「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

初盆のお参り

2005年08月14日 | 塵界茫々
 今年は私の友人、親族には亡くなる人がありませんでした。珍しく初盆参りがありません。
 連れあいの方は、毎月1回、会合を持っている8人ばかりのグループから、一人が欠けました。
 穏やかな笑顔の方で、大事な場面では、力強い調子で短く、低い声でご自分の意見を述べられていました。家族同伴の旅でご一緒したことがあります。
 家人にとっては、備前在任中以来の、下手な陶芸作品を愛好して、喜んで貰ってくださる貴重な存在でしたから、手術途中の急逝に、当座はかなり落ち込んでいる様子でした。お返しだと言って、よく手づくりの柚子胡椒や、さまざまな農作物を宅急便で送っていただいたものです。

 田舎住まいで不便な所なので私の車の運転でお参りしました。片道48キロの往復の間、アキアカネが飛び交う青田を眺めながら、ご健在の頃の思い出や、お互いの身の始末が切実な問題であることが会話の中心になりました。

 机を並べた級友との別れは,親との別れとはまた別の切ない寂しさがあります。