Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

10/31(日)東京フィル/休日・午後のコンサート/飯守泰次郎の軽妙なおしゃべりと「2人のシュトラウス」

2010年11月03日 01時25分57秒 | クラシックコンサート
東京フィル/休日・午後のコンサート2010/Vo.46「2人のシュトラウス」

10月30日(日)14:00~ 東京オペラシティコンサートホール C席 2階 L2列 26番 1,800円
指揮&ナビゲーター: 飯守泰次郎
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
【曲目】
ヨハン・シュトラウスII: 喜歌劇『こうもり』序曲
           皇帝円舞曲
           アンネン・ポルカ
           ピツィカート・ポルカ
           雷鳴と稲妻
           美しき青きドナウ
リヒャルト・シュトラウス: 交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』
           歌劇『サロメ』より「七つのヴェールの踊り」
《アンコール》
ヨハン・シュトラウスI: ラデツキー行進曲

 東京フィルの休日午後の名曲コンサート。普段着で行く方が似合うような肩の凝らないレクチャー付きなので、クラシック音楽初心者にも十分に楽しむことができる。飯守泰次郎さんのおしゃべりは軽妙で楽しく、主に曲の背景となる事情を解説してくれた。堅苦しいアナリーゼにならずに、クラシック音楽を純粋に楽しむことができるレクチャーだった。ただし、私はほとんど知っている話ばかりだったので、その時間分、もっと曲を増やしてほしかったのだが…。

 前半は、ヨハン・シュトラウスIIの『こうもり』序曲に始まり、ウィンナ・ワルツとポルカの名曲を4曲。10月の終わりの日曜日だったが、お正月のような楽しさ。こういうコンサートもたまには良いものだ。ポルカ『雷鳴と稲妻』では、飯守さんが指揮をしながら、隠していた折りたたみ傘をとりだし、風雨をよけるパントマイム・パフォーマンスを見せたり、理屈抜きで楽しかった。
 もっとも肝心の演奏の方にはいささか難があった。ウィンナ・ワルツはなんといっても独特のウィーン訛りのリズムと典雅な弦の響きが求められる。リズムの方は、ウィーンっ子以外にはなかなか出せるものではないので、できないからといって責められるべきことではないと思うが、やはり少々重いか…。ヴァイオリンの音色にも澄みきっているとは言い難いものがあった。ワルツ『美しき青きドナウ』では、冒頭のホルンの主題が音をはずしぎみだったし、弱音のホルンは難しいとは思うが、やはのウィンナ・ワルツは優雅でないと…。

 後半は、リヒャルト・シュトラウスの2曲。ヨハン・シュトラウス一家とリヒャルト・シュトラウスとは何の関係もないので(第一、綴りが違う)、「2人のシュトラウス」というテーマも無理矢理という感が強い。共通する『ティル』はフル・スケールのオーケストラがエンジン全開で演奏してくれた。最初の主題もヴァイオリンがさきほどよりずっと美しいアンサンブルを聴かせる。金管も木管も遠慮なく音が出せるような全合奏の場面では、東京フィルの面目躍如で、大音量を響かせた。
 「七つのヴェールの踊り」は打楽器が活躍するリズミカルでエキゾチックな曲だが、打楽器奏者が6人もいて、代わる代わる10種類以上の打楽器を打ち鳴らす。2階席から見下ろしていたので、打楽器奏者たちのあわただしい動きが見えて面白かった。

 アンコールは、おそらく…と予想していたとおり、『ラデツキー行進曲』。会場みんなで手拍子をして盛り上がった。ホントにお正月みたい。とにかく、楽しいコンサートだった。こういうコンサートを通じて、ひとりでも多くのクラシック音楽ファンが増えてくれたら良いと思う。

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