直線で走り負けます(70psのDuke Rなら多少事情が違うかもしれません)。最高速は200km/hは出ないようですから、4サイクル400ccよりも直線は遅いはず。みっち~さんのVFR400Rが実測約67psで、モーターサイクリスト誌1月号の「エッジ」テストでは690 Duke"R"ですら実測約65psでしたから、標準Dukeだとさらに低い値に留まるでしょう。600SSとの比較だと、馬力は1/2しかないんですから、もうオハナシになりません。
そんなDukeですが、乗り換えた途端に自分のライディングで筑波2000で1分8秒6、トミンで27秒7です。こりゃもう、バイクのおかげですよ。それまでの自己ベストは、R1での筑波2000 1分9秒2、トミン 29秒0だったんですからね。
一般的に、操作に対するバイクの反応は軽いバイクの方が分かりやすいと思いますが、Dukeの場合は「軽くて大柄」というのがレアだと思います。軽いバイクは概ね小さいことが多いのですが、2スト250やミニバイクのような小さいポジションよりも、大柄なポジションのほうがライダーが自分のしている動作を把握しやすいように思います。
例えば、ミニバイクと比べるなら、Dukeのハンドル幅はおそらく倍近くあるように感じると思いますが、これだけハンドル幅が広いとステアリングの動きが視覚でもわかるくらいです。ハンドルの入力は、通常「力を入れる・力を抜く」で行うはずですが、これくらいのハンドル幅だとストロークでステアリング入力を管理出来ます。「1cm押す、5mm引く」って感じ。ハンドル幅が広いということは、その押し引きに必要な力も軽いということです(テコの原理ですね)。また、ハンドル位置が高いこともあり、ステアリングをフリーにしてやると倒し込みの過程でステアリングがスイッとインに向くのすら見えます(本当です)。
ステップを踏み込んでの倒し込みへの反応も非常に分かりやすいし、軽いだけにカントの効果など路面の状況も分かりやすい。色んな種類のバイクに乗ったけど、こんなにわかりやすい「教材」はちょっと他にないです。軽いだけでなくソコソコのフレーム・サスペンション剛性があるので、入力に対する反応がダイレクトに感じやすいんですね。もっと軽いけどフレームがDukeよりしなるDトラだとこうは行かないでしょう(Dトラはその軽さとユルさが楽しいんで、善し悪しですけどね)。また、ガチガチの高剛性ってわけでもないので、高剛性フレーム特有の扱いづらさも感じません(曖昧さを許さない、というか)。過敏でなく、適当にいなしてくれるという感じでしょうか。
4輪にも乗る方ならご理解頂けると思いますが、あまりにも剛性の高いボディに固い足だと、インフォメーションが掴みづらいところがあるというのはご同意いただけると思います。Dukeはそのあたりを考えてか偶然か、剛性が高すぎず低すぎずの「極めてイイ」絶妙なところに設定されている、という印象なのです。
どこでも「最速」を求めるには向きませんが、ことミニコースに限れば、こんなに面白いバイクは少ないと思います。とにかくアクセルは全開か全閉かという勢いで「使い切り感」があって、それがまたいい。使い切ってもタイムが出ないとツマンナイもんですけれど、このバイクは使い切ればそれなりのタイムが出ます(ミニコース限定ですが)。シングルだけにアクセルの開けやすさは特筆モノで、大スライドしても大排気量マルチのようにいきなり吹き飛ばされるようなことはまずありません。小さなアクセル開度を神経質にコントロールしなければならないR1とは大違いです(開け始めではミリ単位の操作が要求されますし、直線でも自分レベルだとトミンでは全開になりません)。ミニコースを中心に走るなら、こんなに楽しい相棒はなかなかいないと思いますよ。MC誌の「エッジ」テストにも同様の記述がありますが、SSではとてもやろうと思わないチャレンジもやってみようという気になります。自分の場合は、これまでやろうとしなかった進入スライドに「プチ挑戦」し始めました。まだ成功していませんが、12/5の走行からトミン1コーナーの進入で「バンクさせてからシフトダウン」という操作をしています。今のところ普通に回転を合わせているせいかまだ滑り出さないのですが(笑)、「滑ってもいいや」という心構えで走らせています。以前に乗っていた他のバイクでは有り得ない取り組み姿勢ですね。
大きなサーキットですが、走れるとしたらせいぜい筑波2000まで。Dukeは持ち込んだことがないので予想ですが、スパ西浦くらいならなんとか大丈夫そう。
大きなサーキットだと、さっきインフィールドで抜いて来たはずの大型バイクに、その後にやってくる直線の終わりで抜かれます。筑波2000で大型SSが相手の場合、3秒くらいは持ちタイムに差がないと、1ヘアで抜いてもバックストレッチ区間だけでリードを取り返され、最終コーナー入口までに抜き返されてしまいます(最終に進入するまで前にいられれば、それ以降はどんどん差を広げていけるのですが)。なので、自分のライディングでも8秒台は出せますし、7秒台も到達不可能ではないように思うのですが、シングルレース参戦などの明確な目的を持つか、あるいは海のように広い心で遅い大型バイクの割り込みを許す「ファン・ライディングに徹する気持ち」がなければ、Dukeでの筑波2000のスポーツ走行はオススメはしません。ただし、確実に7秒台か、それより良いタイムを出せる人は自分のようなイヤな思いはしないで済むかも。B枠にはおそらくA枠の中で時折見られるような「直線だけ速い人」はいないでしょうから、目の前に割り込まないでそのまま抜いていってくれるでしょう。たぶん。
単独で走れる状況では、同じ9秒台で走るなら、R1に比べて遥かに楽しく走れます。R1だと「覚悟を決めてコースイン」って雰囲気があるけど、Dukeは全然怖くないし。
そうそう、先ほどスライドについての話がちょっと出ましたが、ついでにお話ししますとこのバイク、立ち上がりでの「速いスライド」「遅いスライド」がすごくよく分かるんです。滑りながらもどんどんバイクを前に押し出して行けるスライドと、テールを振り出して危ないだけでちっとも速くないスライドが乗っていてハッキリ区別できるってことですね。
そういうことでスポーツ走行については、スペックから想像する期待に完璧に応えてくれると思います。
続いて日常の使い勝手について。
残念ながら、ストリートユースは「使えなくはないけど」という程度に考えておいた方が無難。654ccの単気筒車だし、トコトコのんびりツーリングに良いんじゃない?という期待を持っているなら、このバイクはやめましょう。他にもっと適切なバイクがいくらでもあります。「ワインディングが好きだから、途中の移動は多少なら目をつぶるよ」という方ならOKです。
○足つき
・・・サイアク級。軽いから怖くはないけど、身長176cmの自分でも両足の指の付け根がやっと届く程度です。身長の割には足は長くない方(短足って言えよ)ですが、それでも170cm未満だと信号待ちで縁石を探したくなるでしょうね。
プリロードを抜いてのローダウンはオススメしません。自分はBIG MACHINE誌の新垣氏によるサスペンションセッティング講座の記事通りにプリロードを1回転緩めてみましたが、確かにリヤサスの動きはよくなったものの、28秒前半の段階で既に残ストロークがゼロでした。峠道でセッティングした誌面では大丈夫だったようですが、トミンとはいえサーキットだけに、自分のライディングでもストロークを使い切ったようです(現在は標準設定に戻しています)。
○エンジンの使い勝手
654ccだと一般的には「大排気量車」と思われそうですが、このバイクは3000回転以下で走るようには出来ていません。ギクシャクして走りづらいったらありゃしない。
一方、4000回転くらい回していれば実用上必要なトルクは出てきます。しっかりとパンチが効いたパワーが出てくるのは5500回転以上で、まるで2サイクルみたいにハッキリとした「パワーバンド感」があります。このため、サーキットでは進入がヌルくて立ち上がりの回転を落としてしまうと、パワーバンドに入ってくるまで「待ち」が生じることになります。このあたり、Duke"R"では中間回転域のトルクが街中の試乗でもハッキリ体感出来るくらい太くなっているようですから(ディーラーで聞いた話)、サーキットを走りたい方で、標準モデルとR仕様を選べる立場の方は、迷わず"R"を選びましょう。自分は選べませんでした(苦笑)。レッドゾーンは8000回転ですが、オーバーレブ特性は良く、8750回転くらいまでは回せます。オーバーレブ特性については、排気量が小さい標準Dukeのほうがイイ可能性もありますね。自分のシアワセのために、そういうことにしておこう。
○ブレーキ性能
フロントブレーキはコントロール性、制動力とも全く問題ありません。というか、非常に良いです。シングルディスクだからといってご心配なく。ブレーキパッドは純正品で充分ですから、自分は次も純正品を使うつもりで1セットストックしました。
リヤブレーキはそれほど使いませんから評価出来るほどわかっちゃいないのですが、比較的効力は高めのようです。
○直進安定性
笑っちゃうほど曲がるってことは、直進安定性はイマイチってことです。654ccって数字は大排気量車だけど、ドッシリ感なんてカケラもないです。そりゃ普通に真っ直ぐ走れますけど、「常に馬の背」って感じ。
○シート
サイアクのケツ痛バイク。痔主でない自分でも10分でギブアップです。10分も走ったら、バイクの上で立ち上がってケツの凝りをほぐしたくなるというか。予算が許すならオプションのエルゴシートと交換すれば、「30分」座れるようになります(笑)。
○整備性
アンビリーバブル。なんで左右にオイルフィルターがある?なんでストレーナーが左右にある?なんでオイルを抜くとマフラーがオイルだらけになる?
自分の場合、バックステップキットを組んでいるのですが、そうなるとオイルドレンボルトを外すためにバックステップのステーを外すというウルトラメンドクサイことに(苦笑)。
まあ、この重いマフラーがエンジン下にいることで、いくら滑ってもなかなかコケない安定したハンドリングが得られているのですから、仕方がないんですけどね。
そうそう、新車納車直後はどんどんネジが緩みますから、ちょくちょく点検・増し締めが必要です。3000kmを超える頃には、緩むネジは緩むし、緩まないネジは緩まないって感じで、初期のようにドンドン取れてなくなるほどではなくなってきます。でも、ブレーキキャリパーなど最低限「これは」ってところだけはワイヤーロックしておくと安心かと。
つまらんことを言えば、シングルディスクなんでフロントタイヤの空気圧管理は楽かも(苦笑)。
あ、大事なこと書くの忘れてた。工具はすべてミリです。インチは不要。ただし、外装品にトルクスを使っている所が多いので、簡単なセットを買う必要があります。外装でなく、重要な機能部品に使われているトルクスは外周が普通の六角ボルト形状なんで、普通のスパナで回せます。ただし、サイドスタンドを外すのだけはトルクスが必要。
○オイル消費
有り得ないです。200kmで170ml消費しました。ディーラーによると「普通」らしいです。サーキット全開走行だからですか?と尋ねてみたけど、ストリートでもかなり減るみたい。なので、ロングツーリングに出かけるなら、必ず出発前にupperレベルまでキッチリ入れておきましょう。それか、2スト乗りみたいにオイルを携行したほうが良いかもしれません。いやネタじゃなくて、マジメに。
○燃費
慣らし中は23~24km/Lくらい走った気がする。タンクも13.5L入るので、普通に走れば200km以上は無給油でまず大丈夫のはずです。エコランすれば300kmも可能かもしれませんが、試したことないので責任持てません(笑)。スリムな見かけによらず、足は長い方だと思いますね。
○タイヤ選択
評価不能(苦笑)。ただ、Dukeとピレリ・ディアブロスーパーコルサSC2は素晴らしいマッチング、ということだけは間違いないです。既に2000km以上をサーキットの中だけで走っていますが、もう散々っぱら前も後ろも滑らせているのにまだ1度も転倒していないのは、Dukeとこのタイヤのおかげです。バンク角がかなり深くなって来たし、路面温度も下がってきましたからそのうちコケるかもしれませんが、挙動が大きく乱れるほどのスライドはもう毎回のことだけど(なぜかみっち~さんが後方で目撃していることが多い...笑)、そのリカバリー成功率は今の段階では100%なんですから、スゴイでしょ。
ちなみに、標準装着されていたのはダンロップ・α10でした。2010年5月納車でしたが、タイヤの製造は2008年でした。まあ、2010年に2009年モデルの長期在庫車を買ったんだから、「新車」であっても2年前のタイヤが装着されていたのは当然。普通に使えましたが、本来の性能だったかどうかは不明。前後α10でトミン29秒1・筑波11秒台、前α10後DSCでトミン28秒3・筑波1分9秒台だったような気がしますので、そんなに悪いタイヤじゃないと思います。DSCに比べると、ケースが硬い印象でした。ただ、もうα10は売ってないので、評価しても意味ナイし。α12デビュー時の宣伝では、ひと昔前に大評判だったGPR-70spのフィーリングを再現したって触れ込みだったから、その言葉通りだったら悪くないはずだけど、試してないのでなんともかんとも。
そういう意味で、自分がストリートでも乗る機会が多いなら、ディアブロロッソコルサにするでしょうね。内部構造は同じではないでしょうが、コンパウンドはDSCと共通ですから(詳細は皆様各自でググって下さいませ)。ただ、価格的にはα12も魅力的ですので(Hレンジなので安い)、関心はあります。
レーシングタイヤは事実上ディアブロスーパーコルサしか選べませんが(周りにユーザーが1人もいないPowerOneCompetitionを試す度胸なし)、F120/70R17、R160/60R17ということでそんなに特殊なサイズではありませんから、ストリートタイヤはかなり選択の幅があると思います。
○音
でっかいスーパーカブ(苦笑)。とても「サウンド」なんてもんじゃないですね。メカノイズも大きいし、プラスチックの箱が共鳴するような吸気音が安っぽい。心地よい柔らかな排気音をお供に、春風のそよぐ高原をツーリング…なんてマボロシを見ている人は買ってはいけません。ただ、音量が大きくないのが救い。レース前に発電機を回してウォーマーかけてたら、Dukeのアイドリングの音が聞こえなかったという(笑)。ノーマルマフラーを使っている限り、どこのミニサーキットに行っても音量でつまみ出される心配はありません。コケないためのオモリという意味合いもあるので、自分は今後も交換しないつもりです。
○振動
振動であちこちのネジが…と書きましたけれど、意外や意外、乗っていると全然振動は感じません。バランサー万歳。昔SRX400に乗っていたときには、1時間高速道路を走ったら手の感覚がなくなり、足もしびれてPAの駐車場を歩くのが辛かったくらいですから(痛くすぐったい感じで、足を地面につけるのが苦痛で)。Dukeは全くそんなことはありません。これはホントに素晴らしい。シングルの振動や鼓動感が…なんて人は、SRを買いましょう。
○積載性
シート下スペースにレインコートくらいなら入れられます。U字ロックは無理。
○アフターパーツ入手性
標準で前後サスがWP製、前後マルケジーニ製アルミホイール、ブレンボ製ラジアルマウントFブレーキマスター、マグラ製ラジアルクラッチマスター、前後ブレンボ製キャリパー、LEDテールランプと、ほとんど隙がないといって良いでしょう。盆栽の余地なし。交換するとすれば
・マフラー…各車製あり。純正オプションはアクラポビッチ。
・バックステップ…Baby Faceのみ。
・スライダー…Baby Faceのみ。
・レース用アンダーカウル…商品化されているのはファイバーワークスのみ。
くらいしか思いつかないですね。キャリア類は純正オプションがあります。ツーリング用の社外ハードケースもありますが、そういう使い方は人間もバイクも不幸なのでオススメしません。
実際のところ、マイナー車だけにアフターパーツはほとんど出ていないですね。意外ですが、スプロケット類は純正オプションが安いです。珍しい純正オプションとしては、シートカウル下に取り付けるU字ロックかな。これは収まりが良いので、サーキットを走らない人にはオススメ。
○トラブル
今のところ経験したのは1点だけ。サーキット走行中にスロットルを戻すと、エンジンブレーキがかかっている最中にいきなりエンジンに火が入って「ガッ!」と前
に飛び出すことがあります。タイミング的にはまだフルバンクにはなっていない時期なので、幸い転倒には結びついていないけれども、これはちょっと困る。症状が出たり治ったりするし、自分以外にこういうトラブルはないらしく、ディーラーもこのあたりの情報は持っていない模様。情報ある方、求む。
※追記:スロットルボディ交換で完治しました。保証期間内の修理で、無料でした。
○修理価格
まだ壊してないのでわかりません。ただし、何点かパーツを取り寄せた経緯からは、部品の納期はそんなに遅くないみたいです。
○耐久性
鋭意テスト中です(笑)。
○ランニングコスト。
オイル交換しても1.5Lくらいしか入りません。タイヤも180や190サイズより随分安いです。パワーがありませんから、コーナリングスピードとそれを支えるタイヤが生命線のバイクです。安全のためにも、タイヤはケチってはいけません。高く感じるでしょうが、大型車サイズよりは安いですし、軽いだけに大型車より長持ちします。
ブレーキパッドはえらく長持ちします。走行1000kmでサーキット投入、以来2000km以上をサーキット内で走ってますけど、まだまだ余裕があります。これも車重が軽くてパワーがないからですね(笑)。
○Duke以外の選択肢
比較対象をシングルに限ります。
国産車であればDR-Z400SMあたりが直接の競合車になるでしょう。ストックのままでは戦闘力的にはオハナシになりませんが、DR-Zっていじると超絶ハイパワーマシンに化けますからね。ただし、弄ればお金がかかるのは世の常ですし、レーシングキャブレターを季節毎にセッティングしながら乗れるライダーは多くないと思います。
同じシングルロードスポーツとはいえ、SRX600などとは全く性格が異なります。トコトコツーリングに行きたい人は、程度の良いSRXを買うか、それなりにお金をかけてレストアして乗るほうがDukeを買うよりもシアワセになれそうです。
これからシングルレースに出たい方は、筑波以外ならDukeをオススメします。筑波はノーマルシングルクラスに出場出来ませんので。筑波選手権TC400に出られるスピードをお持ちの方は大丈夫ですが、そんな人はこんなブログを読んでいないでしょう(笑)。今まで継続してレースをしてこられた方はともかく、これから旧車を買って山のようなストックパーツを持つのはナンセンス。レースをやめる誰かから安く譲ってもらえるならアリですが、メーカーから補修パーツが供給されない古いバイクを今から新たに買うのは賛成出来かねます。
ハスクバーナ、フサベル、そしてKTMなどの競技車ベースのナンバーつきモタード車両とは、まったく性能・使い勝手が異なります。ナンバーつきモタードレーサーは、Dukeよりずっと高性能である代わりに電動ファンすらついてないという割り切りっぷりで、メンテナンスサイクルもレーサー同様です。どーしても欲しいっていう人がミニサーキット用や本気モタードレース用に買うのはいいでしょうが、ツーリングや街乗りに使うならKTM690LC4シリーズのほうがオススメです。
BMWやアプリリアからも650シングルが出ていますが、これは試乗したことがないので何とも言えません。ただし、カタログスペックからはサーキットを走りたいという希望があればDukeをオススメします。主にツーリングに使うならDuke以外を(笑)。
○中古車情報
具体的な物件を挙げるのは自分の役目ではありませんが、今のところどうやらDukeをサーキットで使用するライダーは極めて少ないようですし、ツーリング向きでないと気づいて手放す人が多いのか(苦笑)、3000km台の低走行車両も結構流通しているようです(自分の時には1万km越えばっかりだったのに)。不景気のため、保証つきの車両でも価格がこなれていますから、今がチャンスかもしれません。出来れば保証付きにしたいですし。「外車は買ったら値段は半分」と言われますが、初代オーナーが半額にしてくれた後はそれほど価格が下がらないのも外車です。
総評。
メチャメチャイイです。トミン29秒くらいでウロウロしている貴方!Dukeを買えばきっとシアワセになれます(Duke投入前の自分の持ちタイムが29秒台)。ご存じの通り、トミンであってもレコードタイムはリッターSSが出しているわけで、決してどこを走らせても最速が目指せるバイクではありません。しかし、持ちタイムが29秒台くらいの方であれば、このバイクを上手に乗りこなしてゆく過程で、ものすごく多くのことを、SSよりはるかに安全に学べるはずです。車両価格がちょっと高く感じるかもしれませんが、なにしろ非常に転倒しにくいバイクですので、結果的に安上がりになるはずです(註:タイヤはケチらないこと!)。Dukeで27秒台前半、あわよくば26秒台を出してからSSに戻れば、少し慣れたら超絶に速くなるでしょう。パワーとポジションに慣れるだけですから、若さがあれば大丈夫。自分は若くないので、もはやSSの加減速に耐える体力がないし、SSのポジションでは骨折の影響が残る左足でのシフトチェンジが不自由なので、SSに戻るつもりはないんですけどね(笑)。…こんなこと書いて、Tuono乗りこなせなかったらどうしよう?…その時は、Tuonoのステップ周りはMilleと共通って言い訳をしようかな(苦笑)。
数字に表れるスペックでは、何一つ飛び抜けたところはない。しかし、組み上がったそのバランスが素晴らしい。そういうバイクだと思います。
おそらく、過去最もバンクしている写真。そろそろ転倒ゾーンが近づいて来ているので、気をつけよう(笑)。これからも無転倒記録を伸ばして楽しく走れますように。写真はヨウさん、さむ。さんからいただきました。どうもありがとうございます。
だーさわちゃん
ナイスインプレ~
ここまで書いてもらえたら
来月からdukeうりあげ バイバイで
スポンサーさんも右派右派~
と業界風に
(ほんと?)
まあ めぐり合えた
THE oneって感じですね
うひ
それでも売り上げ倍々になれば多少は感謝してもらってもいいはずですけど、自分が買ったディーラーでは2011モデルのDuke Rは既に完売です。Rが発売になる前から噂を聞きつけた人が待ち構えていたらしく、キャッシュバックキャンペーンと重なったこともあって、ほぼ発売と同時に売り切れたような状況だったそうです。でも、みんな街乗りとツーリングにしか使わないんだと。勿体ない。だったらRは俺によこせ!と小一時間(笑)。
とはいえ、自分はRよりも標準仕様のカラーリングの方が好きなので、負け惜しみじゃなくて標準Dukeを買って良かったと思っています。ほんと、巡りあったって感じですね。コイツのいない2010シーズンはちょっと想像できないです。
走るたびにどんどんタイムが縮む上り調子だった骨折前はともかく、復帰後は出口の見えないトンネルのような伸び悩み状態が数年も続き、ライディングに関する自信をすっかり喪失気味でしたから、それを回復させてくれたDukeにはほんと感謝してますね。
Dukeは乗り出したばかりなので大変参考になりました。サーキット走行はあまり行きませんが、峠などでDukeの実力を味わっていきたいと思っています。
またちょくちょく覘きにきますので、宜しくお願いします!
自分の記事の内容は、スポーツライディングに関してはサーキットを想定して書いています。峠道でDukeの真価を引き出そうとすると、命がいくつあっても足りないんで、峠は軽く流して景色を楽しむ程度がいいんじゃないかと思います。運動性能の高さは、走行の余裕として使うといいでしょう。
サーキットで攻め込んだ時の旋回力についてはビックリするくらいですので(街乗りや峠の走行からは想像できないと思います)、せっかくですから是非ともミニサーキットに持ち込んでみてください。楽しいですよ~。他のバイクでは出来ない経験が出来ること請け合いです。
ナニナニ、ミニバイクより挙動の学習になる??
たしかに身長191cm、体重90kg以上の僕にとって、SSは「もっと標準体型の人って前傾してんじゃね?・・フロント荷重足りなくね?」とか、
600でも、小さなサーキットだと、「普通の人がワンクラス排気量下げて乗るトルク感じゃね?」という疑問をちょうど最近抱いてるもんですから・・今夏はWR250Xの旋回性に感動もしましたし・・。
かといって、50歳を過ぎて180psとかを駆る経済力と動体視力を持って居られないのであれば、早めにリッターSSを~とかも思いますよ~・・。
うーむ、悩み方が両極端ですねえ(笑)。まずは、mffactory02さんが何をしたいのかをハッキリしないと選べませんよね。
多少回り道しても自分の技術を磨きたいのであればDuke、自分の技術向上は置いといて、今の技術でとにかく一番速く走りたいなら10Rでしょうかね。
自分の中では、いずれ「もう練習が面倒くさい」「もうこれ以上上手くならない」という気持ちになったら、S1000RRや10Rのような大パワー・フル電子制御バイクを買うことになるのかなと思ってはいますが、今はまだそうではないです。自分の手でスロットルやブレーキをコントロールしてバイクを操る技術を身につけたいので。Dukeは電スロですが、これはトラクションコントロールとは全く別モノですから、開けすぎれば普通に転びますからね。
mffactory02さんの体格については初めてお伺いしましたが、体格とR6での持ちタイムから予想すると、Dukeでトミンを走ったら28秒台前半を出すのは難しくないでしょうが、27秒台に入れるは結構大変だと思います。自分の体重が67kgくらいですから、25~30kg違うとなると、66馬力しかないDukeだと目に見えて加速が落ちそうですから。なので、690 Dukeまたは690 Duke Rに乗り換えるならば、タイムを出すためでなく自分の技術を磨くためと割り切ったほうがいいかもしれません(とはいっても、今のR6のタイムを上回るのは全然難しくないと思います)。
191cm・90kg以上もあれば、フロント荷重が足りないなんてコトはないと思いますよ。小柄な人が一生懸命ハングオフしてやっている荷重移動が、軽いリーンインやチョイ伏せで出来たりするんじゃないかと。自分は座高はmffactory02さんと変わらないと思いますが、手足が短いので苦労してます(笑)。
600マルチは2台所有しましたが、(CBR600F4、CBR600RR)、トルク感を感じたことはないですね。約1万回転以上回すとちゃんとパワーが出てきますが、「トルクがある」と思ったことはないです。とにかく、常に回り切っているようにしてやるのが600のエンジンの使い方かな、と個人的には思っています。この辺は600乗りの方からは「違う!」と突っ込まれるかもしれませんが。
90kg台の体重なら、600のパワーがあればスポーツ走行を楽しむ程度では大きなハンディになることはないような気がします。自分の回りにも、結構なメタボ体型でも馬鹿っ速の人たくさんいらっしゃいますからね。
個人的には、その体格であれば690シリーズよりも990SuperDukeシリーズの方が合うんじゃないかなあ?と思ったりもします。自分がTuonoを次期主力戦闘機に選んだのは、富士スピードウェイでの走行を念頭に置いたからで、筑波だったらSuperDukeの方がDukeと相性のよい自分には合ってるんじゃないかと思っているんですよ。極めてクイックな旋回性っていう雑誌記事だけでなくて、筑波で追走してみるとSuperDukeと自分のDukeのコーナリングがよく似ていると言っている友人もありますので。
そういうことで、自分の中では乗り換えてすぐ馴染めそうなSuperDukeが次期戦闘機の最有力候補ではあったのですが、SuperDukeは200km/hオーバーでの直進安定性が今ひとつという話もあり(現行モデルは不明)、250km/h以上で普通に走れそうなTuonoにしたんです。現行SuperDukeが200km/hで真っ直ぐ走るかどうかなんて、市街地での試乗なんかじゃ確かめようがないですからね(苦笑)。
あと、180psを体感するだけなら、レンタルバイクって手もありますよ。丸1日(もしくはそれ以上)借りられますから、高速道路を使ったツーリングにも出かけられます。リッターバイクを1日借りれば2万円以上すると思いますが、気合い入れて買った後で「しまった!」と言うよりはマシかもしれません。実際に自分の友人にも、レンタルで自分の好みに合うか確かめてから、それと同じバイクを購入した方があります。
Dukeと迷うくらいでしたら、mffactory02さんが180ps級がホントに欲しいのかどうか、思う存分試乗してからでも遅くないように思います。とはいえ、サーキットに持ち込んだらさすがに怒られるでしょうから、それは無理だと思いますが(苦笑)。
690DUKEへの思いを断ち切れた気がします(また復活するかもだけどね、笑)。
ハイパワー賛美は、僕はあまり無いんですよ、北海道でレンタルでZZR1400も乗ってみたんですが・・。
それよか中間トルクと僕の体重とのバランスを気にしています・・。
今のベスト、トミン29秒台、桶川49秒台をラクに出したい、というのがリッターSSへの眺望であります・・600だとけっこうシビアに回転下げないようにしてないとだし・・。
それ以上のタイムはあまり望んでません・・あくまでツーリングも視野に入れたタイヤ選択で、サーキットは楽しめるレベルで止めたいんです。
とはいえ、Broccobirdさんの方法論と巧みな文章にはヒジョウに魅力を感じるので、このブログは今後も来ますがね!
あら、そういう目標でしたら、むしろDukeはピッタリですよ。楽にソコソコのタイムを出すなら最高です。自分はDuke投入前のトミンベストはR1での29秒0でしたが、Dukeは初走行で29秒1でしたからね(タイヤは2008生産のα10)。
本文に書くのを忘れましたが、SSと同じタイムであれば、走らせるのに必要な体力はもう全っ然違います。もちろん、Dukeのほうが遥かに楽です。また、同じタイムならDukeのほうが怖くないです。
問題になるとしたら、600や1000のSSだと上手い人が乗ればトミンで25秒台が狙えるけれど、Dukeでは上手い人でも26秒台後半だろう、ということくらいでしょうか。ただ、この辺りの比較は自分レベルだとあまり意味がないんですよね。SSだと自分の能力ではバイクのポテンシャルの30%しか引き出せなくても、Dukeだと70%使えるなら、ライダーが自分ならDukeのほうが速く走れるってことです。中間トルクは標準Dukeでもトミンなら問題ないですし(筑波だと5000回転付近のトルクがもう少し欲しくなる)、Duke Rならまず大丈夫でしょう。トミン同様、前後α10を履いて筑波を走ったら初走行で11秒台だったので、公道タイヤでそこそこのタイムってのもまあ合格かと。
というわけで、もう一度悩んでいただきましょう(笑)。まあ、バイクは買う前に悩むのが一番楽しいという説もありますからね。個人的には自分が乗ったこともないのに990 Super Dukeを買って欲しいなと思っていますが(笑)。トルクがあるエンジンがご希望なら、1000ccクラスのVツインのトルク感はいちど体感すると病みつきになりますよ~。いま1000ccクラスのVツインスポーツを発売しているメーカーはDucatiとKTMしかありませんが、Ducatiは下駄や長距離の相棒にはちょっと...と思っていますんで(最近の年式はそうでもないようですが、2000~2004年式くらいはトラブルが多いので)、KTMがいいのかなと(Tuonoはもう在庫を持っている店がほとんどないと思います)。
そうそう、Ducati Monster1000S(空冷)での桶川初走行では49秒台が出ていますので、1000ccクラスの軽量ネイキッドはミニサーキットでも十分遊べますよ。このときはバイクに乗るのも半年振りで、走り込みなんてゼロって状況でしたからね。カタログ値で84馬力しかないバイクですが、フットワークの軽さと中低速トルクの厚み、トラクションの良さのおかげで、結構なタイムで走れます。その意味では、空冷のMonster1100も悪くないと思います。自分も市街地での試乗では好印象で、そのショップがKTM併売店でなければ買っていたかもしれません(自分が所有していたMonsterS4、1000Sの2台より乗りやすかったです)。最近の年式ではトラブルが随分減っているようですからね。
低速トルクを体感するだけなら公道試乗で十分ですので、購入前に冷やかしででもお店に遊びに行ってみてくださいね~。
購入レポート楽しみにしていますので、mffactory02さんのページも時々遊びに行かせていただきますね。おホメいただいて光栄かつ恐縮ですが、こちらのBlogはもうネタ切れで(笑)、大したことは書けませんけれども、よろしかったら今後ともお付き合いくださいませ~。