吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

光がギリギリ届く場所 /浜田裕介

2018-10-02 14:55:49 | 浜田裕介
 光がぎりぎり届く場所

窓辺に届いた三日月が切裂いて見せた
きみの強がりは僕が思うよりずっと青かった
夜空の遠い、小さな星より、
弱い鼓動だけど、決して停まることは無い
そこは光がぎりぎり届く場所
君は鉢植えにそれでも水をやる
もしもこの歌が、そこまで届くなら、
君に伝えたい、僕はずっと君を見てる

日々の意味なんて考えず生きて来たけれど
普通に笑えることとか、悲しみさえもが今は愛おしい
その花は今も、何処かで咲き続けてる、
淡い色だけど、決して枯れることは無い
そこは光がぎりぎり届く場所
君は真夜中に闇を見続けてる
きっとこの歌は、そこまで届くだろ?
君に伝えたい、僕はずっと君の味方

誰より孤独な、最低な夜さえ
耳を澄ましてごらん、ほら聴こえるだろう?
そこは光がぎりぎり届く場所
君は鉢植えにそれでも水をやる
きっとこの歌は、そこまで届くだろ?
君に伝えたい、僕はずっと君の味方
君に伝えたい、僕はずっと君の味方





長い手紙/浜田裕介

2014-04-22 20:03:00 | 浜田裕介





フルボリュームで喚く街宣車が 日曜の朝を引き裂く
テレビではにやけたニュースキャスターが悲惨な事件を伝えてる
僕は無意識に口ずさんでる 憂鬱なあの歌を
自由という名の甘い蜜に僕らは引き寄せられ
後戻りできない長い道を 知らぬ間に歩かされてる
誰かが定義した愛や正義を無条件に受け入れて
今も長い長いこの手紙を 僕はずっと書き続けてる
いつか僕の小さな戯言が 誰かの胸に届くように

子どもらは家族の中でさえも ノルマと罰を背負わされてる
奪うこと競うこと争うこと 勝利者だけが 許される
それでも僕は信じ続ける 逃げることの 尊さを
悲しみに満たされたその瞳に君は何を写すんだろう
デジタルな夢にうなされ続けて 僕らは何を探そう
何度も裏切った希望ってやつが悪夢にすり替わっても
今も長い長い手紙を僕はずっと書き続けてる
いつか僕の小さな戯言が 誰かの胸に届くように

シナリオの果てに悲しみがあると本当は誰も気づいてる
それでも欲望が僕らを支配する 転がり続ける 愛から遠く離れて

飢えていくその国を救うのに 見返りなんかいらないだろう
彼らが銃口を向けてるなら 無防備に手を広げればいい
優しさだけでもう十分何たでよ 強さなんて邪魔なんだよ

今も長い長いこの手紙を 僕はずっと書き続けてる
いつか僕の小さな戯言が 誰かの胸に届くように 誰かの胸に響くように

呼吸-Breath-/浜田裕介

2012-09-12 15:33:22 | 浜田裕介



空に訊きたい 
人はこの旅の果てに 憎しみを越えられますか?
鍵はまだ開いてますか?

雲に訊きたい
渡り鳥の羽ばたきや イルカたちの鳴き声は
僕らを責めてませんか?

いつかは誰もが閉じるその本の
最初の行に書かれてたのは「祝福」なのでしょうか?

灯る度に吹き消される か弱き命の震える音
今膝の上 無防備に眠る こねこのあくびさえも
守れなくて 繋げなくて 途方に暮れる夜の岸辺で
ただ祈る 祈りにさえならぬ声で 声にさえならぬ呼吸で


月に訊きたい
いつか僕が傷つけた あの人はこの空の下
大切にされてますか?

星に訊きたい
僕はこの頭の中 何人も殺しました
それはやはり罪ですか?

歪んだ光が映す自画像は
無色なままで 無力なままで あまりに真実で

届く度に遠のいてく 現在ここにいることのその意味
受け入れることは諦めなのか?それとも勇気なのか?
生まれたこと 死に往くこと そこにはきっと意味なんてない
でも歌う 歌にさえならぬ声で 声にさえならぬ呼吸で


風に訊きたい 
戦場を吹き抜ける時 無限の闇の向こうに
夜明けは息吹いてますか?

雨に訊きたい
全てを失くした人の 肩をそっと濡らす時
彼は赦されてますか?

そのまま行けよ/浜田裕介

2010-05-06 05:15:19 | 浜田裕介



― 4/18 四万十市会議員 浜田裕介 誕生。
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例えば道につまづいて 明けない夜が訪れて
でも大丈夫 そのまま行けよ
最初はただの石ころで 転がることも ままならない
でも大丈夫 そのまま行けよ
煩わしいいさかいや 避けられないトラブルや
絶えることない悲しみが この道の先転がっている
Wow そのまま行けよ そのまま行けよ
信じるままに その歩幅のまま

例えば今が最悪で あてが外れてばかりでも
そう大丈夫 そのまま行けよ
大したことじゃなくてなくていい
心に決めたことなんて
そう大丈夫 そのまま行けよ

立ち止まってもかまわない
あきらめたって別にかまわない
君が君のままでいる限り 間違いじゃない
裏切りじゃない

Wow そのまま行けよ そのまま行けよ
信じるままに その歩幅のまま

打ちのめされた夜の中 悪い夢で目を覚ました
でも大丈夫 そのまま行けよ
今夜そこに辿り着くまで 誰かをきっと傷つけた
でも大丈夫 そのまま行けよ

そろそろ腰を上げようぜ
ズボンの砂を両手ではらって
最初に口ずさんだメロディーを
その道連れに歩き始めよう

Wow そのまま行けよ そのまま行けよ
信じるままに その歩幅のまま

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浜田裕介HP http://www.soso-guitar.jp/hamayu/

My Space http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewprofile&friendid=1001173867

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この歌声が世界のどこかにいるあなたに届くことを願って・・・

ヒヤシンス/浜田裕介

2010-01-06 16:48:08 | 浜田裕介



工場の裏 どぶ川のほとり 儚く咲いた幻の花
8月の朝 高校野球 サイレンの音にうなだれる朝

小さな町 閉ざされた日々 彼女は何も選ぼうとはしない
教室から見下ろしていたのは 鉛色の閉塞の町
ある朝彼女は見つけた 机の隅の小さな落書き
慌てて塗りつぶして 周りを見渡す 小さなシミがゆっくり広がる

線路の脇 トタン屋根の下 可憐に咲いた幻の花
ペダルの音 軋むペダルの音 いつしか憶えた絶望の歌

街頭演説 群衆の告白 丸めた紙屑 60年の文字
タクシーの列 すり減った革靴 放置自転車 盲人信号のメロディー
ピンクチラシ 少女たちの目配せ 開かないドア 虐待の闇
口ごもる老人 ただ空を見上げる 当分降りそうもない薔薇色の空

工場の裏 どぶ川のほとり 儚く咲いた幻の花
8月の朝 痛恨の極み サイレンの音にうなだれる朝

グランド・ゼロ Shoe The Flag イラク派兵 テロ支援国家
保険会社のCM 自己責任 少年法改正 実名報道
公式参拝 反日感情 遺憾の念 不戦の誓い
安全保障 経済制裁 新しい歴史教科書 右向け右!

ひび割れた窓 染み付いた匂い 何度も割られる窓 母親の沈黙
頭を低くして息を潜めて ただやり過ごす 終わらない嵐
灼けたトタン屋根 窓のない部屋 テーブルの上折れたヒヤシンス
落書きの文字が彼女を押し潰す 「ここから出てけ この朝鮮人!」

カビ臭い部屋 物置の隅 健気に根を張る沈黙の花
何処へ行こう これから何処へ行こう 途方に暮れる ひこうき雲

I'm Mr.Moonlight / 浜田裕介

2009-09-29 00:50:24 | 浜田裕介



窓から忍び込む月灯りみたいに
君の隣にそっと寄り添う
会えない時間を早くうめたくて
少し駆け足で愛してるかな

外灯の下で君が立ち止まる
静かに笑って僕を惑わす
少し流れた風光を集めて
君の周りだけ少し明るい

君を困らせたくて
手を差し出したら
自然に受け容れられて
僕は又舞い上がる

君にもし哀しいことや
辛いことがあったなら
直ぐに部屋の窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

何から話そう 今日までの事を
上手く笑わせる 自信がないな
拾った猫のこと なくした女性のこと
でも今の気持ちだけ 上手く言えない

君が目を閉じて夜にキスする
二人は夜の底 漂うプランクトン
キレイな夜だね言葉にならない
ほら僕の仲間達も
君に見とれてる

悲しみを知って君は
怖いくらいにきれいになって
僕はただそんな君を
優しく照らしてたい

君がもし本当の事や
大事な事見えなくなったら
直ぐに部屋の窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

僕が君にかけた魔法は
明日も君を困らせるから
だから直ぐに窓をあけて
僕の名前呼んでほしい
I'm Mr.Moonlight

流星のターミナル/浜田裕介

2009-09-22 17:30:39 | 浜田裕介



『流星のターミナル』

流星のターミナルで僕が見送ったのは 
8才になったばかり あの子の背中だった
二学期が始まり 教室に置かれた
小さな白い花が 現在も胸にある

流星のターミナルで次に見送ったのは
銃弾に倒れたJohnの背中だった
YOKOと書き上げた最後の手紙は
ほんの数日前に僕にも届いてた

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで次に見送ったのは
全てに疲れ果てた友の背中だった
父親に電話で「がんばってみる」と
そう話したばかりの夜のことだった

流星のターミナルで次に見送ったのは
仮面を脱ぎそびれたあいつの背中だった
真夜中のファミレスで朝まで語り明かした
92年の初夏(なつ)伝説になった

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで次に見送ったのは
僕を一番愛した祖母の背中だった
青春などと呼べる季節も訪れず
彼女の星もまた静かに流れた

流星のターミナルで次に見送るのは
随分小さくなった両親の背中だろう
二十歳を過ぎた頃から照れくささばかりで
感謝もねぎらいも言えないままに

僕らは同じ線路をそれぞれ違う速度で旅する旅人のようだ


流星のターミナルで最後に待つのは
年老いて旅立つ僕の背中だろう
願わくはポケットは空っぽのままに
願わくはアルバムはあふれんばかりに

願わくは彼女はまだ 健やかなままに

ゆるやかな法則/浜田裕介

2009-03-03 10:03:56 | 浜田裕介



誰かが歌う メロディーになじめず
自分だけの繭の中で 呼吸をひそめていた
強く握ったかたくなな拳
不器用なその掌でつつんでほどいた

僕だけがいびつな果実だと思ってた
だけどあなただけが 僕のありのままを抱きしめてくれた
僕とあなたの待ち合わせ場所は
この世界じゃなくてもいい  この星じゃなくていい
僕とあなたがつながったわけは
今すぐ解けなくてもいい 永遠に解けなくてもいい

音にならない 静かな唄があること
まなざしとぬくもりだけであなたは伝えた
思いがうまく届かぬ歯がゆさで
あなたを深く傷つけた 心と裏腹に

僕だけがあなたの王様と思ってた
繭の外にある世界を僕は今も少し怖いけれど
僕とあなたの待ち合わせ場所は
この世界じゃなくていい この星じゃなくていい
僕とあなたがつながったわけは
今すぐ解けなくていい 永遠に解けなくていい

僕だけがいびつな果実だと思ってた
だけどあなただけが 僕のありのままを抱きしめてくれた
僕とあなたの待ち合わせ場所は
この世界じゃなくてもいい この星じゃなくていい
僕とあなたがつながったわけは
今すぐ解けなくてもいい 永遠に解けなくていい

西院駅/浜田裕介

2009-01-20 14:24:44 | 浜田裕介
地下から吹き上げる風が少し冷たい10月
信号待ちの人込みの中 僕は上着を羽織る
そう言えば君はあの頃君はボサノバなんかに目覚めて
ジョビンや小野リサのことばかり 僕に質問したね
91番のバスを待つ僕は どんな風だろうか?
急ぎ足の街の背中ばかり 追いかけてる気がする
僕にとっての1秒 君にとっての永遠
何を奪い 何をあげられたの
もう誰にもわからないけど
ドーナツ屋に寄り道して
気まぐれにいくつか選び
電車の中で読んでた 新聞をくずかごに捨てる
91番のバスはまだ来ない 渋滞は続いてる
あの日君は何を言おうとしたの?
さよならの前に
君にとっての真実 僕にとっての言い訳
何を見つけ 何を失ったの?
もうどうでもいいけど

91番のバスはもう待たずに 歩いて帰ろう
あの時君が暮らした部屋の窓も
目をそむけないで
僕にとっての日常 君にとっての溜め息
何を壊し 何を縛り合ったの?
もうどうでもいいけど



冬の動物園/浜田裕介

2009-01-11 17:32:06 | 浜田裕介
二月の寒い午後 君のわがままで
バスに乗りでかけた 街はずれの動物園
君の言う言葉なら 痛いほどわかるけど
僕のその痛みは 檻の中のライオン

悪いことばかり さっきから考えてる
君の風向き 少し思わしくない
だからほら温かいコーヒーを飲もうよ
シロクマが見てるよ 穏やかな無表情で

僕のモスグリーンのハーフコート 君が羽織り
君の黒のパーカーは いつも僕の肩の上
シマウマの檻の前で もし君が泣き出しても
僕が気がかりなのは 帰りのバスの混み具合

はしゃぎすぎた後の子どもみたいに
君の背中が 少し小さく見える
別れても続けても 僕は君が好きだよ
ペンギンがはしゃいでる 人の気も知らないで

もうさよならね 君がそっと微笑んだ
記念写真より 動かない笑顔で

二月の寒い午後 君のわがままで
バスに乗り出かけた 街はずれの動物園




GAZA