夜、犬の散歩に出た。
彼にLINEを送ろう。
まだ仕事かもしれないけど、まぁいいや。
そう思って、メッセージを打っていたら、
彼からLINEが来た。
一瞬目を疑う。
彼もまた、犬の散歩に出たようだった。
いつもは、もっと遅い時間なのに、同じタイミングで、散歩に出るなんて、いつぶりだろ。
彼は、電話で話せるよ。と言った。
私は、躊躇なく電話をかけた。
そしたら、彼は、電話の向こう側で笑っていた。
何がおかしいの?と聞いたら、
私が、LINEを何度も取り消してるのが、おかしいのだそう。
それはね、
あなたがそこにいるのか、確かめてるだけなの。
だから、大したことないの。
すぐに既読がつかなければ、もういいや!って、消すの。
いつしか、電話は、私からかけるようになっていた。
初めの頃は、恥ずかしくて、到底できそうになかったのに。、
そのうち、
恥ずかしがって何もせずに終わるのは、残念なことだと思うようになった。
緊張してドキドキしながらでも、
ちゃんと今は、行動に移せるようになった。
では、もし、彼と会ったらどうか?
恥ずかしがっていては、時間がもったいない。
彼にとって、ここの私が心地いいなら、
私は、始めから、恥ずかしいのを脱ぎ捨てて、
何も纏わない。
見た目も、心も、
何も纏わない。
そんな風に出会えたらあいなぁ。と思った。
だから私は、訓練してるの。
そう言ったら、
彼はまた、電話の向こうで笑った。
神社で鈴を鳴らす音と、手拍子が2回聞こえる。
私も、頭を下げる。
心の中で、今日も一日ありがとうございましたと、
お互い思う。
そして、私達は、そろって歩き出した。
今、まさに、この道を2人で歩いてるかのような幸せな時間だった。