Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

11/17(金)藤原晶世・藤原秀章・青木尚佳・開原由紀乃の室内楽/幼なじみが生み出す息の合った楽しげなパフォーマンス

2017年11月17日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
第151回東京芸術センター定期演奏会
藤原晶世 室内楽コンサート


2017年11月17日(金)19:30〜 東京芸術センター 天空劇場 自由席 1列 1番 2,000円
ヴァイオリン/ヴィオラ:藤原晶世♥
ヴァイオリン:青木尚佳♣
チェロ:藤原秀章♠
ピアノ:開原由紀乃♦
【曲目】
エルガー/山中惇史編:愛の挨拶 作品12(Vn♣/Va♥/Vc♠/Pf♦)
クライスラー/山中惇史編:愛の喜び(Vn♣/Va♥/Vc♠/Pf♦)
ブラームス:チェロ・ソナタ 第2番 ヘ長調 作品99より 第2楽章(Vc♠/Pf♦)
クライスラー:ウィーン奇想曲(Vn♥/Pf♦)
ポンセ:エストレリータ(Vn♥/Pf♦)
J.S.バッハ:イタリア協奏曲 BWV971(Vn♣/Va♥/Vc♠)
サラサーテ:ナヴァラ 作品33(Vn♥/Vn♣/Pf♦)
クライスラー:プレリュードとアレグロ(Vn♣/Pf♦)
モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第1番(Vn♣/Va♥/Vc♠/Pf♦)
《アンコール》
 モンティ:チャールダッシュ(Vn♣/Va♥/Vc♠/Pf♦)

 会場の東京芸術センターは北千住の駅の近くにあり、天空劇場は建物の21階にあるところからこの名がある。ロビーの窓から見下ろす東京の夜景は絶景であるし、ホール内も上方に窓スペースがあり、空が見えるコンサートもできるとか。
 ヴァイオリンの藤原晶世さんが中心になり、弟の藤原秀章さん、晶世さんの同級生の開原由紀乃さんと地元北千住出身で子供の頃から仲良しの青木尚佳さんをまじえての室内楽のコンサートである。そういうと何やら身内によるお楽しみ会のように見えるが、晶世さんと開原さんはベルリン芸術大学に留学中、尚佳さんはロンドンの王立音楽院の大学院に留学中、秀章さんは東京藝術大学大学院修士課程に在学中ということで、4名ともかなりの実力者であり、なかなか顔を合わせて演奏する機会も作れないような間柄だ。今回は運良く仲良し4人組が揃っての(多分ぶっつけ本番に近い)室内楽のコンサート。プログラムを見れば分かるように、名曲中心でややとりとめのない感じもする。面白いところとしては、晶世さんがヴァイオリンのソロ曲以外ではヴィオラを演奏するという器用なところを見せることだ。ヴァイオリニストでたまにはヴィオラも演奏すると言う人は時々見かけるが、同じ演奏会の中でヴァイオリンとヴィオラを使い分けるというのは珍しい。


 というわけで、本日のコンサートは、基本的にはピアノ四重奏で、弦楽の3名(晶世さん、秀章さん、尚佳さん)がそれぞれソロの曲もあるという構成になっている。
 当日は自由席で、ご存じのように大好きな尚佳さんが演奏する時はいつも最前列のソリスト正面で聴くのが通例なのに、今日は理由あって最前列の左端の席で聴くことにした。実は、前日の夜から風邪の症状が現れ、今朝になったら痛みを伴う咳がひどく、声が出ないような状態になってしまっていた。高熱が出なかったところをみるとインフルエンザではなかったことがせめてもの幸いであった。演奏家の真正面で咳が止まらなくなったら迷惑をかけてしまうので、比較的空いていたこともあり、一番端に待避したという次第である。
 もうひとつ、不幸なことに(?)、この天空劇場は音も天空に広がってしまうのか(?)、まったく響かない。多目的ホールだからやむを得ないが、演奏する人が可哀想になるくらい、音がどこかへ消えてしまうのである(天井はあるのに・・・・)。だから、端っことはいえ最前列で聴いたのは正解だった。反響や残響がないと、音は距離の二乗に反比例して減衰してしまうので、後方席の方では音が届かなかったらしい。逆に近ければ、楽器のナマの音だけが聞こえてくるので、それはそれで生々しいことになる。いずれにしても、演奏する側は大変苦労することは間違いないホールであるようだ。

 そういう状況なので、演奏についての詳細なレビューし差し控えることにしたい。音は聞こえづらいし、こちらも体調が悪くて集中して聴くことができない・・・・。とはいうものの不思議なもので、演奏中はほとんど咳は出なかった。私のいた前方の左ブロックで大きな咳をし続けていたのは私ではなく、ひとつ後ろの席にいた人。やはり辛かったようで、後半は帰られたようだった。

 主役の晶世さんがヴィオラを弾きピアノ四重奏してい演奏したエルガーの「愛の挨拶」とクライスラー「愛の喜び」は、ほとんど真横で聴いていたためいささかバランスが良くなかった。開原さんのピアノは安定していたが、弦楽の3人は音が響き合わないのでハッキリ聞き分けられたりする。秀章さんのチェロが時折グインと大きく抜け出して来ていたのが印象に残る。 
 ブラームスの「チェロ・ソナタ」はバランスも良く、しっとりとして濃厚な質感が素晴らしかった。
 クライスラーの「ウィーン奇想曲」では、はじめて晶世さんのヴァイオリンの登場となった。やや鋭角的な印象でキレの良い演奏だ。ポンセの「エストレリータ」ではロマンティックな曲想がしっとりと歌われるが、時折男性的な(?)力感も感じさせる強さを併せ持った演奏だ。
 バッハの「イタリア協奏曲」は弦楽三重奏で。演奏は端正なだけでなく、若々しくフレッシュな印象で勢いがあった。ところが、何しろ音が響き合わないので、3つの声部がクッキリと分かれて聞こえて来る。和声感が薄いのである。

 後半はサラサーテの「ナヴァラ」から。ツイン・ヴァイオリンである。高速のパッセージなどピタリと合わせてくるのは見事。幼なじみの信頼感だろうか、リハーサルの時間もあまりなかったはずなのに、さすがである。
 クライスラーの「プレリュードとアレグロ」は尚佳さんのソロで。響かないホールで客席に音を飛ばそうとして、やや力みのある演奏に思えた。その分だけちょっと荒い感じもしたが、パッションを強く押し出した演奏で、技巧的な面の安定性も十分であった。
 最後はモーツァルトの「ピアノ四重奏曲 第1番」で、本日のメイン曲である。四重奏になると、やはりピアノが和声感を押し出せて有利になる。弦楽は、演奏はシッカリしているのはよくわかるのに、響きが薄いために音がうまく重ならないのが残念。真横で聴いていせいもあるかもしれない。やはり正面で聴くべきであったかと、後悔した。
 アンコールはモンティの「チャールダーシュ」。ピアノ四重奏版は主旋律が各パートに分散してしまうので、あまり超絶技巧曲という印象がしなくなる。

 終演後は、ロビーにてファン交流会の様相となる。4名の演奏家はそれぞれ関係者に囲まれての和やかな一時である。最後は皆で記念写真といういつものパターン(?)であった。




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