11月中旬。
彼は、仕事で私の住む地方に来ることになった。
日帰りだけど、
通り道をこっち経由にしたら、挨拶ぐらいなら、できるかな?
私の頭の中は、パニックになった。
え?今なんて言った?
会えるの?
会話は、それに深入りすることなく、他の話題になった。
その日、寝るまでずっと、そのことが頭から離れなかった。
会うだけ? それでもいいの?
どうせ会うなら、ご飯だけだけでも、ご一緒したい。
ご飯食べる時間があるなら、他にしたいことだってある。
やっぱり、挨拶だけして、別れるなんて出来ない。
じゃあ、会わない方がいいの?
会うだけでも、会っておかないと、次は、もうないかもしれないよ。
心の中の葛藤。
その時、ふと、出雲大社に参拝に行った時のことを思い出した。
縁結びの神様のところに、全国の神様たちが集まって、
翌年のその人の出会いを決めるという話を聞いた。
縁とは、恋愛に限らないらしい。
そう、私と彼が、出会うべきかどうかは、神様が既にお決めになっている。
そう思ったら、
気が楽になった。
彼に無理してもらうことではない。
成り行きに任せよう。
私の思いは、彼に、LINEでそう伝えておいた。
仕事が忙しい彼は、最近、
既読をつけるだけで、返事を打つタイミングがない。
それでも、ちゃんと伝わったと思う。
だから、
11月中旬。
私達は、会えるかもしれないし、会えないかもしれない。