吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

流星のターミナル/浜田裕介

2009-09-22 17:30:39 | 浜田裕介



『流星のターミナル』

流星のターミナルで僕が見送ったのは 
8才になったばかり あの子の背中だった
二学期が始まり 教室に置かれた
小さな白い花が 現在も胸にある

流星のターミナルで次に見送ったのは
銃弾に倒れたJohnの背中だった
YOKOと書き上げた最後の手紙は
ほんの数日前に僕にも届いてた

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで次に見送ったのは
全てに疲れ果てた友の背中だった
父親に電話で「がんばってみる」と
そう話したばかりの夜のことだった

流星のターミナルで次に見送ったのは
仮面を脱ぎそびれたあいつの背中だった
真夜中のファミレスで朝まで語り明かした
92年の初夏(なつ)伝説になった

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで次に見送ったのは
僕を一番愛した祖母の背中だった
青春などと呼べる季節も訪れず
彼女の星もまた静かに流れた

流星のターミナルで次に見送るのは
随分小さくなった両親の背中だろう
二十歳を過ぎた頃から照れくささばかりで
感謝もねぎらいも言えないままに

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで最後に待つのは
年老いて旅立つ僕の背中だろう
願わくはポケットは空っぽのままに
願わくはアルバムはあふれんばかりに

願わくは彼女はまだ 健やかなままに


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4 Comments

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流星のターミナル (優衣)
2009-09-23 18:46:04
流星のターミナルに私も佇ませて欲しい


流星のターミナル
私が見送ったのは
何も確かなものを持たない私を
きっとずっと心配しながら逝った父だった


最期にもらった手紙には
「優衣はそのままでいい。そして少しの勇気を持てば最強だ。」とも書いてあった
そんなことない、私は「ヨワムシ」だ

「去年の誕生日に贈った手紙をもう一度読んでごらん。」とも書いてあった

もちろんよ、もちろんよ
読まないわけないじゃないの
責めたかったけれども
もう私は父を見送ったあとだった


「僕のためには泣いてくれ。
でも、くだらないことでは泣かないこと。
優衣、涙も自分自身なんだよ
大切にして欲しい。」



流星のターミナル
この素晴らしい歌を私はあらためて聴く
大好きな浜田さんのお声はとても誠実だ

流星のターミナル
私は、大切な自分自身の涙で
ただ泣きながら聴いている








同じ線路で・・・ (マリウス)
2009-09-29 00:48:01
きっと人間は誰もが最強であり、ヨワムシなんじゃないかなって思いました。

同じ線路の上を、時には猛々しく、時には弱々しく、でも少しずつ違う速度で進んでいるのでしょう。

優衣さんの涙は線路沿いに花を咲かせることでしょう。旅路が満開の花で包まれるように。
 (優衣)
2019-06-22 18:39:04
私、散々考えたのですが、涙は惜しんではいけないと思います。泣いて、泣いて、気が済むまで泣いて、天を見上げたら、きっと笑えます。心から、きっと笑えます。私、強くなれました。独りではないと気がついたので。
今、私、今までで最強です。無敵で、素敵です。
お元気ですか。 (マリウス)
2021-01-15 11:41:04
>優衣さん
お元気ですか。
しばらく放置していてコメントに気がつかなくてごめんなさい。
元気に同じ空で過ごしていることが嬉しくてたまりません。
またお話しできる日を楽しみにしています。

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