吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

I'm Mr.Moonlight / 浜田裕介

2009-09-29 00:50:24 | 浜田裕介



窓から忍び込む月灯りみたいに
君の隣にそっと寄り添う
会えない時間を早くうめたくて
少し駆け足で愛してるかな

外灯の下で君が立ち止まる
静かに笑って僕を惑わす
少し流れた風光を集めて
君の周りだけ少し明るい

君を困らせたくて
手を差し出したら
自然に受け容れられて
僕は又舞い上がる

君にもし哀しいことや
辛いことがあったなら
直ぐに部屋の窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

何から話そう 今日までの事を
上手く笑わせる 自信がないな
拾った猫のこと なくした女性のこと
でも今の気持ちだけ 上手く言えない

君が目を閉じて夜にキスする
二人は夜の底 漂うプランクトン
キレイな夜だね言葉にならない
ほら僕の仲間達も
君に見とれてる

悲しみを知って君は
怖いくらいにきれいになって
僕はただそんな君を
優しく照らしてたい

君がもし本当の事や
大事な事見えなくなったら
直ぐに部屋の窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

僕が君にかけた魔法は
明日も君を困らせるから
だから直ぐに窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

流星のターミナル/浜田裕介

2009-09-22 17:30:39 | 浜田裕介



『流星のターミナル』

流星のターミナルで僕が見送ったのは 
8才になったばかり あの子の背中だった
二学期が始まり 教室に置かれた
小さな白い花が 現在も胸にある

流星のターミナルで次に見送ったのは
銃弾に倒れたJohnの背中だった
YOKOと書き上げた最後の手紙は
ほんの数日前に僕にも届いてた

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで次に見送ったのは
全てに疲れ果てた友の背中だった
父親に電話で「がんばってみる」と
そう話したばかりの夜のことだった

流星のターミナルで次に見送ったのは
仮面を脱ぎそびれたあいつの背中だった
真夜中のファミレスで朝まで語り明かした
92年の初夏(なつ)伝説になった

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで次に見送ったのは
僕を一番愛した祖母の背中だった
青春などと呼べる季節も訪れず
彼女の星もまた静かに流れた

流星のターミナルで次に見送るのは
随分小さくなった両親の背中だろう
二十歳を過ぎた頃から照れくささばかりで
感謝もねぎらいも言えないままに

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで最後に待つのは
年老いて旅立つ僕の背中だろう
願わくはポケットは空っぽのままに
願わくはアルバムはあふれんばかりに

願わくは彼女はまだ 健やかなままに

GAZA