吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

小さな岸/嵯峨 信之

2012-09-14 18:04:15 | 嵯峨信之
愛するとは
遠いどこかで言葉がめざめることではないか
物の形にその名がやさしく帰ってくることではないか

魂しいが小さな岸に上陸する
ぼくも旅に出よう
もし無限の忘却ということが何処かにあれば

呼吸-Breath-/浜田裕介

2012-09-12 15:33:22 | 浜田裕介



空に訊きたい 
人はこの旅の果てに 憎しみを越えられますか?
鍵はまだ開いてますか?

雲に訊きたい
渡り鳥の羽ばたきや イルカたちの鳴き声は
僕らを責めてませんか?

いつかは誰もが閉じるその本の
最初の行に書かれてたのは「祝福」なのでしょうか?

灯る度に吹き消される か弱き命の震える音
今膝の上 無防備に眠る こねこのあくびさえも
守れなくて 繋げなくて 途方に暮れる夜の岸辺で
ただ祈る 祈りにさえならぬ声で 声にさえならぬ呼吸で


月に訊きたい
いつか僕が傷つけた あの人はこの空の下
大切にされてますか?

星に訊きたい
僕はこの頭の中 何人も殺しました
それはやはり罪ですか?

歪んだ光が映す自画像は
無色なままで 無力なままで あまりに真実で

届く度に遠のいてく 現在ここにいることのその意味
受け入れることは諦めなのか?それとも勇気なのか?
生まれたこと 死に往くこと そこにはきっと意味なんてない
でも歌う 歌にさえならぬ声で 声にさえならぬ呼吸で


風に訊きたい 
戦場を吹き抜ける時 無限の闇の向こうに
夜明けは息吹いてますか?

雨に訊きたい
全てを失くした人の 肩をそっと濡らす時
彼は赦されてますか?

GAZA