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何を信じればいいのか?~前回記事内容の破棄とお詫び~

2011-01-27 19:37:16 | 社会・経済

前回、奈良の事件を取り上げてみましたが、偶然この件に関するジャーナリストのオンライン記事に行き当たりました。こちらが真相なら、とんでもないことが起こっています。

魚住 昭 責任総編集ウェブマガジン「魚の目」
悪いヤツなら殺していいのか? 裁判員による付審判裁判が始まる奈良警官発砲事件
http://uonome.jp/read/1017

「もしかしたら警察犯罪かも知れないな」という思いは頭をよぎったのですが、前回のエントリーでご紹介した読売オンライン記事などの情報からは、その可能性は低いだろうと考えていました。また、わざわざ犯人を狙撃するなら、それなりの理由があって然るべきでしょうから、その意味でも警官が必要もないのに発砲したとは普通は考えにくい。このため、拳銃の使用そのものは妥当であっただろうと考えていました。

とはいえ、自分としては「いくら逃走犯であっても、運転席ならともかく助手席に弾丸を撃ち込む必然性は高くなく、付審判請求の受理は妥当だ」と思っていたのですが、「魚の目」記事が真相なら、それどころの話ではない。

しかも、「撃たれた28歳男性は窃盗犯ではない」と運転席の日本人男性が明言しています(運転席男性の単独犯行)。となると、この「魚の目」記事が真実であれば、犯罪者ですらない一般男性が、必要もないのに射殺されたことになります。

前回のエントリーは、警察の発表の通り、一般車両に猛スピードで衝突しながら逃走し、取り囲んだ後も警官をひき殺そうと暴走する凶悪犯罪者を想定したものでした。もちろん、助手席の男性も窃盗犯だと思っていました。いわゆる「外国人窃盗団」に近い存在を念頭に置いたもの。

盗みを働き、一般市民と警官の命を奪いかねない暴走を続けたなら、運転していなくても撃ち殺されても仕方ないだろうに、家族はなぜこうも執念を燃やして訴訟に持ち込もうとするのか?

そこで立てた仮説が、「在日外国人だから射殺された」「在日外国人だから裁判に取り上げてもらえない」という差別意識が家族にあったのだろう、というものでした。ところが、「魚の目」記事がホントなら、こんなの全然関係ない。仮説を破棄するとともに、憶測による記事で傷つけた、亡くなった男性とご家族、在日外国人の皆様に深くお詫び申し上げます。

「魚の目」の記事が真実かどうかは、自分には検証する術はありません。しかし、

・たとえ警察の主張通りに車両が暴走状態であったとしても、
 その制止のために助手席の男性を撃つ必然性の検討がを行うべき
・「助手席男性は窃盗犯ではない」という運転席の日本人男性の証言は
 検討する価値があると思われる(警察によると助手席男性が主犯格らしい)

という2点から、「この事件の付審判を受理した裁判官の判断は適正である」というのが現時点での自分の意見です。ただし、おそらく「殺人罪」には当たらないだろうと思っていますので、「特別公務員暴行陵虐致死」を訴因とする付審判の受理は妥当でも、「殺人罪」としての審理を求める訴因変更請求を受理するかどうかは正直微妙だなあと思っています。このあたりは一般市民が受ける「殺人罪」のイメージではなく、法律用語としての「殺人罪」の定義、適用範囲をしっかり理解していないと意見のつけようがないのですが、さすがにそこまで調べられていませんので。

後者について、死亡した男性の窃盗容疑については「被疑者死亡のため不起訴」となっており、公式には容疑者扱いされたままです。今回の付審判で取り上げられなければ、死亡した男性の汚名を濯ぐ機会は永遠に訪れないでしょう。もちろん亡くなった男性の窃盗容疑は訴因には含まれませんが、警官の発砲行為の妥当性を議論する場で、裁判所による公式見解が示されることでしょう。運転席の男性が故人の名誉のためにウソをついている可能性もありますが、ウソかどうかを吟味する場が必要だと思います。この事件では、今まで一度も裁判は開かれていないのですから。

今回の件は裁判員裁判となっています。自分には限られた情報しかありませんが、裁判員の皆様には双方の言い分を聞いた上での公正な判断をお願いしたいと思います。警察の主張通りに極めて悪質な暴走行為であったのか、それとも「魚の目」記事が正しいのか、はたまた両者の主張の間に真実があるのか。

それから、マスコミ各社に。読売朝日毎日MSN産経のオンライン記事からは、上記のような情報はまったく読み取れません。このため、ネット上では亡くなった男性、そのご家族、および在日外国人全体に対する批判、攻撃的なコメントが大量にみられます。また、担当裁判官および指定弁護士への批判、攻撃も。その一方で、ほとんどのコメントは警官に同情的でした。

報道によって、どういう世論を導くのか?「取材した事実だけを、意見を加えずありのままに書けば公正性が保たれる」というわけではありません。たとえ真実を書いていても、全体の一部分だけを取り出して報道することによって、全体像を著しく歪曲することは容易です。今回の場合の「真実の一部分」とは、「警察、裁判所の発表ではこうだった」ということ。訴える者、訴えられる者、裁く者の3者のうち、2者の立場からの発表しか上記4誌のオンライン記事には反映されていないように思います。警察官による犯罪の有無を問う裁判ですから、これで公正な記事が書けるのでしょうか?

上記オンライン記事を書いた4誌の記者には、法律の専門家でない一般市民にもわかりやすく、かつ充分な判断材料を提供して頂きたいと思います。同時に、不十分な情報しかないにもかかわらず、憶測で偏見に満ちたBlog記事を書いた自分自身も深く反省しています。改めて、前回の当Blog記事によって傷つけられた皆様に深く陳謝致します。


ニュースを読むのは難しい。

2011-01-26 00:22:37 | 社会・経済

自分がニュースをBlogネタに取り上げることはほとんどないんですが。

まずは、ネットニュースの紹介。ソースは読売オンライン。

警官発砲、殺人罪でも審理…奈良地裁付審判
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110124-OYT1T00969.htm

これをパッと読むと、素人目には
「取り囲むパトカーに車をぶつけながら逃走しようとする犯人に、警官が銃を発射したところ、犯人が死亡した」
「銃を発射した警官が、裁判で殺人罪に問われることになった」
ってことになるんですね。で、このニュースに対するネットの反応は、概ね裁判官に対して批判的・・・というか、攻撃的。

「職務を忠実に遂行した警官が可哀相だ」
「裁判官どういうつもりだ」
「引き受けた弁護士出てこい」

って調子。

自分も、記事を目にした最初は「有り得ねー」と思いました。が、よく読んでみると、どうやら様子が違うみたい。裁判所が、裁判所の裁量で殺人罪としての審理を追加したように受け取ったのだけれど、どうやらそうではない。そう勘違いしたのは、「付審判」という法律用語を知らなかったから。

コトバンクによると、「付審判」とは

「 主に公務員職権乱用に関する告訴告発検察官が不起訴とした事件について、告訴・告発人の求めに応じて裁判所独自判断で開く刑事裁判のこと。検察官ではなく、裁判所から指定された弁護士が検察官役を務める。」

ということだそうです。

そうすると、検察官が殺人罪として公訴しなかったことを不服とした逃走犯の家族が、裁判所に殺人罪として審理することを要求し(訴因変更請求)、裁判所がこれを受け入れた、というのが事実の流れです。

ということは、裁判所が「殺人罪として審理すべきだ」言い出したわけでもないし、弁護士さんも裁判所から指定を受けたから引き受けたに過ぎません。犯罪を犯して逃亡中だったとはいえ、我が子を殺された親が「過失致死だけでなく、殺人としても審理して欲しい」と裁判所に請求し、裁判所がこれを受け入れた、ということです。

普通に考えれば、犯罪を犯して逃亡中の車がパトカーに体当たりしてるんだから発砲は当然で、訴因変更請求は即座に棄却してもよさそうだけれど、そうしないほうがよい理由もいくつか思いつきます。

こうしたデリケートな内容をインターネットブログに公開するのはためらいがありますが、理由を挙げてみます。

前提としての確認事項です。逃走犯2名のうち、死亡した容疑者は助手席に乗っていました。制止するためだけなら、タイヤか運転手を撃てば済むことです。もうひとつ触れておくべきことですがーこの問題をBlogで取り扱うのは非常に抵抗があるのですがー容疑者が在日外国人であるらしいこと(読売オンライン以外のニュースソースによります)。

逃走犯の親の立場で考えます。グレていても息子は息子です。お子さんがいらっしゃる方は想像されたし。望んで選んだわけでもない苦難の異国生活のうちに、グレた28歳の息子が盗みを働いたとはいえ、自分たち家族を苦しめた国の警官に射殺されたという場面設定。
1)「容疑が窃盗であれば、発砲まですることはないじゃないか」
2)「逃走を制止するためであれば、タイヤを撃っても、運転手だけ撃っても目的は達せられたはずだ。助手席の息子を射殺する必要はないだろう」
3)「日本人であれば、射殺されることはなかった」

1)については、窃盗容疑はともかく、取り囲むパトカーに車をぶつけて逃走しようとしているわけですから、パトカーに乗る警官の危険、暴走による周囲の一般市民の巻き添えの危険を考えれば拳銃の使用は妥当で、結果的に逃走犯が死亡する結果となってもやむを得ないように思います。また、容疑が窃盗であっても、パトカーに車をぶつけてまで逃亡しようとするなら、他にも余罪があると自己申告しているようなもの。ですから、これを理由に訴因変更を受理する必要はない。しかし、2)、3)についてはちょっと考える必要があるでしょう。

3)についてはニュースで触れられていませんので想像の域を出ませんが、親御さんにはきっとこういう思いがあるのではないかと。悲しいけれど、長年日本で暮らしてきて、程度の差はあっても何らかの差別を経験したことのない在日外国人の方はまずいらっしゃらないだろう、と自分は思っているので。そうでなければいいのだけれど、確認しようもないし。

そういう前提で、3)について今度は裁判所の立場で考えます。裁判所が訴因変更請求を棄却するならば、「日本人の多数に付審判が認められているのに、自分の息子のケースで認められないのは差別だ」という言い分を与えることになります。「差別の証拠」を作ってしまうわけです。2)のような検討課題があるのに殺人罪としての審理を裁判所が拒否するなら、3)の証明に他ならない、ということになります。「裁判所の審理棄却が、日本における外国人差別の実態を証明する」という論理です。

こうして考えてくると、一般の日本国民の感覚では不当な付審判請求に見えても、裁判所としては受理せざるを得ないという判断も理解できます。「差別のために射殺されたのではない」と判決文で言うためには、差別と言われかねない要素を裁判の流れの中から極力排除しなければなりません。

この場合、裁判所が弱腰だという批判は現時点では当たらないと思います。付審判を行うことは、「殺人罪にあたるかどうか審理して欲しい」という希望を受け入れたに過ぎず、結果として出される判決には関与しません。むしろ、3)の要素が一部なりと排除されたことで、より厳しい結論を導くこともあるかも知れません。訴因変更請求を受理することが、「発砲した警官には差別意識の有無を検討する余地があっても、少なくとも裁判所には差別意識はない」という宣言になるわけですからね。弱腰かどうかの判断は、判決を待たなければならないでしょう。

このあたり、尖閣諸島問題とは状況が異なると思います。尖閣諸島問題では、体当たりしてきた漁船の船長は日本の法律で裁かれることなく釈放されてしまいました。今回の場合、日本の国内法でしっかりと審理が行われるのであって、逃走犯の本国に裁判を任せてしまったわけではありません。

そういうことで、ニュースを読むのは難しいなというのが感想です。

今回の場合、たったひとつの「付審判」という用語を知っているかどうかで、ニュースから受ける印象がすっかり変わってしまいます。今回は「付審判」という用語をWikipediaとコトバンクで検索して調べた結果、記事を読み直して自分なりの上記の結論に辿り着いたわけですが、これがテレビニュースとかで聞いただけだと、「なんじゃそりゃあ!?真面目に仕事したお巡りさんが、殺人者として刑事告発されるのか!?検察も裁判所も何を考えとるんじゃ!?」と激しく誤解したままで終わっていたでしょう。

ニュースを見て裁判官や担当弁護士さんに対する憤りを感じていらっしゃる方に。自分も最初は同じ思いでしたが、裁判が終わるまで少し様子を見てみましょう。

あと、読売オンラインさんに。

みんなが法律用語の知識があるわけではないのだから、もうちょっとわかりやすく「付審判」の解説をしてください。「今回の場合は、当初奈良地検によって不起訴とされたが、死亡した男性の家族がこれを不服として付審判請求、特別公務員暴行陵虐致死罪として起訴されていた。昨年11月、さらに殺人罪での審理を追加するよう裁判所に訴因変更請求し、裁判所がこれを受理した」とか。

また、知識がないままに今回のオンライン記事を読むと、裁判所が主体となって警官2名を殺人者として取り調べることに決めた、という印象を持ちやすいと思います。これでは、現場の警官の士気が下がること請け合いです。真面目に働いているお巡りさんがやる気を失わないよう、正しい理解を導く文章構成をお願いします。

最後に、上記リンク先の読売オンライン記事を引用して掲載します。リンクフリーはインターネット界の常識と理解していますが、引用掲載は著作権法上問題があるということであれば削除しますので、そのあたりの事情に詳しい方はお手数ですがコメント欄にご指摘下さい。

以下、読売オンラインより引用。

 奈良県大和郡山市で2003年9月、警察官が逃走中の車に発砲し、助手席の男性(当時28歳)ら2人が死傷した事件を巡る付審判の公判前整理手続 きで、奈良地裁(橋本一裁判長)は、特別公務員暴行陵虐致死罪などに問われている警察官2人について新たに殺人罪でも審理することを決めた。

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 決定は20日付。付審判は、特別公務員暴行陵虐罪などの告訴・告発人が、検察官の不起訴を不服として請求し、開かれる刑事裁判で、最高裁によると、1951年以降、殺人罪が訴因に加えられるのは初めて。裁判員裁判で審理される。

 殺人罪でも審理されることが決まったのは、同致死罪に問われている東芳弘巡査部長(34)(当時は巡査長)と、同致傷罪に問われている萩原基文警部補(34)(当時は巡査部長)。

 同地裁などによると、検察官役の指定弁護士が昨年11月、2人には殺意があり、共謀していたとして殺人罪を加えるように訴因変更を申し立てていた。

 10年4月14日付の付審判決定によると、東巡査部長らは03年9月、他の警察官とともに窃盗事件の逃走車両をパトカーで追跡。車がパトカーに衝突するなどして逃走を図ったため、東巡査部長らが計8発、発砲した。このうち東巡査部長と萩原警部補が撃った計2発が男性の首などに命中し、約1か月後に死亡した。運転していた男性も負傷した。

(2011年1月24日21時49分  読売新聞)

なんだかなあ。

2009-02-03 20:57:01 | 社会・経済

ついに来ました、「振り込み詐欺」の釣りメール。もちろん、返信などしないで放置しています。

フシギなのは「なりすましメールをブロックする」設定になっているのに、なぜ自分の携帯で受信してしまったのか、です。手当たり次第ランダムなアドレス宛に発信するのは、携帯電話経由だと相当大変なはずですが。

最近は「振り込め」ではなく、バイク便を使って金銭を集める手口が増えてきているとか。「マジメに働いても報われない」と思ってしまったら、一部の人は「捕まらなきゃなんでもアリ」って方向に流れてしまっても不思議はないのだけれど、なんだか寂しいですね。世の中もう少しなんとかならんのかなあ。誰でも頑張れば楽しい生活が出来る、となって欲しいもんです。