昨日紹介した「原発のウソ」という本。読み進めていくと、「地球を温め続ける原発」という小見出しがありました。
なんでも、著者の小出裕章さんの恩師の一人が原発のことを「海温め装置」と形容していたとか。その言葉を目にしたとき、別の原発関連の書籍が頭に浮かびました。
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九電と原発1温排水と海の環境破壊 南方ブックレット2 価格:¥ 1,050(税込) 発売日:2009-10-29 |
この本、市内のTSUTAYAにある「かごしまの本」コーナーで見つけたものです。書店で見たとき、表紙のおぞましさに、思わず「これ、何の本?」とつぶやいたことを覚えています。1年近く前だったかな。
福島原子力発電所の事故の後、TSUTAYAに行ったとき、またこの本を手にしてみました。冒頭部分には、ウミガメ、サメ、エイなどが海岸に死亡漂着している写真が散りばめられています。海岸で漂着した魚の死体はよく見かけますけど、写真で見ると、結構ショッキングです。この本では薩摩川内市の川内原子力発電所から排出されている温排水が海の環境とそこに暮らす生き物に及ぼす影響について考察しているのですが、同じ県内の話なので、恐怖を覚えます。
で、「原発のウソ」ですが、ここにも似たような記述がありました。標準的な原子力発電所は発生させた熱の3分の1しか電気にしておらず、残りの3分の2は海水で冷却しているそうです。その冷却に使用した水は、当然のように海に戻しますが、冷却の過程で排水の温度は7℃上昇しているそうです。しかも、その排水量は1秒間に約70トン。かなり大きな川の流量に匹敵するとのこと。
薩摩川内市にも川内川という大きな川がありますが、その近くに温水を排出する川がもうひとつできたようなものなのですね。
確かに、このあたりでは昔ほど魚が獲れなくなったと聞きます。もちろん、原発との因果関係が証明されているわけではありませんけど、原因の1つとして疑いたくなっても不思議じゃありません。
温水を海に排出しているというだけでもかなり不安を感じるのに、福島原子力発電所では、事故後に、放射性物質までも海に流している状況ですから、地元の漁業者の方たちは恐ろしくて仕方がないのではないでしょうか。
「原発のウソ」に書かれている、「原発を止めても困らない」という説明が事実であり、電力会社も含めて、エネルギー政策の大転換に向けた舵取りが行われるように願いたいところです。とはいっても、玉虫色の決着や先送りが得意の日本の政治家に、大きな決断ができるのやら...。
原発のコストが安いと言っても、
その計算には最終処分方法の経費は含まれていませんし
(超深度の地下に、厳重な遮蔽固形物として貯蔵しなければなりませんので、その費用は兆単位になるのでは・・・)、
なんといっても今回の事故、
その処理や損害賠償に対する保険すら設定していないお粗末さ、
経済学的なメリットなど関係なく、
国策で推進してきたのが見え見えですね。
今まで原子力につぎ込んできた資金、
いや、これからもつぎこまなければならない資金をもってすれば、
代替エネルギーの開発など容易だったはずでは?
原子力発電所って、最先端の技術が導入されて、もの凄い英知が結集されているような印象を持っていましたけど、今回の震災・津波による事故への対応や後処理を見ていると、まだまだ人間の技術が追いついていない分野なのだと思わざるをえません。予想や予測がことごとく覆されているような...。なんだか途方もない敵を相手にしているような...。
負の遺産をどんどん増やして、将来の人たちにツケを回している気がします。既に国の借金だけでももの凄いというのに。
未来の人類にとって負の遺産でしかないではないか?トロイの遺跡やピラミッドのように、喜んで発掘したら被爆しましたなんてSF映画にでもなりそうだ。
他の国でもせっせと作っておりますが、事故は必ずおこるでしょう。その終息にかかる時間を考えると縮小、消滅の道を選んでほしいものです。
本、読みたくなって今日予約しました。勉強します。