午前中のアルバイトを終えて、自宅に帰る。
帰宅すると、家族は誰も居ない。
これは、絶好のチャンスなのか？
これ以上着れないという位の防寒装備を施して、ガレージに向かう。
ガレージから引き出したバイクは、ＢＭＷ。
赤い口ばしが特徴的な、Ｒ１１００ＧＳだ。
チョークを引っ張り、エンジンスタート。
「さあ、どこに行こう」「今日は、冬の海でも見に“波津”にでも行こうか」。
グリップ・ヒーターのスイッチをＯＮにして、走り出した。
今朝、どんよりとした雲に被われていた空が、今は、白い雲と青空が広がっている。
ただ、風が強く吹く為、時々バイクが横に振られる。
急ぐ事もないので、車の流れに乗って、ゆっくりと流して走る事にしよう。
芦屋ボートの横を通り、遠賀を抜け、波津に入る。
海岸沿いの道を、気持ちよく流して走る。
そう、冬の海を眺めながら…。
今日は、風も強いせいか、波もいつもより高い。
海岸に打ち寄せる波は、白く泡立ち、荒々しい…まさに“冬の海”だ。
こんな寒い日に、こんな寒々とした海を見に、バイクで来る。
「俺って、やっぱりバカ？」
しかし、対向車線から走ってきたバイクには、なんと沢山の荷物と銀色のロールマットが…。
「あいつも、バカ？」
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