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つかめ「観光ビッグバン」

2008年12月06日 | 気にな~るジュルナール
観光に関する記事、気になります。

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つかめ「観光ビッグバン」
2008.12.09

■空港、ゴルフ、富士山…地方の競争激化

 2010年代、世界の海外旅行者は年10億人に膨らむ。04年実績より2億人もの増加が見込まれる「観光ビッグバン」の波をつかもうと、各国は外国人旅行者の誘致に余念がない。日本も10月に観光庁をつくったが、旅行者争奪の主戦場は、実際に外国人客を迎える地方だ。何を売り込み、どんな戦略で生き抜くのか。韓国人ゴルフ客の誘致で知られる福島、富士山観光が中国人に人気の山梨。両県の取り組みを見た。

 11月中旬の朝、福島空港の正面に立つ黄色く色づいたケヤキの前にマイクロバスが着いた。

 韓国アシアナ航空ソウル行き国際線カウンターの前に、ゴルフバッグが並ぶ。「フクシマは4回目。安い。今回は8人で来た」と、ソウルに住む元会社社長(70)は満足そうだ。予算は10万円程度からで、福島県小野町のマーサリゾートゴルフクラブ(GC)で6泊したという。

 見送りの西牧昌一・同GC業務部長は「春から月平均2千人、去年の1.5倍です。多くが1週間ほど滞在されます」。

 韓国人客によれば、近年ゴルフ熱が高まった韓国では、コースの数が少なくて予約が取りにくく、しかも食事代を入れて夫婦で3万~4万円もかかることがある。そんな事情から、韓国企業が夏も涼しくソウル便が飛んでいる福島に目をつけ、04年、県内に数カ所のゴルフ場を持つ日本企業から買収した。

 同時期に県でも、韓国人ゴルファーの誘客を狙った官民一体のセールスを展開。来県するのは主に富裕層だが、米国発の金融危機が起きるまで続いた円安ウォン高も手伝い、05年に延べ6750人だった韓国人ゴルフ客は、06年に2万6800人、07年には5万7800人と急増した。「空港から1時間程度と近い。『マレーシアやフィリピンよりいい』とお客さんは言います」(同GCのスタッフ)

 韓国人の利用増で、週3便だったアシアナ航空のソウル便は08年5月に週5便に増え、さらに7月から10月下旬までは毎日飛んだ。ただ、金融危機でウォンが暴落。9月の日本全体の韓国人旅行者は前年同月より20.8%も減少した。福島への今年の韓国人ゴルフ客も、延べ5万8千人程度と予想され、伸びはとまりそうだ。

 最近では韓国で安く買ったゴルフ会員権を利用するリピート客が増え、ゴルフ場側も、利益率を高めるため、新たな需要を開拓する必要に迫られている。「韓国人ゴルフ客については今後も明るい材料があるわけではない」と県観光交流課。ゴルフだけで帰国する韓国人客にお金をどう落とさせるか……。地元観光業の悩みはつきない。

 そもそもテロや新型肺炎、為替の変動一発で底まで落ち込む観光は、「fragile」(フラジャイル、壊れやすい)産業と言われる。来年1月末で日本航空が撤退する福島空港に寄りかかる観光戦略は危うい。

 だが、ほかに決め手もないだけにソウル便は貴重で、県は韓国人スキー客を新たに狙う。逆風のなかで、07~08年シーズンに1105人を誘致。知名度のある北海道などを上回る前年比72%増の大きな伸びを示したため、手応えを感じている。

■狙いは中国人客

 東京から約200キロ、東名高速の吉田インターチェンジ(静岡県)で降り、約15分。駐車場に車を止め、何分か坂を上ると、滑走路が見えた。

 愛称は「富士山静岡空港」。厳しい冷え込みになった11月下旬、来年3月の開港が延期となった空港の先に、富士山がくっきりと浮かんでいた。

 世界文化遺産入りを目指す富士山を「切り札」とするのは、静岡県だけではない。

 約90キロ離れた富士山の反対側、山梨県富士河口湖町にある県立富士ビジターセンターでは朝から中国人観光客が乗ったバスが何台も訪れていた。

 重慶市のケーブルテレビ会社で働く14人グループの日程は、成田から入って東京で1泊、富士河口湖町1泊、富士山五合目などを回って名古屋、京都、大阪で1泊ずつ。一行の一人(36)は英語で「日本は2回目。ツアー代金は10年前はばか高かったけど、いまはちょっとぜいたくに思うぐらいかな」と話した。

 富士山の五合目につながる有料道路「富士スバルライン」の入り口にある同センターは、パッケージ旅行の定番だ。

 「花見もできる4月には、1万人以上の中国人客が来ました。年間4万7千人と外国語対応施設としては多く、静岡の方にうらやましがられることも」(宮下吉貴センター長)

 実は、山梨県は47都道府県のなかで、県内を訪れる外国人旅行者に占める中国人の割合が44%といちばん高い。同県が中国人観光客のツアー誘致を重点戦略にしているからだ。

 個人旅行の観光ビザが出ないため、中国人の日本観光は大型バスによる団体ツアーが中心だ。旅行会社は東京と大阪を結ぶ「ゴールデンルート」の途中で、人気のある富士山観光を設定するのだ。利が薄いとの声も上がるが、公共交通機関が観光地をカバーしきれない県の弱点をバスツアーは補ってくれる。

 静岡空港が開港すると、山梨県は観光客をとられないのか。

 県国際交流課の古谷健一郎さんは「そういう心配も出てくるでしょうが、山梨への入り口が増えることになる静岡空港は大歓迎です」。空港をもつリスクを負わずに実を取れればと、期待をかけている。(中島鉄郎)

〈石森秀三・北海道大観光学高等研究センター長の話〉 名所を周遊するパッケージツアーは、米国の観光学者も「芸術的だ」と評価するほど、うまくつくられている。日本の観光を牽引(けんいん)してきたのは「官」が率いて旅行会社、ホテル・旅館、運輸会社の「産」が手を組んだツアーだった。だが、ホテル・旅館業は団体客を誘致するためコストを下げ、結果的に「安売り競争」が激化した。例えば、1泊2食3500円の料金設定では経営は成り立たない。観光客が多いと地域が活性化しているように感じるかもしれないが、そうとも限らないのだ。地元大学や農業などの「学」「産」「民」も加わって知恵を絞り、「ロークオリティー・ハイボリューム(質が低く、量は多い)」の観光を地道に変えていけば展望が開けてくるはずだ。

〈外国人観光客が多い都道府県〉 (1)東京(720)(2)大阪(244)(3)北海道(185)(4)千葉(167)(5)愛知(106)。(07年、延べ宿泊者数、単位:万人泊)


(2008年12月6日付 朝日新聞土曜「be」から)

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1 コメント

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Unknown (太陽)
2008-12-11 17:02:34
今日は久し振りに散歩に寄って見ました。(*^_^*)
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