MARKETER’S BLOG【小太郎がゆく】

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イノベーションの本質

2010年04月09日 | 気にな~るジュルナール
朝日新聞夕刊「経済気象台」より
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米国のビジネススクールでよく使われるテーゼに、「鉄道産業が斜陽になったのは、産業が斜陽になったからではなく、経営者の近視眼(マイオピア)的思考による」というのがある。

 スチーブンソンによる蒸気機関車の発明は米国の大陸横断鉄道に代表されるように、19世紀から20世紀初頭にかけて世界各国に鉄道建設ブームを巻き起こした。我が国でも地方の隅々まで多くの鉄道が敷かれた。

 これら鉄道のほとんどは既に破綻(はたん)し、残るものも斜陽の苦しみを味わっている。栄華をほこった成長産業が衰退をたどる典型的モデルとして鉄道産業は語られることが多い。

 しかし鉄道の本来の目的は「ものを運ぶ」というところにあるのであって、その視点からすると鉄道の斜陽化と軌を一にして、運送産業がわき起こってくるのである。それはそうであろう。ビジネスの基本は物価の安い所から高い所へと品物を動かすことによって利を得ることなのであって、かつてないグローバル時代の到来とともに限りない可能性が生まれつつあるのだ。

 いかに安く物をトランスポートするか、という工夫において運送業は永遠の成長産業たりうるのである。そうした状況のなかで鉄道業の経営者は「物を運ぶのは二本のレールの上を走ることだ」と思い込んでしまったが故に、眼前の大成長マーケットを見失った。これをマイオピア的経営という。

 この例からも分かるように、企業経営の最大の危機は外部ではなく、内部からくる。自らの基盤を新しき時代へどう結合するか。経営者の責任はまさにこの一点にかかる。シュンペーターはそうした新しき結合を「イノベーションの本質」とした。(可軒)
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