サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

『プロ野球画報2016』

2016年11月04日 | プロ野球画報

今季、僕はシーズンを通して千葉ロッテマリーンズの試合を見、そしてそのハイライトを描いてきました。
ご承知の通り、2015年までは東京ヤクルトスワローズの試合を描いてきたオトコです。
その前、2009年は東北楽天ゴールデンイーグルスを描きました。野村克也監督時代です。
その全ては〈応援は力になる〉ということを証明するため。
選手が言う「ファンの応援が後押ししてくれました」や「皆さんの声援があったから勝つことができました」を、目に見えるカタチにしたい!そう思っています。

スワローズを描いた6年間では、シーズン中の監督交代や2年連続の最下位もありましたが、その先にリーグ優勝を経験することができました。この年(と言って昨年のことですけど)は、自分が応援しなきゃダメなんだ!と本気で思っていたし、それはスタンドを埋める多くのファンの方々も同様だったと思います。その総体が球場を覆い、大きなウネリとなって勝利を呼び込むってことが確かにあった。球場でそれを感じたことがあるという人は多いと思います。一度でもそんな経験をしてしまうと野球観戦は俄然面白くなる。野球だけじゃない、すべてのスポーツはすべからくそうなんでしょう。でもそれを言葉で伝えようとしてもなかなか難しく、結果、よく観に行く人と全く観に行かない人がはっきり分かれてしまい、その面白さが共有されることはほとんどなくなっている。勿体ないな〜と思う。浅く、ゆるくでいい。スポーツに限らず、いろんなことが広く社会で共有できるようなればいいと思う。そうすれば、きっと今より生きやすい社会になるはずだ!…なんて大きいことは言うまい。まずはスポーツがいい。中でもプロ野球がいい。何しろ毎日試合がある。毎日ドラマがある。そして、いちいち考える時間がある。メジャーを生で見たことがないから分からないけれど、向こうはやっぱりフィールドに立つプレーヤーのものという気がする。それに対し、日本の野球はスタンドの応援をひっくるめた総力戦だ。だから僕らは声をからして本気で応援するし、だからこそ“戦力”なんだ。フィールドには立たない、だけど選手。それを僕は僕なりのプレーで証明したいと思っています。ひとつの目標に向かう姿と、その先に待つ結果と可能性、その過程を分かりやすくお見せしますというのが僕の試みです。

目標は、絵描きがプレーヤーとしてチームに迎え入れられること!つまり誰もがプレーヤーとして活躍できること!

自分でもときどき「何を言ってるのかな?」って気がしてきちゃったりもするんですけど、分かりにくいかもしれないけど、そういうことです。

2014年シーズンの終了後、ヤクルト球団から「諦めてください」という最後通告がありました。
…至極、分かります。
毎年、シーズン前には今年の活動について、シーズン後はその結果報告にと挨拶に行き、その都度お伺いを立ててきました。ここまで対応していただけただけでもありがたいことです。
ただ自分としては手応えを感じていたし、あと少し、何が足りないのかもはっきりしていた。
だから「もう一年だけ、好きにやらせてください」と。別に球団からすればそんなことを言われる謂れもないのかもしれませんけど。

そして全身全霊で挑んだ2015年シーズン。スワローズはリーグ優勝を果たし、僕自身ファンの方々と一緒にその喜びを分かち合うことができたのです。
個人的な目標は達成されませんでしたが、成果を残すことはできたと思っています。
この過程は『プロ野球画報2015 東京ヤクルトスワローズ全試合』としてまとめることができました。
そして真中監督からは、“長年ありがとう”という言葉を頂戴することもできました。

巣立ちのときです。

 

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さて、ここまでが前置き。

 

いよいよ今年、2016年シーズンです。
これまでの取り組み方を再考し、新たに一から始めるべく、

僕は、千葉ロッテマリーンズの門を叩きました。

・その理由_____

昨年、一昨年と描いた絵をまとめて出版してきたわけですが、試合の絵ゆえ当然対戦チームの活躍も描いています。
結果、出版するにあたり12球団へのお伺いが必要になったのですが、どの球団でもなかなかスムーズにことは運ばず、とても苦労することになりました。
詳細は省きますが、出版にこぎつける過程においてロッテ広報の方に大変お世話になったということ。
ここでなら、僕の活動の意図を汲んでもらえるかもしれない。ここでダメならどこに行っても通用しないだろうと思い至った次第です。

春先にQVCマリンに伺い、その旨をお伝えすると、でもやっぱっり「ヤクルトのイメージが強いし、なぜロッテかが伝わりにくいよ」と。当然です。
ロッテファンからみたら、なんじゃそりゃ?でしょうし。
でも、この申し出がハネられることはありませんでした。
そして「球団としてはサポートできませんけど」と念を押された上で、いろんな意見をいただきました。
こんなやりとりが何より嬉しかった。もはや悩む理由はどこにもない、GOです!

とは言え、このときの僕はロッテのチーム状況や選手のことをほとんど何も知りません。
すべて一からのスタートです。この時点でロッテファンから罵倒されても、そりゃ仕方ない。しかし、シーズンを通して試合をしっかり見て、描き、戦い抜くことができたら、状況は変わるかもしれない。そこでジャッジしてもらおう。そう考えました。それがこれからの活動です。

今シーズンは、1カード(3試合)を1枚の絵にまとめています。
特に前半はロッテの選手の活躍のみ描いたので、絵から各試合の様子を読み解くことは難しいと思います。およそ自分が各選手の仕草や特徴を把握するために描いていただけにすぎないのかもしれません。
シーズン後半になり、選手のことが分かってくると共に試合の勝敗を決めた対戦チームの活躍も加わるようになります。
そしてシーズン終了間際、100パーセントの(と言い切りたい!)ロッテ愛によって選手ポスターを完成させました。

(A2判)

今シーズン描いた中から各選手1シーンをピックアップして配置した〈マリーンズポスター〉=『プロ野球画報2016』!

「描くことで応援していました!」と選手に伝えるためのポスターです。
着手したのは9月の上旬です。シーズン終了を待たずに制作したのには理由があって、それは外国人選手が帰っちゃう前に渡したいと思ったから。そのため終盤になって一軍初出場となった宮崎投手と香月一内野手が入っていません。ここは不徳の致すところ。
けれど、早めたことでデスパイネやスタンリッジ、ナバーロ選手にこのポスターを見てもらうことができました。唯一、シーズン終了を待たずに帰国してしまったイ・デウン投手には見てもらっていないのですが。。。

ポスターを渡す、見てもらう、それはこうして応援する輩がいるということを選手に知ってもらいたいから。なのですが、それだけではともすると自己満足に終わってしまいます。その過程を皆さんに報告できてこその「プロ野球画報」。こうして文面化するのもそのひとつですが、文章だと自分にとって都合よく書いちゃうこともできるし、いまいち説得力もありません。(文才があるわけでもないしね…泣)
やはり視覚的にも一発でそれと分かるモノが必要です。
そこで選手ポスターをA0サイズ(1189×841mm)まで引き伸ばしたパネルを用意しました。
気持ちよくポスターを受け取っていただけたら、その場でパネルにサインして下さい!とお願いしようという考えです。
そうすることで無理矢理渡すだけのヤリ逃げは許されなくなり、受け取る選手の反応をしっかり受けとめることもできます。
もちろん選手に迷惑はかけないという大前提ありきでの行動です。
やるしかない!この先にはきっとWin-Winの関係が待っていると信じています!

 

シーズン最終戦前にQVCマリンで出会うことができた選手の皆さんにポスターを見ていただきました。
一番喜んでくれたのは、スタンリッジ投手でパネルを見るなり「ワ〜オッ!」と。が、そのあと何を言っていたかは理解できず…最後に握手を求められ、通じ合えたようだと思った次第。もっと英語を勉強しとけば、と悔やむばかりです…
そうしてアワアワしながらもシーズン中、パネルにサインをしてもらえた選手は、23選手。
アリガトウゴザイマス!

でも描かれているのは、49選手です。
帰国したイ・デウン投手は無理として、残り25選手には是非ともこのポスターを見ていただきたい!
一介の絵描きがプレーヤーとしてチームに迎え入れてもらうことを夢見て!
その方向性は間違っているかもしれないけれど。

ここでは果敢にチャレンジしていくその様子をご報告していこうと思います。

 

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鴨川キャンプ(2日目)_____

 

ロッテが秋季キャンプを張る、千葉県鴨川市に参じました。


鴨川キャンプに参加している選手で、まだこのポスターを見てもらっていないのは、13選手です。
当然、練習中に声をかけることはできないので、その間はただただ見守るだけです。
でもこれがなかなか楽しい。どんな練習をしているのか間近で見ることで、いろんなことが分かってきます。
選手の素顔を垣間見ることもでき、個々の選手に対するイメージも自ずと変わってくる。

練習後に選手と接することが可能な場所はあるのか、その動線をなんとなく把握しつつウロウロ。

それにしてもこのパネル、なんとも目立ってしかたがない。
移動するのもなかなか大変です。

全体メニューが終わっても、選手個人の練習が続きます。
伊東監督が〈超追い込み〉をテーマに掲げた秋季キャンプ。
どの選手も明るいうちに上がるということはなさそう。
しかも、超追い込みのあとでは声をかけるのも憚られ…4選手に見てもらうのがやっとでした。

キャンプゆえギャラリーも多く、ちょっとやりとりしてるとドッと人でいっぱいになっちゃいます。
最後は見てもらうというより「とにかくサインして〜」みたいになっちゃって、ポスターも渡せず終い。

深く反省した鴨川キャンプ2日目です。。。

 

(つづく)

 

 

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